補助金でAIを入れる段取り|交付決定の前に契約しない日程表の作り方
この記事では、デジタル化・AI導入補助金で生成AIは対象?使える費用と使えない費用の「交付が決まる前に契約すると、補助金は出ない」を防ぐために、申請から入金までの日程表を作る方法を説明します。
一言でいうと、社長が、AIを入れたい業務と使い始めたい月を決める。AIが、公募要領と支援事業者の案内から、申請から入金までの日程表を下書きする。担当が、公募要領と支援事業者に日付を確かめる。交付決定の前に契約・発注・支払いをせず、補助金は後払いなので全額を資金繰りに入れておくという形です。
経営への効果は、順番の間違いで補助金を失わないこと
補助金は、条件に合っていても、手順の順番を間違えると受けられません。特に多いのが、交付が決まる前に道具を契約したり、支払ったりしてしまうことです。せっかく採択されても、補助の対象外になります。
日程表を先に作っておけば、「いつまで契約してはいけないか」「いつまでに何を出すか」が社内で共有できます。後払いの分を資金繰りに入れておけば、導入のときに資金が足りなくなる心配も減ります。
正しい順番は、申請、交付決定、契約・導入、実績報告、入金
補助金エージェントの解説によると、IT導入補助金(2026年度からはデジタル化・AI導入補助金)の流れは、申請、交付決定、発注・導入、実績報告の順で、補助金は後払いです。IT導入補助金事務局の手引きでも、交付決定を受ける前に契約・発注・支払いをしたものは補助の対象にならないとされています。
創業手帳とJ-Net21の案内によると、この補助金は、登録されたツールを、IT導入支援事業者と一緒に入れる場合が対象です。申請も支援事業者と進めます。細かな手順と日付は、回ごとの公募要領と、支援事業者の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。
今は、「早く使いたい」で順番が崩れる
道具を決めると、早く使いたくなります。販売する会社から「今月中に契約すれば割引」と言われることもあります。交付決定を待たずに契約してしまうと、補助金は受けられません。
また、補助金は後払いなので、導入のときには全額を会社が払います。入金は、実績を報告し、事務局の確認を経たあとです。この間の資金を見込んでいないと、資金繰りが苦しくなります。
決め、AIが逆算し、確かめ、順番を守る
1 決める(社長)。 AIを入れたい業務と、使い始めたい月を決めます。
2 逆算する(AI)。 公募要領の日程と、支援事業者の案内をAIに渡し、使い始めたい月から逆算した日程表を下書きしてもらいます。
3 確かめる(担当)。 日程表の日付を、公募要領と支援事業者に1つずつ確かめます。
4 守る(社長)。 交付決定の通知が来るまで、契約・発注・支払いをしません。導入の費用の全額を、資金繰りの表に入れます。
日程表は、この6つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 段階 | 準備、申請、交付決定、契約・導入、実績報告、入金 |
| すること | 支援事業者と相談、申請書類の用意、導入、報告書の提出など |
| 期限 | 公募要領に書かれた締切、支援事業者と決めた日 |
| 担当 | 社長、事務の担当、支援事業者 |
| やってはいけないこと | 交付決定前の契約・発注・支払い |
| 確かめた所 | 公募要領のページ、支援事業者の担当者 |
「やってはいけないこと」の欄を作るのが大事です。交付決定までの行には、すべて「契約・発注・支払いをしない」と書いておきます。
AIへの頼み方と、返ってくる日程表はこうなる
AIに渡す指示(見本):
添付は、補助金の公募要領と、支援事業者から届いた案内です。当社は、〇月から問い合わせの返事にAIの道具を使い始めたいと考えています。申請、交付決定、契約・導入、実績報告、入金の順で、上の6つの欄の日程表を下書きしてください。日付は資料に書かれているものだけを使い、書かれていないものは「要確認」と書いてください。交付決定より前の行には、「契約・発注・支払いをしない」と書いてください。使い始めたい月に間に合わない場合は、そう書いてください。
返ってくる日程表(見本の一部。内容は架空です):
段階 すること 期限 やってはいけないこと 申請 申請書類を支援事業者と出す 〇月〇日(公募要領8ページ) 契約・発注・支払いをしない 交付決定 通知を待つ 要確認 契約・発注・支払いをしない 契約・導入 交付決定のあとに契約し、使い始める 要確認 —
