はじめの一歩

AIのプロジェクトの直し方|合わない答えを集めて月1回入れ替える

この記事で変わる経営指標

この記事では、AIに会社の情報を覚えさせる方法|毎回の説明をやめ、誰が頼んでも同じ質にの「管理する人を1人決め、古い資料は月1回入れ替える」を、毎月続けられる手順にして説明します。

一言でいうと、社員が、会社に合わない答えを、頼んだ文と一緒に表に書く。AIが、その表を原因ごとに分けた一覧にする。管理する人が、月に1回、古い資料と指示と見本を入れ替える。直したあとは、決めておいた試しの依頼をもう一度頼み、直す前と比べる。誰に共有するか、どの資料を入れるかは管理する人が決めるという形です。

経営への効果は、半年後も答えの質が落ちないこと

AIのプロジェクトは、作った日がいちばん新しい状態です。商品の名前が変わり、値引きの決まりが変わり、担当者が替わっても、中の資料はそのまま残ります。AIは古い資料をもとに、もっともらしい答えを書きます。

社員は、合わない答えが続くと、AIを使わなくなります。せっかく作ったプロジェクトが使われなくなれば、作った手間が無駄になります。月に1回、短い時間で直す習慣があれば、半年後も1年後も、社員が安心して使える状態を保てます。

プロジェクトには資料と指示が入り、共有の権限を分けられる

Claude の公式のヘルプ(2026年10月24日に確認)によると、プロジェクトでは次のことができます。

  • 資料と指示を入れる。 資料を入れておくと、そのプロジェクトの中の会話で前提として使われます。指示の欄で、言葉づかいや立場を決めておけます
  • 無料でも使える。 無料のアカウントでも使え、作れるのは5つまでです
  • 資料が多くても入る。 有料のプランでは、資料が多くなると自動で検索の仕組みに切り替わり、入れられる量が最大10倍まで広がります
  • 権限を分けて共有できる。 TeamとEnterpriseのプランでは、社内のメンバーに「見るだけ」か「直せる」かを分けて共有できます。「見るだけ」の人も、そのプロジェクトの中で会話はできます

ヘルプには、新しい版のプロジェクトを順に広げていることも書かれています。名前や使える範囲はプランと時期で変わるので、使う前に公式のヘルプで確かめてください。

今は、合わない答えが出ても、誰にも伝わらない

プロジェクトを作ったあと、社員が「この答えは会社に合わない」と感じても、その場で自分で直して終わることがあります。自分で直せる社員はそれで困りませんが、同じ合わない答えが、ほかの社員の前にも出続けます。

管理する人の側からは、何が合わないのかが見えません。直す材料がないので、資料も指示も作った日のまま残ります。合わない答えを集める入れ物を先に用意することが、直す仕組みの最初の一歩です。

集め、AIが分け、直して、試す

AIのプロジェクトを月1回直す流れ。社員が会社に合わない答えを依頼の文と一緒に表に書く。AIが原因ごとに4つに分けた一覧を作る。管理する人が古い資料と指示と見本を入れ替える。決めておいた試しの依頼で直す前と比べる。共有の設定は管理する人が決める
AIのプロジェクトを月1回直す流れ。社員が会社に合わない答えを依頼の文と一緒に表に書く。AIが原因ごとに4つに分けた一覧を作る。管理する人が古い資料と指示と見本を入れ替える。決めておいた試しの依頼で直す前と比べる。共有の設定は管理する人が決める

1 集める(社員)。 合わない答えが出たら、頼んだ文と、AIの答えと、どこが合わないかを表に書きます。

2 分ける(AI)。 月末に、1か月分の表をAIに渡し、原因ごとに分けた一覧を作ってもらいます。

3 直す(管理する人)。 一覧を見て、古い資料と指示と見本を入れ替えます。

4 試す(管理する人)。 決めておいた試しの依頼をもう一度頼み、直す前の答えと比べます。

合わない答えの表は、この5つの欄で作る

欄 中身の例(想定)
日付と書いた人 10月8日、営業のAさん
プロジェクト お客様への返事
頼んだ文 AIに頼んだ文をそのまま貼る
AIの答えの合わないところ 古い商品の名前を書いた、など
本当はどう書いてほしかったか 新しい商品の名前、正しい言い回し

社員に書いてもらうのは、この表だけです。原因を考えるのは社員の仕事にしません。「合わない」と感じたことを書くだけなら、忙しい社員でも続けられます。共有の表計算のファイルを1枚用意し、プロジェクトごとにシートを分けます。

お客様の名前や電話番号が頼んだ文に入っているときは、記号に置き換えてから貼ります。

AIに頼むと、原因ごとの一覧が返ってくる

AIに渡す指示(見本):

下は、社内のAIのプロジェクト「お客様への返事」で、社員が会社に合わないと感じた答えの1か月分の記録です。1件ずつ、原因を「資料が古い」「資料に書いていない」「指示があいまい」「見本が偏っている」の4つのどれに近いかに分けてください。分けた理由を一行で書き、同じ原因が何件あるかを数えてください。どれにも当てはまらないものは「その他」にしてください。資料や指示を直す案は書かず、分けるところまでにしてください。

返ってくる一覧(見本の一部。内容は架空です):

資料が古い(3件):古い商品の名前を書いた(2件)、去年の営業時間を書いた(1件) 指示があいまい(2件):お客様の呼び方が「様」と「さん」で混ざった 見本が偏っている(1件):おわびの返事が、どれも同じ書き出しになった

