AI×業種

鍼灸院のAI活用|施術のあとの説明と次回の案内で通い続けてもらう

この記事で変わる経営指標

この記事では、小さな鍼灸院やあん摩マッサージ指圧の施術所を営む院長に向けて、AIが効く業務を4つ挙げ、どう使うかを説明します。一言でいうと、予約と問い合わせの返事、施術の記録の整理、施術のあとの過ごし方を書いた紙、施術者が決めた間隔での次回の案内を、AIに下書きさせる。広告や案内の文は、あはき法の決まりと照らしてから出し、施術の判断と受診の勧めは施術者が行うという話です。

AIの価値は、施術の代わりをすることではありません。予約の返事や記録のように、施術の合間や施術所を閉めたあとにこなしている書きものを減らし、患者さんに向き合う時間を増やすことです。

経営への効果は、施術のあとの不安を減らし、通い続けてもらうこと

鍼灸やマッサージは、間隔を空けて何度か通ってもらうこともある施術です。施術のあと、家でどう過ごせばよいか、次はいつ来ればよいかが分からないと、患者さんは足が遠のきます。

施術のあとに過ごし方を短く書いた紙を渡し、施術者が決めた間隔で次回の案内を送れば、患者さんは安心して通い続けられます。小さな施術所の売上は、通い続けてくれる患者さんに支えられています。

小さな鍼灸院でAIが効く4つの業務と経営効果。予約と問い合わせの返事、施術のあとの過ごし方の紙、次の来院の案内は売上、施術の記録の整理は業務の無駄に効く。施術の判断と、医師にかかるべきかの判断は施術者が行う
小さな鍼灸院でAIが効く4つの業務と経営効果。予約と問い合わせの返事、施術のあとの過ごし方の紙、次の来院の案内は売上、施術の記録の整理は業務の無駄に効く。施術の判断と、医師にかかるべきかの判断は施術者が行う

施術所の広告は、あはき法で事項が限られている

e-Gov法令検索で「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(あはき法)を確かめると、第7条で、施術所などについて広告できるのは次の事項に限られています。

  • 施術者である旨と、施術者の氏名・住所
  • 業務の種類(あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう)
  • 施術所の名称、電話番号、所在の場所
  • 施術日または施術時間
  • その他、厚生労働大臣が指定する事項

これらを広告するときも、その内容が施術者の技能、施術方法、経歴にわたってはならないとされています。

大田区のページ(2026年9月15日更新)では、厚生労働大臣が指定する事項として、もみりょうじ、やいと・えつ、小児鍼、開設の届出をした旨、医療保険の療養費の支給申請ができる旨(医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)などが挙げられています。施術所の名称も広告の規制の対象で、「あはき・柔整広告ガイドライン」を守るよう求められています。

つまり、看板やチラシ、ホームページの広告に当たる部分では、「腰痛に効く」「〇〇療法の専門家」のように、症状への効き目や技能、施術方法を打ち出すことはできません。AIで文を下書きするときも、この線を最初の指示に入れておく必要があります。

ほかにも、第9条の2では施術所を開設したら10日以内に都道府県知事(保健所を置く市や特別区では、その窓口)へ届け出ること、第9条の5では構造設備の基準と衛生上必要な措置が決められています。細かな中身は、施術所の所在地の保健所で確かめてください。2026年10月時点の情報です。

予約と問い合わせの返事は、受付の決まりから下書きする

電話やメール、SNSの問い合わせは、施術時間、予約の取り方、初めての来院の流れ、料金、駐車場など、同じ内容がくり返されます。

  • 受付の決まりを1枚にまとめる。 施術日と施術時間、予約の取り方、初めての来院の流れ、料金、支払いの方法を書きます
  • AIに、決まりに沿った返事を下書きさせる。 決まりにないことは「施術者から改めてお知らせします」と書かせます
  • 症状の相談には答えさせない。 「この痛みは治りますか」といった相談には、AIの文で答えず、施術者が聞きます

返事の文にも、「必ず良くなる」「当院の技術で」のような言い方を入れないよう、指示で決めておきます。

施術の記録は、施術者のメモを整える

施術のあと、施術者は記録を残します。施術が続く日は、記録が閉めたあとに回ることがあります。

  • 施術者のメモを、そのまま渡す。 手書きのメモの写しや、声で入力した文を使います
  • AIに、施術所の記録の形に整えさせる。 来院日、主な訴え、施術した部位と内容、患者さんの様子、次回の予定といった欄に分けます
  • 施術者が読み、書いていないことが足されていないかを確かめる

