フラミンゴ

フラミンゴとは、長い脚と首、そして鮮やかなピンク色の羽で知られる美しい水鳥です。学名は Phoenicopterus 属に属し、アフリカ・南アメリカ・ヨーロッパ南部・アジアなど、世界の温暖な地域に生息しています。

ピンク色の羽は生まれつきではなく、主にエビや藻類などに含まれるカロテノイドという色素を摂取することで生まれます。そのため、食事内容によって色の濃さが変わるのが特徴です。

フラミンゴは群れで生活する鳥で、何千羽もの個体が一斉に行動する姿は圧巻。片足で立つ独特のポーズでも有名ですが、これは体温を保つための行動と考えられています。

また、くちばしが特殊な形状をしており、水の中で上下逆さにして泥をろ過しながらエサを食べることができます。飛ぶこともでき、長距離の渡りをする種もいます。

フラミンゴの美しいピンク色は、生まれつきではなく「食べ物」によって作られます。
主に食べているのは、エビや藻類、プランクトンなどに含まれる「カロテノイド」という赤やオレンジの色素です。これを摂取し、体内で分解・吸収した結果、羽毛や皮膚、くちばしなどが少しずつピンク色に染まっていきます。

このため、フラミンゴは食事環境によって色の濃さが変わります。
例えば、動物園などで飼育されているフラミンゴには、自然の色に近づけるためにカロテノイドを含む特別なエサが与えられています。

もしこの色素が足りない環境で育つと、羽は白っぽくなってしまうこともあります。

フラミンゴは、水辺の湿地や湖沼などに群れで生息する社会性の高い鳥です。群れの規模は数百羽から数千羽にもなることがあり、一斉に動く姿はとても壮観です。

食事の際、フラミンゴは独特なくちばしの構造を使って、頭を逆さまにしながら水を吸い込み、泥と一緒に小さなエビや藻類、プランクトンをこし取って食べます。この「ろ過食（フィルターフィーディング）」は、鳥類の中でも珍しい採食方法です。

休むときや片足で立つ姿がよく見られますが、これは体温を逃がさないための行動とされています。長い時間、浅瀬で立って生活するため、脚の血流をコントロールして熱を保っているのです。

繁殖期になると、泥を積み上げて円すい状の巣を作り、その上に白い卵を1個だけ産みます。両親で協力して温め、ヒナは生まれてから数日で歩けるようになります。ヒナの羽は最初は白やグレーで、成長とともにピンク色に変化します。

現在、世界には6種類のフラミンゴが知られています。いずれも「フラミンゴ科（Phoenicopteridae）」に属し、生息地によって見た目や行動に特徴があります。

• ヨーロッパフラミンゴ（Greater Flamingo）
  最も大きく、アフリカ、南ヨーロッパ、南アジアなどに分布。淡いピンク色で、動物園で最も多く見られる種類。
• チリーフラミンゴ（Chilean Flamingo）
  南アメリカのアンデス山脈周辺に生息。やや灰色がかったピンク色で、脚がグレーとピンクの中間色。
• アンデスフラミンゴ（Andean Flamingo）
  チリやボリビアなど南米高地に生息。フラミンゴの中で最も希少。くちばしの根元が黄色で独特の模様を持つ。
• コバシフラミンゴ（James’s Flamingo / Puna Flamingo）
  アンデスフラミンゴに似るが体がやや小さく、くちばし全体が黄色っぽい。南米高地の塩湖に生息。
• ベニイロフラミンゴ（Caribbean Flamingo / American Flamingo）
  カリブ海諸島やガラパゴス諸島に生息。最も鮮やかなピンク～赤色で、「フラミンゴ」と聞いて多くの人が想像する代表種。
• コフラミンゴ（Lesser Flamingo）
  アフリカやインドに分布。最も体が小さい種で、濃いピンクの羽と黒いくちばしが特徴。数百万羽規模の大群を作ることもある。

フラミンゴは、約3,000万年前（漸新世）にはすでに祖先種が存在していたと考えられています。
現在のフラミンゴの直接的な祖先は、「グレシプス（Grecipus）」などの化石鳥類で、ヨーロッパで発見されたものは現生フラミンゴと非常に近い特徴を持っています。

長い脚とくちばしの構造は、水辺で効率よく採食するために進化したもので、特に「逆さにして水をろ過する」独特の食事方法は、環境適応の結果とされています。

興味深いのは、フラミンゴがペリカン目（Pelecaniformes）に近い遺伝的特徴を持つことです。
かつてはコウノトリやツルの仲間とされていましたが、DNA解析の進展により、現在では「ペリカンモドキ目（Phoenicopteriformes）」として独立したグループに分類されています。

また、化石記録からは、かつてより大型のフラミンゴや淡水環境に適応した種も存在したことが分かっています。