AIに分けてもらうのは、管理する人が一覧を見て、どこから直すかを決めやすくするためです。どれを直すかは、管理する人が決めます。

原因ごとに、直すところが違う

原因 直すところ
資料が古い 古い資料を外し、新しい資料を入れる。日付をファイル名に入れておく
資料に書いていない よく聞かれることを、よくある質問の資料に足す
指示があいまい 指示の文を直し、なぜそうしてほしいかの理由を一言足す
見本が偏っている 場面の違う見本に入れ替える

指示を直すときは、理由を書きます。Anthropic の手引き(2026年10月24日に確認)では、指示の理由を書くと、AIが目的をくみ取り、書いていない場面にも広げて当てはめやすいとされています。「お客様は『様』で呼ぶ」だけでなく、「当社のお客様は会社の担当者なので、『様』で呼ぶ」と書きます。

見本を入れ替えるときは、場面に幅を持たせます。Anthropic の手引きでは、見本は実際の用途に近く、場面に幅を持たせ、3〜5本がよいとされています。Google の Gemini の手引きでは、見本の形をそろえること、見本が多すぎると答えが見本に寄りすぎることがあると書かれています。見本の選び方は、AIの文章がばらつくなら、説明より見本を3つ|会社らしい文にそろえるで説明しています。

直したら、決めておいた試しの依頼で比べる

直したつもりでも、別のところが崩れることがあります。直したら、毎回同じ試しの依頼をもう一度頼みます。

  • 試しの依頼を5本ほど決めておく。 そのプロジェクトでよく頼まれる依頼から、場面の違うものを選びます。表に書かれた合わない答えの依頼も足していきます
  • 直す前の答えを残しておく。 直す前に一度頼み、答えを保存します
  • 直したあとの答えと並べて見る。 合わなかったところが直ったか、ほかのところが崩れていないかを、管理する人が読み比べます

AIの答えは、同じ依頼でも毎回少しずつ変わります。1回で決めず、気になる依頼は2〜3回頼んで見ます。

共有の権限は、直せる人を1〜2人に絞る

TeamやEnterpriseのプランで社内に共有するときは、直せる人を絞ります。

  • 直せる人は1〜2人にする。 誰でも資料を足せると、古い資料や下書きの資料が混ざり、どれが正しいか分からなくなります
  • ほかの人は「見るだけ」にする。 「見るだけ」でも会話はできるので、使う側の困りごとはありません
  • 見られる人を業務ごとに決める。 人事や給与の資料が入ったプロジェクトは、社長と総務だけに共有します

管理する人が休むときや辞めるときに備え、直せる人をもう1人決めておきます。

型をスキルにし、入れる資料はAIの外で決める

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「合わない答えの表の5つの欄」「原因の4つの分け方と見本」「書いてはいけないこと(直す案、資料にない推測、名前)」をスキルにし、月末に同じ形の一覧が出るようにします。

入れる資料は、AIの外で決める。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、直せる人を絞ること、資料のファイル名に日付を入れること、試しの依頼で直す前と比べること、どの資料を入れるかを管理する人が決めることがそれに当たります。

費用は、月末の分け方1回で4円ほど

費用 見込み
月末の分け方 1か月分の表(入力5千トークンほど)から原因ごとの一覧(出力1,500トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回4円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円。権限を分けた共有はTeamかEnterpriseのプラン
管理する人の時間 月に1回、直しと試しに1〜2時間(想定)

必要な人は3役で、資料を決めるのは管理する人

  • 社員:合わない答えを、頼んだ文と一緒に表に書く
  • 管理する人:月末にAIで一覧を作り、資料と指示と見本を入れ替え、試しの依頼で比べる。共有の権限を決める
  • 社長:管理する人を決め、入れてはいけない資料(個人の情報、契約で外に出せないもの)の線を引く

3か月で直す習慣ができ、合わない答えの数が見える見込み

  1. 1か月目:合わない答えの表と、試しの依頼5本を用意し、社員に表の書き方を伝える
  2. 1か月目の末:AIで一覧を作り、件数の多い原因から直す
  3. 2〜3か月目:毎月の件数を前の月と比べ、同じ原因がくり返されていないかを見る
  4. 半年後:プロジェクトごとに件数を見て、使われていないプロジェクトは閉じるか作り直す

表を集めるだけで直さないと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 表が書かれなくなる。 書いても何も変わらないと、社員は書かなくなります。直したことを、月に1回、社員に一言で伝えます
  • 資料を足すだけで外さない。 新しい資料を足しても、古い資料が残っていれば、AIは古いほうを使うことがあります。入れ替えるときは、古いほうを外します
  • 試さずに直したまま使う。 指示を直したら、ほかの場面が崩れることがあります。試しの依頼で比べてから使います

まとめ

  • AIのプロジェクトは作った日がいちばん新しく、直さなければ古い資料のまま答え続ける
  • 社員は合わない答えを、頼んだ文と一緒に5つの欄の表に書くだけにする
  • AIに月末の表を「資料が古い」「資料に書いていない」「指示があいまい」「見本が偏っている」に分けさせ、直すかどうかは管理する人が決める
  • 指示には理由を一言足し、見本は場面に幅を持たせて入れ替える
  • 直したら決めておいた試しの依頼で比べ、直せる人は1〜2人に絞る

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