ステゴサウルス

ステゴサウルスが科学的に初めて記録されたのは1877年、アメリカ・コロラド州で化石が発見されたことに始まります。この発見は、当時の「化石戦争（ボーン・ウォーズ）」として知られる恐竜研究の競争時代の中で行われました。発見者のオスニエル・チャールズ・マーシュによって「屋根を持つトカゲ」という意味の学名 Stegosaurus が命名されました。

当初は骨板が背中ではなく体を覆う装甲のように並んでいたと誤解されていましたが、その後の研究で二列に並ぶ独特な配置が判明しました。さらに近年の研究では、この骨板が防御だけでなく体温調節やディスプレイ（仲間や敵への誇示）に使われていた可能性が高いと考えられています。

ステゴサウルスは「小さな頭と小さな脳」によって長らく“知能が低い恐竜”と誤解されてきましたが、近年の学説では臀部付近の神経の発達が体の制御に重要な役割を果たしていたとされ、単純に「頭脳が小さい＝知能が低い」とはいえないことが分かっています。現在では、恐竜時代を代表するシンボリックな存在として世界中で展示・研究が進められています。

ステゴサウルスはステゴサウルス科に属する恐竜で、同じ科にはいくつかの近縁種が存在します。代表的な種類は以下の通りです。

• ステゴサウルス・ステノプス（Stegosaurus stenops）
  最もよく知られる標準種で、全身骨格が多く発見されています。背中の骨板は幅広く、大きく発達しているのが特徴です。
• ステゴサウルス・ウンゲラトゥス（Stegosaurus ungulatus）
  骨板の形がやや細長く、尾のスパイクが大きいタイプ。かつてはステノプスと混同されていました。
• ケントロサウルス（Kentrosaurus）
  アフリカに生息していたステゴサウルス科の仲間。背中の後半から尾にかけて骨板ではなくスパイクが並んでおり、より防御的な体型をしています。
• フエンテサウルス（Huayangosaurus）
  中国で発見された初期のステゴサウルス科恐竜。ステゴサウルスよりも小型で、進化の過程を示す重要な種です。

このようにステゴサウルスは単独の恐竜ではなく、ステゴサウルス科全体の代表格として知られており、進化の多様性を理解するうえで重要な存在となっています。