AI×業種

民泊の外国語の案内の作り方|設備・交通・災害の連絡先をAIで訳す

この記事で変わる経営指標

この記事では、民泊の運営のAI活用|外国語の案内と名簿の点検を少ない手で回すの「外国語の案内は、ハウスルールから下書きする」を、案内の1冊として形にする方法を説明します。

一言でいうと、事業者が、設備の使い方、交通手段、災害時の連絡先、騒音・ごみ・火災防止の決まりを日本語で書き出し、これを正本にする。AIが英語などに訳し、迷う所に【確認】の印を付ける。事業者が電話番号と住所を日本語の正本と照らす。部屋に置き、予約の確定のときにも送り、宿泊者から質問が来たら日本語の正本から直すという形です。

経営への効果は、滞在中の問い合わせを減らし、選ばれる宿にすること

観光庁の民泊制度ポータルサイトによると、住宅宿泊事業者は、外国人の宿泊者に、外国語で設備の使い方、移動のための交通手段、火災や地震などの災害が起きたときの通報連絡先を案内する必要があります。騒音、ごみの処理、火災の防止についても、書面の備付けなどで説明します。

決まりを守るだけでなく、分かりやすい案内があれば、「お湯の出し方が分からない」「ごみはどこに出すのか」といった滞在中の問い合わせが減ります。夜中に電話で呼ばれることも減り、少ない手で運営できます。宿泊者にとっても、迷わず過ごせる宿は、また泊まりたい宿になります。

今は、手作りの英語の案内が、日本語と食い違っている

小さな民泊では、開業のときに英語の案内を作ったきり、更新していないことがあります。日本語の案内を直しても、英語の案内は古いまま、ということも起きます。電話番号や、ごみの出し方の曜日が食い違っていると、宿泊者が困ります。

宿泊者の国が増えると、英語だけでなく、ほかの言語の案内も求められます。言語ごとに案内を作り直すと、手間が増え、食い違いも増えます。日本語の案内を1つの正本にし、そこから訳す形にすれば、直すのは日本語の1か所だけで済みます。

書き出し、AIが訳し、確かめて、届ける

民泊の外国語の案内を作る流れ。事業者が設備・交通・災害の連絡先を日本語で書き出す。AIが英語などに訳し、迷う所に【確認】の印を付ける。事業者が電話番号と住所を照らす。部屋に置き、予約確定時に送り、質問が来たら直す。連絡先と住所は事業者が確かめる
民泊の外国語の案内を作る流れ。事業者が設備・交通・災害の連絡先を日本語で書き出す。AIが英語などに訳し、迷う所に【確認】の印を付ける。事業者が電話番号と住所を照らす。部屋に置き、予約確定時に送り、質問が来たら直す。連絡先と住所は事業者が確かめる

1 書き出す(事業者)。 日本語で案内を書き出し、これを正本にします。

2 訳す(AI)。 正本を渡し、英語など宿泊者の多い言語に訳してもらいます。分かりにくい表現には【確認】の印を付けてもらいます。

3 確かめる(事業者)。 電話番号、住所、時刻、曜日が正本と同じかを照らします。

4 届ける(事業者)。 部屋に置き、予約が確定したときにもメッセージで送ります。宿泊者から質問が来たら、日本語の正本を直してから訳し直します。

日本語の正本は、この5つの章で書く

章 中身の例(想定)
設備の使い方 鍵、エアコン、給湯、洗濯機、Wi-Fi
交通手段 最寄りの駅とバス停、空港からの行き方、タクシーの呼び方
災害時の連絡先 消防・救急、警察、事業者の連絡先、近くの避難場所
近所への配慮 騒音の時間、ごみの分け方と出す日、火の扱い
チェックアウト 時刻、鍵の返し方、忘れ物の連絡先

日本語の正本は、写真や図を入れて、文を短くします。短い文のほうが、訳したときに意味がずれにくくなります。

AIへの頼み方と、返ってくる訳はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下は、当施設の日本語の案内(正本)です。英語に訳してください。電話番号、住所、時刻、曜日、施設名はそのまま写し、書き換えないでください。日本語の正本にないことは書き足さないでください。日本の習慣を知らない人には分かりにくい所(ごみの分け方など)は、訳したうえで、訳の後ろに【確認】として日本語で理由を書いてください。最後に、訳した英語を日本語に戻した文も付けてください。

最後の「日本語に戻した文」は、事業者が英語を読めなくても、訳が正本とずれていないかを確かめるためのものです。

返ってくる訳(見本の一部。内容は架空です):

In case of emergency Fire / Ambulance: 119 Police: 110 Host: 090-XXXX-XXXX (24 hours) Evacuation area: 〇〇 Elementary School (5 min walk)

