ゴリラ

ゴリラは、ヒト科に属する大型の霊長類で、アフリカ中部の森林地帯に生息しています。体の大きさは現存する霊長類の中で最大級で、オスは体重150kgを超えることもあります。力強い外見に反して穏やかな性格を持ち、群れを形成して生活する社会性の高い動物です。群れの中心となるリーダーのオスは「シルバーバック」と呼ばれ、背中の毛が銀白色に変化するのが特徴です。

ゴリラは主に植物を食べる草食性で、葉や果実、茎などを好みます。人間に近い知能を持ち、ジェスチャーや発声で複雑なコミュニケーションを取ることができます。そのため古くから人々の関心を集め、研究対象としても重要な存在です。

ゴリラはアフリカに古くから生息していたものの、西洋に知られるようになったのは19世紀以降です。1847年、アメリカの宣教師トーマス・サヴェジが標本を基にゴリラを学術的に記録したのが最初とされます。その後、探検家や博物学者たちの報告を通じて存在が広まり、「巨大な類人猿」として注目を集めました。

20世紀に入ると、ルワンダやウガンダで野生ゴリラの調査が進み、特に霊長類学者ダイアン・フォッシーの研究によって、その社会性や家族単位で暮らす生態が明らかになりました。一方で、森林伐採や密猟により生息数は減少し、現在では国際的に保護対象となっています。

ゴリラは中央アフリカの熱帯雨林や山岳地帯に生息する霊長類で、地上で生活することが多い動物です。昼行性で、日中に食事や移動、休息を行い、夜になると木の枝や地面に草を集めて巣を作って眠ります。

食性は主に草食性で、葉・茎・果実・樹皮などを食べますが、昆虫を少量摂取することもあります。肉食はほとんど確認されていません。

社会構造はハーレム型の群れ（トゥループ）で、1頭の支配的なオス「シルバーバック（背中の毛が銀色の成熟雄）」を中心に、数頭のメスとその子どもたちで構成されます。群れの規模は10〜30頭程度が一般的です。

行動は基本的に温和で、無駄な争いは避けます。ただし外敵や他のオスが接近した場合、胸を叩く「ドラミング」や大きな声で威嚇を行います。

移動はナックルウォーキング（拳を地面につけて歩く独特の四足歩行）で行い、力強い体格に似合わず、木に登ることも可能です。

現在、ゴリラは大きく 2種4亜種 に分類されています。

1. ニシゴリラ

• ニシローランドゴリラ
  • 中央アフリカ西部の熱帯雨林（コンゴ共和国、カメルーン、ガボンなど）に分布。
  • 最も個体数が多く、動物園で見られるゴリラのほとんどがこの亜種。
• クロスリバーゴリラ
  • ナイジェリアとカメルーン国境付近に分布。
  • 個体数は数百頭程度とされ、最も希少なゴリラ。

2. ヒガシゴリラ

• マウンテンゴリラ
  • ルワンダ・ウガンダ・コンゴ民主共和国の山岳地帯に生息。
  • 標高の高い冷涼な環境に適応し、体毛が長く厚い。
• ヒガシローランドゴリラ（グラウアーゴリラ）
  • コンゴ民主共和国東部の森林に生息。
  • ゴリラの中で最大の体格を誇る。