導入とお金

AI導入の相談はどこへ?|無料で何度でも使える、よろず支援拠点の使い方

この記事で変わる経営指標

この記事では、AIを業務に使ってみたいが、誰に相談すればよいか分からない社長に向けて、無料で使える公的な相談先「よろず支援拠点」の使い方を説明します。一言でいうと、国が全国47都道府県に置いた、何度でも無料で使える経営の相談所がある。相談の前に、困っている業務と、今のやり方と、使えるお金を1枚にまとめておく。その1枚はAIで下書きでき、相談の場では専門家と一緒に、何から始めるかを決めるという話です。

AIの価値は、相談の答えを出すことではありません。社長の頭の中にある困りごとを、相談の場で伝わる形に整え、限られた相談の時間を、何から始めるかを決めることに使うことです。

経営への効果は、外注の前に、何から始めるかを無料で決められること

AIの導入の相談の仕方は、次のように変わります。

今まで 1枚を用意して公的な窓口へ
相談先 知り合いの業者か、営業に来た会社 国が置いた無料の相談所
費用 相談から有料のこともある 何度でも無料
相談の中身 「AIで何かできないか」 業務と困りごとを1枚にして具体的に
決まること 業者の得意な道具の話 自社で何から始めるか
次の一歩 見積を待つ 小さく試すことを決める
AIの導入の相談の仕方の変化。今までは知り合いの業者や営業に来た会社に「AIで何かできないか」と聞いていた。困っている業務と今のやり方と使えるお金をAIで1枚に下書きし、国が置いた無料の相談所で専門家と何から始めるかを決める
AIの導入の相談の仕方の変化。今までは知り合いの業者や営業に来た会社に「AIで何かできないか」と聞いていた。困っている業務と今のやり方と使えるお金をAIで1枚に下書きし、国が置いた無料の相談所で専門家と何から始めるかを決める

経営の効果は2つあります。

  • 外注の前に、方向を無料で確かめられる。 いきなり業者に頼むと、その業者の得意な道具の話になりがちです。先に中立の立場の相談所で、何から始めるかを決めておけば、外注するときも頼むことがはっきりします
  • 社長の時間を、決めることに使える。 困りごとが1枚にまとまっていれば、相談の時間を、説明ではなく次の一歩を決めることに使えます

よろず支援拠点は、国が全国に置いた無料の経営相談所

よろず支援拠点は、国(中小企業庁)が平成26年に全国47都道府県に置いた、無料の経営相談所です(北九州市の案内、よろず支援拠点全国本部のサイトによる)。全国本部のサイトによると、多様な分野の専門家がいて、経営のあらゆる相談に何度でも無料で応じます。中小企業や小規模事業者、創業を予定している人などが使えます。

全国本部のサイトによると、2026年4月1日からは、全国のよろず支援拠点の中に「生産性向上支援センター」が置かれました。人手不足などの課題に直面する中小企業が、生産性の向上に取り組めるよう、専門家が何度でも無料で現場に来て、伴走するとしています。全国本部のサイトでは、2026年度のAIアドバイザーの登録者の一覧も公開されています。

相談の受け付け方(電話、メール、予約の要否)や、在籍する専門家の分野は、拠点ごとに違います。お近くの拠点のサイトで確かめてください。2026年10月時点の情報です。

小さな会社ほど、何を相談すればよいかで止まる

AIの導入の相談で、小さな会社が困るのは次の3つです。

  • 何を聞けばよいか分からない。 「AIで何かできないか」では、相談する側も答えにくくなります
  • 営業の話になる。 道具を売る会社に聞くと、その道具を使う前提の話になります
  • 相談しても、次に何をするかが決まらない。 話を聞いて終わり、社内で動き出せません

