AI×業種

診療所のホームページの点検|医療広告の決まりでAIが印を付け、院長が直す

この記事で変わる経営指標

この記事では、診療所のAI活用|受付の返事と紹介状の手間を減らし、医療広告も守るの「ホームページの文は、医療広告の決まりで点検する」を、ページごとに使える手順にして説明します。

一言でいうと、院長が、書いてはいけない言葉の一覧を作る。AIが、ページの文と一覧を照らして、当たりそうな所に印を付ける。院長が、印の所を読み、消すか言い換える。院長が直した文を載せ、年に1回見直す。載せるかは院長が決めるという形です。

経営への効果は、決まりを守りながら、正しい情報で選ばれること

ホームページは、初めての患者さんが診療所を選ぶときに見る大事な入り口です。一方で、何年も前に業者に作ってもらったまま、中身を見直していない診療所も少なくありません。

医療広告の決まりに反する言葉が残っていると、指導の対象になるおそれがあります。一度点検し、正しい情報だけを分かりやすく載せれば、安心して選ばれるホームページになります。

医療法で、ホームページも広告の決まりの対象になる

e-Gov法令検索で医療法を確かめると、第6条の5で、医業や診療所について、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示をする場合には、次のことが決められています。

決まり 中身
第1項 虚偽の広告をしてはならない
第2項 ほかの医療機関と比べて優れているという広告、誇大な広告、公の秩序や善良の風俗に反する広告をしない
第3項 広告できる事項は、診療科名、名称・電話番号・所在の場所、診療日や診療時間などに限られる(省令で定める場合を除く)

厚生労働省の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」によると、2018年6月1日施行の改正で、ウェブサイトなども規制の対象になりました。体験談は省令で禁止されており、加工・修正した治療の前後の写真は虚偽の広告にあたるとされています。一定の条件を満たせば広告できる事項を広げられる場合もありますが、その条件は事例解説書で確かめます。2026年10月時点の情報です。

AIは印を付けるだけで、決まりに当たるかは院長が決める

ある言葉が決まりに反するかどうかは、前後の文や載せ方によって変わります。AIに「この表現は違反です」と決めさせることはしません。

AIに頼むのは、ページの文と、書いてはいけない言葉の一覧を照らして、当たりそうな所に印を付けることです。何ページもある文を人が一字ずつ読むより、見落としが減ります。印の所をどう直すかは、院長が決めます。

今は、作ってもらったまま見直していない

小さな診療所では、ホームページを開業のときに業者に作ってもらい、その後は診療時間を直すくらいで、文はそのままになっていることがあります。当時は問題なかった言葉でも、今の決まりに照らすと直したほうがよいこともあります。

書いてはいけない言葉の一覧を一度作っておけば、ページごとにAIで印を付け、院長は印の所だけを読めば済みます。

そろえ、AIが印を付け、直して、載せる

診療所のホームページを点検する流れ。院長が書いてはいけない言葉の一覧を作る。AIがページの文と一覧を照らし当たる所に印を付ける。院長が印の所を読み消すか言い換える。院長が直した文を載せ、年に1回見直す。載せるかは院長が決める
診療所のホームページを点検する流れ。院長が書いてはいけない言葉の一覧を作る。AIがページの文と一覧を照らし当たる所に印を付ける。院長が印の所を読み消すか言い換える。院長が直した文を載せ、年に1回見直す。載せるかは院長が決める

1 そろえる(院長)。 事例解説書をもとに、書いてはいけない言葉の一覧を作ります。

2 印を付ける(AI)。 ページの文と一覧を渡し、当たりそうな所に印と理由を付けてもらいます。

3 直す(院長)。 印の所を読み、消すか言い換えます。迷う所は、保健所などの窓口に確かめます。

4 載せる(院長)。 直した文を載せ、年に1回見直します。

書いてはいけない言葉の一覧は、この5つの区分で作る

区分 印を付ける例
比べて優れているという言葉 「地域一番」「どこよりも」
誇大な言葉 「必ず治る」「最新の治療」(根拠のないもの)
体験談 患者さんの感想の載せ方、口コミの転載
写真 加工・修正した治療の前後の写真
費用の強調 費用の安さだけを大きく打ち出す書き方

