AI×業種

薬局の服薬フォローの連絡|薬剤師が決めた中身からAIで下書きし、記録に残す

この記事で変わる経営指標

この記事では、調剤薬局のAI活用|服薬のフォローと記録の手間を減らし、選ばれる薬局にの「服薬のフォローは、薬剤師が決めた中身で連絡を下書きする」を、毎週続けられる手順にして説明します。

一言でいうと、薬剤師が、フォローする患者さん、連絡の時期、聞くことを決める。AIが、電話で聞くことのメモと、メッセージで送る文を下書きする。薬剤師が連絡して話を聞き、訴えがあれば判断する。聞いたことを記録の欄に整えて残す。フォローが必要かの判断は薬剤師が行うという形です。

経営への効果は、気にかけてくれる薬局として選ばれること

薬を渡したあと、患者さんは家で飲み始めてから迷うことがあります。飲み忘れ、体の変化、飲みにくさなどを、次に来るまで抱えたままの人もいます。

調剤のあとに薬局から「その後いかがですか」と連絡があれば、患者さんは安心します。困りごとを早く聞ければ、薬剤師が手を打てます。気にかけてくれる薬局だと感じてもらえれば、次の処方箋も持ってきてもらいやすくなります。

薬剤師法で、調剤後のフォローは義務になっている

e-Gov法令検索で薬剤師法を確かめると、第25条の2第2項で、薬剤師は、調剤した薬の適正な使用のために必要があると認める場合には、患者さんの薬の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な情報を提供し、薬学的知見に基づく指導を行わなければならないとされています。

点 中身
始まった時期 2020年9月1日施行(厚生労働省の検討会資料)
誰が判断するか 薬剤師が、必要があると認める場合
すること 使用の状況を継続的に把握し、情報提供と指導を行う
記録 情報提供や指導の内容は記録が必要(徳島県の案内)
処方医への連絡 服薬状況などを処方医などに伝えることは努力義務(厚生労働省の検討会資料)

フォローが必要かどうかは、薬剤師が患者さんと薬の状況を見て決めます。2026年10月時点の情報です。

AIに渡すのは、病名を外した聞くことのメモだけ

病歴は、個人情報保護法第2条第3項の「要配慮個人情報」に含まれます。フォローの連絡をAIで下書きするときも、患者さんの名前や病名をそのまま渡す必要はありません。

AIに渡すのは、薬剤師が決めた「聞くこと」と、連絡の手段だけにします。患者さんの名前は「〇〇様」と空け、送る前に人が入れます。会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランを使うことも、経営者が決めておきます。

今は、気になった患者さんにだけ電話している

小さな薬局では、薬剤師が調剤の合間に、気になった患者さんにだけ電話しています。誰にいつ連絡するかが頭の中にあり、忙しい日は後回しになります。電話のあとの記録も、閉局後にまとめて書くことになりがちです。

フォローの一覧を作り、聞くことのメモと記録の型をAIで整えておけば、連絡の抜けが減り、記録の手間も小さくなります。

決め、AIが下書きし、連絡して、残す

薬局の服薬フォローを回す流れ。薬剤師がフォローする人と時期と聞くことを決める。AIが電話で聞くことのメモと送る文を下書きする。薬剤師が電話で聞き、訴えがあれば判断する。薬剤師が聞いたことを記録の欄に残す。フォローの判断は薬剤師が行う
薬局の服薬フォローを回す流れ。薬剤師がフォローする人と時期と聞くことを決める。AIが電話で聞くことのメモと送る文を下書きする。薬剤師が電話で聞き、訴えがあれば判断する。薬剤師が聞いたことを記録の欄に残す。フォローの判断は薬剤師が行う

1 決める(薬剤師)。 服薬指導のときに、フォローする患者さん、連絡の時期、聞くこと、連絡の手段を決め、一覧に書きます。

2 下書きする(AI)。 聞くことを渡し、電話で聞くことのメモと、メッセージで送る短い文を下書きしてもらいます。

3 連絡する(薬剤師)。 一覧から時期が来た人に連絡し、話を聞きます。訴えがあれば、薬剤師が判断します。

4 残す(薬剤師)。 聞いたことと伝えたことのメモをAIで記録の欄に整え、薬剤師が直してから残します。

フォローの一覧は、この5つの欄でそろえる

欄 中身の例(想定)
患者さんの番号 名前は薬局の記録で番号とつなぐ
連絡の時期 飲み始めて〇日後
聞くこと 飲み忘れ、体の変化、飲みにくさ(薬剤師が決める)
連絡の手段 電話、メッセージ(患者さんの希望)
結果 連絡した日、話した薬剤師、記録に残したか

