エステの次回の案内|残りの回数と期限からAIで下書きし、効果は盛らない
この記事で変わる経営指標
この記事では、エステサロンのAI活用|契約書面の点検と記録で信頼される店にの「次回の案内は、記録から下書きする」を、毎週続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、店長が、案内を送ってよいお客さまと案内の型を決める。AIが、コースの残りの回数と、契約書面に書いた提供期間を入れた案内の文を下書きする。スタッフが、効果を盛った言葉や、事実と違う期限がないかを確かめる。店長が、案内を受け取ることに同意した人に送り、断られたら止める。新しいコースを勧めるかは人が決めるという形です。
経営への効果は、残りの回数を使い切ってもらうこと
エステのコースは、何回分かをまとめて契約してもらう形が多くあります。ところが、お客さまは仕事や家のことで忙しくなると、予約を取らないまま日にちが過ぎていきます。気づいたときには提供期間の終わりが近く、残りの回数を消化しきれない、ということが起こります。
お客さまから見ると、払ったのに受けられなかったという不満になります。店から見ると、その不満は次の契約を遠ざけますし、口コミにも響きます。
残りの回数と期限を、早めに短い案内で知らせれば、お客さまは予約を思い出せます。通い切ってもらえたお客さまは、次のコースも同じ店で考えてくれやすくなります。小さなサロンの売上は、通い続けてくれるお客さまに支えられています。
案内を手で一通ずつ書くと、残りの回数や期限を写し間違えます。AIに下書きさせ、数字は台帳から差し込むようにすれば、スタッフは確かめて送るだけになります。
案内のメールは、特定電子メール法で送れる相手が決まっている
e-Gov法令検索で特定電子メール法を確かめると、広告や宣伝のためのメール(特定電子メール)について決まりがあります。総務省と消費者庁の案内では、ショートメッセージも対象とされています。
- 送れる相手が決まっている。 あらかじめ送ることに同意した人や、取引の関係にある人などに限られます(第3条)
- 同意の記録を残す。 同意を受けたことを示す記録を保存します
- 断られたら止める。 送らないでほしいと言われたら、それ以降は送れません
- 送る人の表示がいる。 送った店の名前と、受け取りを断るための連絡先などを書きます(第4条)
予約の確認のように、取引そのものの連絡は扱いが異なる場合があります。それでも、新しいコースの紹介が混ざれば宣伝の色が出ます。迷ったら、同意を受けた人にだけ送る、と決めておくのが安全です。
コースの案内は広告になり、効果を盛れない
e-Gov法令検索で特定商取引法の第43条を確かめると、期間が1か月を超え金額が5万円を超えるエステのような特定継続的役務について、提供の条件を広告するときの決まりがあります。役務の内容や効果について、著しく事実に相違する表示をしたり、実際よりも著しく優良、または有利だと人に思わせる表示をしたりしてはいけません。消費者庁の特定商取引法ガイドでも、誇大広告等の禁止として説明されています。
次回の案内に、新しいコースの料金や回数を書けば、それは広告の性質を持ちます。たとえば次のような言葉は、AIの下書きに混ざりやすいので消します。
- 「必ず細くなります」「確実に効果が出ます」
- 「今だけの特別価格」(本当に期間を決めていないなら書かない)
- 「みなさん3回で実感されています」(数えていないなら書かない)
勧誘のときに、事実と違うことを言ってはいけない
同じく特定商取引法の第44条は、契約の勧誘をするときや、契約の解除を妨げるときに、事実と違うことを告げることを禁じています。対象には、役務の内容や効果、支払う金額、役務の提供期間、契約の解除に関することなどが含まれます。勧誘のときに、こうした大事なことを故意に告げないこと、人を威迫して困らせることも禁じられています。
案内の文で気をつけたいのは、次の2つです。
- 期限を事実と違うように書かない。 「今月中に来ないと残りの回数がなくなります」と書くなら、契約書面の提供期間と合っているかを確かめます
- やめたい人を引き止める文にしない。 中途解約を考えているお客さまに、事実と違う説明で思いとどまらせることはできません。解約の相談は、契約書面のとおりに人が受けます
細かな決まりは、消費者庁の特定商取引法ガイドと条文で確かめてください。2026年10月時点の情報です。
今は、スタッフが覚えているお客さまにだけ声をかけている
小さなサロンでは、次のような形が多いと思います。
- 来店のときに「次はいつにしますか」と聞き、その場で決まらなかった人はそのままになる
- スタッフが気になったお客さまにだけ、思い出したときに連絡する
- 残りの回数は台帳にあるが、期限が近い人を順に見ることはしていない
この形だと、案内が届く人と届かない人が、スタッフの記憶で決まります。忙しい週は誰にも連絡できません。
決め、AIが下書きし、確かめて、送る
1 決める(店長)。 案内を送ってよいお客さまの条件と、案内の型を決めます。たとえば「最後の来店から3週間たった人」「提供期間の終わりまで1か月を切った人」のようにします。
2 下書きする(AI)。 店の名前と案内に書くことを渡し、名前、残りの回数、提供期間の終わりの日を差し込める案内の文を作ってもらいます。
3 確かめる(スタッフ)。 効果を盛った言葉、割引の言葉、期限の書き方、止め方の連絡先を見ます。
4 送る(店長)。 毎週、条件に合うお客さまを台帳から出し、同意した人にだけ送ります。断られたら、その人には送りません。
案内の一覧は、この6つの欄でそろえる