確かめるのは、番号と住所と、ごみの出し方

AIの訳は、送る前と部屋に置く前に必ず確かめます。特に次の3つを見ます。

  • 電話番号と住所。 正本と1文字ずつ照らします。間違っていると、災害のときに連絡がつきません
  • 曜日と時刻。 ごみの出す日、チェックアウトの時刻が正本と同じかを見ます
  • 日本語に戻した文。 正本と意味がずれていないかを読みます。【確認】の所は、正本の書き方を直すか、説明を足します

できれば、その言語が分かる知人や、地域の国際交流の窓口などに、一度読んでもらうと安心です。

宿泊者の質問は、正本を直す材料にする

宿泊者から同じ質問が何度も来るなら、案内のどこかが分かりにくいということです。

  • 質問を記録する。 宿泊者からのメッセージで聞かれたことを、日付と一緒に記録します
  • 月に1回、質問を見直す。 AIに1か月分の質問を渡し、案内のどの章に関わるかを分けてもらいます
  • 正本を直してから訳し直す。 日本語の正本を直し、すべての言語を訳し直します。訳だけを直すと、言語ごとに食い違いが出ます

予約確定のメッセージには、到着前に要る所だけを抜き出す

案内の全部を予約確定のときに送っても、読まれないことがあります。到着前に要る所だけを短く抜き出して送ります。

  • 到着の日に要ることを先に書く。 住所、最寄り駅からの道順、鍵の受け取り方、チェックインの時刻を最初に書きます
  • 案内の全文はリンクか添付で付ける。 部屋に置いてあることと、同じものを読めることを伝えます
  • 災害時の連絡先も入れる。 短いメッセージでも、事業者の連絡先と緊急の番号は必ず入れます

AIには、正本から到着前のメッセージを宿泊者の言語で下書きさせ、番号と住所を事業者が照らしてから送ります。

言語を増やすときも、正本から訳す

宿泊者の国が増えたら、同じ正本から別の言語に訳します。中国語、韓国語など、宿泊者の多い言語から順に増やします。言語ごとの案内には、正本の版(いつ直したものか)を書いておくと、どの言語が古いままかが分かります。

型をスキルにし、連絡先の確認はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「日本語の正本」「訳すときの決まり(番号と住所はそのまま、書き足さない、日本語に戻した文を付ける)」「【確認】の付け方」をスキルにします。

連絡先の確認は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、日本語の正本を事業者が書くこと、電話番号と住所を事業者が照らすこと、直すときは正本から直すことがそれに当たります。

費用はAIの利用料が1言語9円ほど

費用 見込み
1言語の訳 正本(入力4千トークンほど)から訳と日本語に戻した文(出力5千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1言語9円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
事業者の時間 正本の書き出しに半日ほど、確かめに1言語1時間ほど(想定)
印刷 部屋に置く分

必要な人は事業者1人で、管理業者がいれば一緒に

  • 事業者:日本語の正本を書き、AIの訳を確かめ、部屋に置いて送る。質問を記録して正本を直す
  • 住宅宿泊管理業者(委託している場合):同じ正本を使い、宿泊者からの問い合わせに対応する

観光庁のポータルサイトによると、家主不在型などの場合は、案内を含む措置を住宅宿泊管理業者に委託することになります。委託しているなら、正本を管理業者と共有し、どちらが直すかを決めておきます。

1か月で英語版ができ、3か月で質問が減ったかが見える見込み

  1. 1〜2週目:日本語の正本を5つの章で書き出す
  2. 3週目:AIで英語に訳し、番号と住所を照らし、部屋に置く
  3. 4週目から:予約確定のときに送り、宿泊者の質問を記録する
  4. 3か月目:質問の数を始める前と比べ、正本を直す

正本を持たずに訳だけ直すと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 訳だけを直す。 英語の案内だけを直すと、日本語の正本やほかの言語と食い違います。必ず正本から直します
  • 番号や住所をAIに書かせる。 正本にない番号をAIが補うことがあります。番号と住所はそのまま写させ、事業者が照らします
  • 写真の説明を訳し忘れる。 写真の中の日本語(スイッチの表示など)は訳されません。写真に外国語の説明を添えます

まとめ

  • 民泊では、外国語で設備の使い方、交通手段、災害時の通報連絡先を案内する決まりがある
  • 日本語の案内を正本にし、AIで英語などに訳し、迷う所に【確認】の印を付けさせる
  • 電話番号と住所は書き換えさせず、事業者が正本と1文字ずつ照らす
  • 日本語に戻した文を付けさせれば、外国語が読めなくても訳のずれを確かめられる
  • 宿泊者の質問は正本を直す材料にし、直すときは正本から訳し直す

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