一覧は、事例解説書を読みながら院長が作ります。AIに一覧を作らせると、決まりにない言葉まで入ったり、大事な言葉が抜けたりします。

AIへの頼み方と、返ってくる印はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下は、当院のホームページの「当院について」のページの文と、医療広告で書いてはいけない言葉の一覧です。文の中で、一覧の区分に当たりそうな所を抜き出し、区分と理由を一言で書いて表にしてください。決まりに反するかどうかの判断は書かないでください。直した文の案は作らないでください。

返ってくる印(見本の一部。内容は架空です):

文の一部 区分 理由
地域で一番丁寧な診療 比べて優れているという言葉 ほかの医療機関と比べている
最新の検査機器で必ず見つかる 誇大な言葉 「必ず」と言い切っている

確かめるときは、印のない所も読む

AIの印は、一覧と照らした結果です。一覧にない言い方は、見落とされることがあります。

  • 印のない所も、ひととおり読む
  • 写真と図も見る。 AIに文だけを渡した場合、写真は点検されていません
  • 院長や医師の紹介の書き方も見る。 経歴などは、載せられる事項かを事例解説書で確かめます
  • 迷う所は、保健所などの窓口に確かめる
  • 診療時間や休診日など、変わりやすい情報が今と合っているかも見る。 決まりとは別に、古い情報は患者さんを困らせます

説明の紙の作り方は、診療所の説明の紙|医師が決めた中身からAIで読みやすくし、診察室で渡すで説明しています。歯科医院の例は、歯科医院のホームページの文章|医療広告のルールに沿って安心して載せるでも説明しています。

SNSや看板、チラシにも、同じ一覧を使う

医療法第6条の5は、「文書その他いかなる方法によるを問わず」と書かれています。ホームページだけでなく、SNSの投稿、看板、チラシ、地域の情報誌の広告も、同じ決まりの中にあります。

  • SNSに投稿する前に、同じ一覧でAIに印を付けさせてから出す
  • 看板やチラシを作り直すときも、文を一覧と照らす
  • 業者に作ってもらう広告も、出す前に院長が読む。 業者が書いた言葉でも、広告を出すのは診療所です

一覧を1つにしておけば、どの媒体の文でも、誰が書いた文でも、同じ線で点検できます。

型をスキルにし、決まりに当たるかの判断はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「書いてはいけない言葉の5つの区分の一覧」「印の付け方の指示」「書いてはいけないこと(違反かどうかの断定、直した文の案、患者さんの名前)」をスキルにします。

判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、院長が一覧を作ること、印の所を院長が読んで直すこと、迷う所を窓口に確かめることがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1ページ2円ほど

費用 見込み
ページの点検 ページの文と一覧と指示(入力2千トークンほど)から印の表(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1ページ2円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
院長の時間 印の所を読んで直すのに1ページ十数分(想定)

必要な人は1役で、載せるかは院長が決める

  • 院長:一覧を作り、AIに印を付けさせ、印の所を直し、載せるかを決める

ホームページを業者に任せている場合は、直した文を業者に渡して差し替えてもらいます。

1か月で全ページを点検できる見込み

  1. 1週目:事例解説書を読み、書いてはいけない言葉の一覧を5つの区分で作る
  2. 2週目:トップと「当院について」のページでAIに印を付けさせ、院長が直す
  3. 3週目:残りのページを点検し、写真と図も見直す
  4. 4週目以降:直した文を載せ、年に1回と、ページを足すたびに点検する

AIに直した文まで書かせると失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • AIに違反かどうかを判断させる。 判断は前後の文や載せ方によって変わります
  • AIに直した文を書かせて、そのまま載せる。 新しい誇大な言葉が混ざることがあります
  • 文だけ点検して写真を見ない。 加工した写真は虚偽の広告にあたります

まとめ

  • 医療法第6条の5で、ホームページを含む医療の広告では、虚偽、比較優良、誇大な表示が禁じられ、広告できる事項も限られている
  • 事例解説書では、体験談は省令で禁止され、加工した治療前後の写真は虚偽の広告にあたるとされる
  • 院長が書いてはいけない言葉の一覧を5つの区分で作り、AIはページの文と照らして印を付けるだけにする
  • 印の所は院長が読んで直し、迷う所は窓口に確かめる
  • 写真と図も見直し、年に1回と、ページを足すたびに点検する

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