レッサーパンダ

レッサーパンダは、ネパールや中国南部、ヒマラヤ地域に生息する小型の哺乳類で、赤みを帯びた毛並みと長いふさふさの尾が特徴です。愛らしい見た目から世界中の動物園で人気を集めていますが、実際はイタチ科やクマ科とも異なる「レッサーパンダ科」に分類されるユニークな存在です。体長は約50〜60cmほどと小柄で、竹の葉を主食としつつ果実や小動物も食べる雑食性です。樹上での生活に適応しており、鋭い爪と柔軟な体を活かして木登りが得意です。その可愛らしい姿とは裏腹に、野生下では生息域の減少により絶滅危惧種に指定されています。

• 分類： 食肉目 レッサーパンダ科
• 学名： Ailurus fulgens
• 英名： Red Panda
• 原産地： ネパール、ブータン、中国南部、ミャンマーなどヒマラヤ地域
• 体長： 約50〜60cm（尾の長さ：約30〜50cm）
• 体重： 3〜6kg
• 食性： 主に竹の葉や芽、果実、小型哺乳類、昆虫など
• 寿命： 野生下で約8〜10年、飼育下で10〜15年

レッサーパンダは見た目がタヌキやアライグマに似ていますが、実際にはどちらとも異なる独自の科に属する動物です。

また、竹を主食とする点ではジャイアントパンダと共通していますが、レッサーパンダの消化器官は肉食動物に近いため、栄養を効率よく吸収できず、一日の大半を食事に費やしています。

さらに、レッサーパンダには「偽の親指」と呼ばれる特別な骨の突起があり、竹をしっかりと掴むことができます。この特徴はジャイアントパンダとも共通するユニークな進化の結果です。

加えて、寒冷地に適応するために毛深い尾を持ち、寒い時にはその尾を体に巻きつけて寝る姿が観察されています。こうした仕草が「ぬいぐるみのようにかわいい」と人気を集める理由のひとつです。

レッサーパンダは普段はおとなしく穏やかな性格ですが、危険を感じたり敵に出会ったりすると独特の威嚇行動を見せます。

1. 二本足で立ち上がる
   　敵を驚かせるために後ろ足で立ち上がり、体を大きく見せます。実際の体格以上に大きく見えるようにすることで、相手を威圧しようとします。
2. 前足を高く掲げる
   　バンザイするように両前足を頭上に上げ、さらに自分を大きく見せます。この姿は一見かわいらしいですが、レッサーパンダにとっては必死の防御姿勢です。
3. 鳴き声や歯をむき出す
   　「シューッ」といった音を立てたり、口を開けて歯を見せて威嚇することもあります。

このような威嚇行動は、実際に攻撃するためというより「戦わずに相手を退ける」ための防御本能に基づいたものです。