患者さんの名前や連絡先は、記号に置き換えてからAIに渡します。会社で契約した、入力をAIの学習に使わない法人向けのプランで使うことが前提です。

施術のあとの過ごし方は、施術者が決めた中身から下書きする

施術のあとに渡す紙は、患者さんが家で読み返せる案内です。

  • 施術者が中身を決める。 施術のあとに気をつけること、入浴や運動の目安、こんなときは連絡してほしいという目安を、施術者が書きます
  • AIに、読みやすい言葉に直させる。 専門の言葉を言い換え、箇条書きにして、A4で1枚にします
  • 効き目の約束は書かせない。 「〇回で治ります」のような文は書かせません

こんなときは医師にかかってほしいという目安も、施術者が決めて書きます。AIには、施術者が書いていない注意を足させません。

次回の案内は、施術者が決めた間隔で送る

次回の来院の目安は、施術者が患者さんの様子を見て決めます。

  • 記録から、来院の目安が近い人の一覧を出す。 前回の来院日と施術者が決めた間隔から、表計算で出します
  • AIに、案内の文の型を作らせる。 名前と日付を差し込める形にします
  • 割引や効き目の言葉を入れない。 案内であっても、不特定の人に広がる形で出すと広告に当たりうるので、あはき法で広告できる事項と照らしておきます

案内の送り先は、患者さんが案内を受け取ることに同意しているかも確かめておきます。

SNSやチラシの文は、広告できる事項と照らしてから出す

施術所のSNSやチラシの文をAIに下書きさせることもあるでしょう。AIは、広告の決まりを知らないまま、「肩こりに効く」「経験20年の院長が」のような言い方を書くことがあります。

  • 広告できる事項の一覧を作る。 第7条の事項と、大田区のページにある厚生労働大臣が指定する事項を、院長が一覧にします
  • AIの下書きを一覧と照らさせる。 一覧にない事項や、技能・施術方法・経歴にわたる言い方に印を付けさせます
  • 院長が直して出す。 迷うものは出さずに、保健所に確かめます

療養費の支給申請ができる旨を載せるなら、医師の同意が必要な旨もあわせて書きます。

令和7年2月のあはき・柔整広告ガイドラインの考え方と、載せてはいけない言い方の一覧の作り方は、鍼灸院のSNSとチラシをAIで下書き|あはき・柔整広告ガイドラインで照らすで説明しています。

施術の判断と受診の勧めは、AIに任せない

AIに任せないことを、先に決めておきます。

  • 施術の判断。 どこにどう施術するかは、施術者が患者さんを見て決めます
  • 医師にかかるべきかの判断。 症状によっては、施術より先に医師にかかってもらう必要があります。施術者が判断して伝えます
  • 症状の相談への答え。 電話や窓口で施術者が聞きます
  • 療養費の申請。 医師の同意や書類のことは、施術者が決まりに沿って進めます

返事と案内の型をスキルにし、判断はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「受付の決まりと返事の型」「記録の欄」「施術のあとの過ごし方の紙の型」「次回の案内の型」「広告できる事項の一覧」「書いてはいけないこと(効き目の約束、技能や経歴の宣伝、症状への答え、患者さんの名前)」をスキルにします。

判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、過ごし方の中身を施術者が決めること、来院の目安を表計算で出すこと、SNSやチラシの文を広告できる事項と照らしてから院長が出すことがそれに当たります。

費用は、法人向けプランの月数千円から始められる

返事と記録と案内の下書きは、会社で契約した、入力をAIの学習に使わない法人向けのプランのチャットで足ります。費用は1人あたり月数千円です。予約の仕組みとつなぐ場合は、その仕組みの会社に、つなげるかと費用を確かめます。

明日からは、施術のあとの過ごし方の紙を1種類作る

  1. よくある施術を1つ選ぶ(例:肩と首のはり)
  2. 施術者が、施術のあとに気をつけることと連絡してほしい目安を箇条書きで書く
  3. AIに読みやすい言葉に直させ、施術者が読んで、次の施術から渡す

受付の決まりと返事の型は、その次に作ります。

効果は、次の来院の予約と、案内からの来院で測る

測るもの 見方
次の来院の予約 施術のあとに次回の予約を入れた人の割合を、始める前と比べる
案内からの来院 次回の案内を送った人のうち、来院した数
記録の時間 閉めたあとに記録を書いた時間(施術者が測る)

始める前の1か月を、先に測っておきます。

まとめ

  • あはき法で、施術所の広告は施術者の氏名、業務の種類、施術所の名称と所在地、施術日と時間、大臣が指定する事項に限られ、技能・施術方法・経歴にわたってはならない
  • 予約と問い合わせの返事は受付の決まりから下書きさせ、症状の相談には答えさせない
  • 施術の記録と過ごし方の紙は、施術者が決めた中身からAIに整えさせ、効き目の約束は書かせない
  • 次回の案内とSNSの文は、広告できる事項と照らしてから出す
  • 施術の判断、受診の勧め、療養費の申請はAIに任せない

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