後払いの分は、資金繰りの表に入れる
日程表ができたら、お金の動きも表にします。
- 支払う月に全額を入れる。 導入の費用は、いったん全額を会社が払います。支払う月の資金繰りに入れます
- 入金は、報告のあとの見込みで入れる。 入金の月は、実績報告と事務局の確認のあとになります。早めに見込まず、余裕を持たせます
- 入金されない場合も考える。 報告の不備などで入金が遅れることもあります。補助金がなくても払える額かを、社長が確かめておきます
実績報告で困らないよう、導入のときから記録を残す
実績報告では、導入したことと支払ったことを示す書類を求められます。どの書類が要るかは公募要領で確かめ、導入のときからまとめて保存しておきます。
- 書類の置き場所を1つにする。 契約書、請求書、支払いの記録、導入した画面の写しなどを、1つのフォルダに日付順で入れます
- AIに書類の一覧を作らせる。 公募要領の実績報告の項目と、保存した書類の名前をAIに渡し、足りない書類がないかの一覧を作らせます
- 期限は日程表に書く。 実績報告の期限を日程表に入れ、担当を決めておきます
補助金の公募要領の読み方は、補助金の公募要領をAIで読む|対象・締切・書類を1枚の確認表にで説明しています。
販売する会社から「先に契約を」と言われたら
道具を売る会社や支援事業者から、交付決定の前に契約や支払いを勧められることがあるかもしれません。そのときに迷わないよう、社内で答え方を決めておきます。
- 「交付決定の通知が来てから契約します」と伝える。 補助金を使うと決めたなら、この順番は変えられません
- 割引の期限は、補助金と比べて決める。 先に契約すれば割引があるなら、補助金を使わずに割引で契約するほうが得かを、社長が比べて決めます
- 口約束で進めない。 「申し込みだけ先に」「支払いは後で」といった話も、契約や発注に当たらないかを支援事業者と事務局の案内で確かめます
日程表の「やってはいけないこと」の欄を、営業の担当や事務にも見せておくと、社内の誰かがうっかり発注することも防げます。
日程表の型をスキルにし、順番を守ることはAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「日程表の6つの欄」「交付決定前の行に必ず書くこと」「書いてはいけないこと(資料にない日付、対象かの判断)」をスキルにします。次の補助金でも同じ形で日程表が作れます。
順番を守ることは、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、日付を公募要領と支援事業者で確かめること、交付決定の通知を社長が見てから契約すること、資金繰りの表を社長が見ることがそれに当たります。
費用はAIの利用料が1回5円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 日程表の下書き | 公募要領の日程の部分と案内(入力8千トークンほど)から日程表(出力1,500トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回5円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 担当の時間 | 日付の確かめに1〜2時間(想定) |
必要な人は3役で、契約の時期を決めるのは社長
- 社長:入れたい業務と時期を決め、交付決定の通知を見てから契約する。資金繰りを見る
- 事務の担当:日程表を作って日付を確かめ、書類を保存し、実績報告の準備をする
- 支援事業者:申請と導入を一緒に進め、日程と必要な書類を案内する
申請から入金まで、日程表を見ながら進められる見込み
- 申請の前:社長が業務と時期を決め、AIで日程表を下書きし、担当が確かめる
- 申請から交付決定まで:契約・発注・支払いをせず、通知を待つ
- 交付決定のあと:契約して導入し、書類を保存していく
- 実績報告から入金まで:書類の一覧を確かめて報告し、入金を資金繰りの表と照らす
まとめ
- 補助金の順番は、申請、交付決定、契約・導入、実績報告、入金
- 交付決定の前に、契約・発注・支払いをすると補助の対象にならない
- 使い始めたい月から逆算した日程表をAIに下書きさせ、日付は公募要領と支援事業者で確かめる
- 補助金は後払いなので、導入の費用の全額を資金繰りの表に入れておく
- 実績報告の書類は導入のときから1か所に保存し、足りない書類をAIで洗い出す