連絡の手段と時間帯は、服薬指導のときに患者さんに聞いておきます。

AIへの頼み方と、返ってくるメモと文はこうなる

AIに渡す指示(見本):

薬局の薬剤師が、薬を飲み始めた患者さんに連絡します。聞くことは「飲み忘れがないか」「体の変化がないか」「飲みにくさがないか」です。電話で聞くときのメモ(聞く順番と言い方)と、メッセージで送る短い文を作ってください。薬の効き目や副作用の説明は書かないでください。体の変化があると答えた人には「薬剤師がお電話で詳しく伺います」と書いてください。患者さんの名前は「〇〇様」と空けてください。

返ってくる文(見本。内容は架空です):

〇〇様 先日はご来局ありがとうございました。お薬を飲み始めてから、飲み忘れや体の変化、飲みにくさはございませんか。気になることがあれば、このメッセージにご返信いただくか、お電話ください。薬剤師がお電話で詳しく伺います。

確かめるときは、説明の書き足しと決めつけを見る

AIの下書きは、渡した聞くことをもとにしています。それでも、言葉を補う中で、薬剤師が決めていない中身が混ざることがあります。

  • 薬の効き目や副作用の説明が書き足されていないかを見る
  • 「問題ありません」のような決めつけがないかを見る。 判断は話を聞いてから薬剤師が行います
  • 聞くことが薬剤師の決めたとおりかを見る
  • 病名や薬の名前が入っていないかを見る。 メッセージは家族が見ることもあります

訴えがあれば、薬剤師が判断し、必要なら処方医に伝える

連絡で、体の変化や飲みにくさの訴えを聞いたら、薬剤師が判断します。

  • すぐ受診してもらうべきかを、薬剤師が判断する
  • 処方の見直しが要りそうなら、処方した医師に伝える。 厚生労働省の資料では、服薬状況などを処方医などに伝えることは努力義務とされています
  • 聞いたことと伝えたことを、記録に残す

処方医に伝える文も、AIで下書きできます。中身は薬剤師が聞いたことだけにし、薬剤師の判断を書き換えさせません。

記録は、聞いたことのメモを欄に整える

徳島県の案内では、情報提供や指導の内容は記録が必要とされています。

  • 連絡のすぐあとに、薬剤師が短いメモを残す。 聞いたこと、伝えたこと、次に確かめることです
  • AIに、記録の欄に整えさせる。 メモにないことは足させません
  • 薬剤師が読み、直してから記録に入れる

型をスキルにし、フォローの判断はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「フォローの一覧の5つの欄」「聞くことのメモと送る文の型」「記録の欄」「書いてはいけないこと(効き目や副作用の説明、決めつけ、病名、患者さんの名前)」をスキルにします。

フォローの判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、薬剤師がフォローする人と聞くことを決めること、連絡して話を聞いて判断すること、記録を直してから残すことがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1件2円ほど

費用 見込み
メモと文の下書き 聞くことと指示(入力2千トークンほど)からメモと文(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1件2円ほど。型を作れば使い回せる
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
薬剤師の時間 連絡と記録に1件数分から十数分(想定)

必要な人は2役で、判断は薬剤師が行う

  • 薬剤師:フォローする人と聞くことを決め、連絡して判断し、記録を残す
  • 事務の担当:一覧から時期が来た人を出し、メッセージで送る場合は名前を入れて送る

1か月で一覧と型ができ、毎週回せる見込み

  1. 1週目:フォローの一覧の5つの欄を作り、服薬指導のときに連絡の手段を聞き始める
  2. 2週目:よくある聞くことの型をAIで下書きし、薬剤師が直す
  3. 3週目:記録の欄と書いてはいけないことをスキルにまとめる
  4. 4週目以降:毎週、一覧から連絡し、連絡した数と記録に残した数を数える

文だけ送って話を聞かないと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • メッセージを送っただけで終える。 返事があれば、薬剤師が話を聞いて判断します
  • AIの文に副作用の説明が混ざる。 患者さんを不安にさせたり、誤解させたりします
  • 記録を閉局後にまとめて書く。 聞いたことを忘れ、記録が薄くなります

まとめ

  • 薬剤師法第25条の2第2項で、2020年9月から、必要と認めるときは調剤後も使用状況を継続的に把握し、情報提供と指導を行うことが薬剤師の義務
  • 情報提供や指導の内容は記録が必要で、服薬状況などを処方医に伝えることは努力義務
  • 薬剤師がフォローする人と聞くことを決め、AIは聞くことのメモと送る文を下書きする
  • AIに渡すのは聞くことだけにし、病名と名前は渡さない
  • 訴えへの判断は薬剤師が行い、聞いたことはAIで欄に整えて薬剤師が直してから記録に残す

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