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| お客さまの番号 | 名前は表の外で番号とつなぐ |
| 契約したコース | 10回コースなど |
| 残りの回数 | 台帳の数字をそのまま写す |
| 提供期間の終わり | 契約書面に書いた日付 |
| 案内を受け取る同意 | 同意した日と、メールかショートメッセージか |
| 断られた日 | 断られたら日付を書き、以後は送らない |
残りの回数と期限の近い人は、表計算で出します。AIに日付の計算や回数の数え直しはさせません。数字の間違いは、そのまま事実と違う案内になるからです。
AIへの頼み方と、返ってくる案内はこうなる
AIに渡す指示(見本):
エステサロンからお客さまに送る、次回の来店の案内の型を作ってください。短く、やわらかい言葉にしてください。名前は「〇〇様」、残りの回数は「〇回」、提供期間の終わりは「〇月〇日」と空けてください。効果の言葉、割引の言葉、急がせる言葉は書かないでください。最後に店の名前と電話番号、案内を止めたいときの連絡先を書く欄を入れてください。
返ってくる案内(見本。内容は架空です):
〇〇様 いつもご来店ありがとうございます。ご契約のコースは、残り〇回です。ご利用いただける期間は〇月〇日までとなっております。ご都合のよい日があれば、お電話かウェブでご予約ください。 (店の名前・電話番号) 案内が不要な方は、こちらまでお知らせいただければ止めます:(連絡先)
確かめるときは、効果と期限と止め方を見る
AIの下書きは、渡した指示をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、指示にない中身が混ざることがあります。
- 効果の言葉がないかを見る。 「続けるともっときれいになります」なども消します
- 割引や特典の言葉がないかを見る。 店長が決めた特典だけを、決めた言葉で書きます
- 期限と回数が台帳と合っているかを見る。 契約書面の提供期間と照らします
- 急がせる言葉がないかを見る。 「お早めに」「残りわずか」を重ねると、勧誘の色が強くなります
- 店の名前と、案内を止める連絡先が入っているかを見る
期限が近いお客さまには、先に残りの回数を知らせる
案内の順番も決めておくと、迷いません。
- 提供期間の終わりまで1か月を切った人を先にする。 残りの回数と、期限の日だけを知らせます
- しばらく来店のない人は、2番目にする。 前回の来店日からの日数で並べます
- 残りの回数が0の人には、コースの案内を送らない。 次のコースを勧めるかどうかは、来店のときに店長が話を聞いて決めます
型をスキルにし、勧める内容はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「案内の型」「一覧の6つの欄」「書いてはいけないこと(効果の言葉、割引、急がせる言葉、お客さまの名前)」をスキルにします。
勧める内容は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、店長が送る条件と型を決めること、表計算で送る人を出すこと、スタッフが台帳と照らしてから送ることがそれに当たります。どのコースを勧めるかは、AIに決めさせません。
費用は、AIの利用料が型1つ2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 案内の型の下書き | 指示(入力2千トークンほど)から型(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回2円ほど。型は使い回せる |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| スタッフの時間 | 一覧から出して確かめて送るのに1人数分(想定) |
必要な人は2役で、勧めるコースは店長が決める
- 店長:送る条件と型を決め、送る回数の上限を決め、新しいコースを勧めるかを決める
- スタッフ:一覧から送る人を出し、台帳と照らして確かめ、断りを記録する
店長1人のサロンでは、店長が両方を受け持ちます。
1か月で一覧と型ができ、毎週送れる見込み
- 1週目:一覧の6つの欄を作り、新しいお客さまに案内の同意を聞き始める
- 2週目:案内の型をAIに作らせ、店長が確かめる
- 3週目:型と書いてはいけないことをスキルにまとめる
- 4週目以降:毎週、条件に合う人に送り、案内から予約につながった数と、期限内に通い切った人の数を数える
期限切れ間際に慌てて勧めると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 期限の直前になって何度も送る。 急がせる文が続くと、お客さまは押されていると感じます。送る回数の上限を決めておきます
- 残りの回数を写し間違える。 台帳と違う数字を送ると、信頼を失います。数字は表計算から差し込みます
- 案内に新しいコースの効果を書く。 第43条の誇大広告にあたるおそれがあります。効果の話は、来店のときに人が根拠を持って話します
まとめ
- 次回の案内の目的は、契約したコースを期限内に通い切ってもらうこと
- 特定電子メール法で、広告や宣伝のメールは同意した人など決まった相手にだけ送れ、断られたら止める
- 特定商取引法は、エステの広告で効果を盛ることと、勧誘で事実と違うことを告げることを禁じている
- 残りの回数と期限は台帳から差し込み、AIに数えさせない
- AIは案内の文を下書きし、スタッフが確かめ、新しいコースを勧めるかは店長が決める