困っている業務と、今のやり方と、使えるお金をまとめておけば、何を聞けばよいかがはっきりします。

困りごとを1枚にまとめ、相談の場で次の一歩を決める

人がすること(最初に)。 社長が、困っている業務を3つまで書き出します。業務ごとに、誰が、どのくらいの時間をかけているか、何に困っているかをメモにします。使えるお金(月にいくらまでなら試せるか)と、社内でAIを使ったことがあるかも書きます。

AIに頼むこと。 社長のメモをもとに、相談のための1枚(相談票)を下書きしてもらいます。

  • 会社の紹介:業種、社員の数、主なお客さま(会社の名前や個人の名前は書かない)
  • 困っている業務:業務ごとに、今のやり方、かかっている時間、困りごと
  • 聞きたいこと:何から始めるのがよいか、どのくらいの費用で試せるか、社内の誰が担当するのがよいか
  • 前提:使えるお金、AIを使った経験、いつまでに何をしたいか

人がすること(そのあと)。 社長が中身を確かめ、お近くのよろず支援拠点に相談の予約を入れます。相談の場では、専門家と一緒に、最初に試す業務を1つ決めます。

AIへの頼み方と、返ってくる相談票はこんな形になる

AIに渡す指示(見本。内容は架空です):

下は、当社の社長のメモです。公的な経営相談所に、AIの業務への使い方を相談するための1枚を下書きしてください。会社の紹介、困っている業務、聞きたいこと、前提の順に、A4で1枚にまとめてください。メモに書かれていないことは書かず、会社の名前やお客さまの名前は書かないでください。

返ってくる相談票(見本の一部):

困っている業務

  • 見積の作成:事務員1人が1件30分ほど。図面を見て過去の見積を探すのに時間がかかる
  • 受注の入力:ファクスの注文を1日20件ほど手で入力している

聞きたいこと

  • 2つのうち、どちらから始めるのがよいか
  • 月1万円までで試せる方法はあるか

社長は、数字と困りごとが合っているかを確かめてから持っていきます。

相談票の型をスキルにし、決めることはAIの外に置く

ここまでの使い方は、そのつどAIのチャットに頼む場合です。何度か相談に通うなら、もう一段の工夫をしておくと安定します。作る側から見ると、ここが「AIを使う」と「使いこなす」の差です。

相談票の型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「相談票の型(会社の紹介、困っている業務、聞きたいこと、前提)」「相談のあとの記録の型(決まったこと、次にすること、次の相談の日)」「書いてはいけないこと(取引先やお客さまの名前、社員の個人の情報、メモにない数字)」をスキルにします。

決めることは、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、困っている業務と数字を社長が書き出すこと、何から始めるかを相談の場で専門家と決めること、決まったことと次にすることを社内の表に残すことがそれに当たります。

明日からは、困っている業務を3つ書き出す

  1. 困っている業務を3つまで書き出し、誰がどのくらいの時間をかけているかをメモする
  2. 月にいくらまでなら試せるかを決める
  3. 会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランか、会社の名前や個人の情報を入れない形で、上の見本の指示で相談票を下書きさせる
  4. お近くのよろず支援拠点のサイトで、相談の予約の仕方を確かめて予約する
  5. 相談のあと、決まったことと次にすることを1枚に残す

本格的にやるなら、相談で決めたことを小さく試し、また相談する

一度できたら、次の形に育てます。

何から始めるかの決定と、社内の情報はAIに任せない

  • 何から始めるかは人が決める。 AIの下書きは、相談の準備までです。最初に試す業務は、社長が専門家と話して決めます
  • 相談票に取引先や個人の名前を書かない。 相談の場に持っていく1枚にも、お客さまや社員の名前は書きません
  • 相談先の中身は自分で確かめる。 拠点ごとに受け付け方や専門家の分野が違います。お近くの拠点のサイトで確かめます
  • AIの使い方の決まりを先に作る。 社内でAIを使うときの決まりは、生成AIの社内ルールの作り方|A4で1枚、社員が安心して使える3つの決めごとにまとめています

まとめ

  • よろず支援拠点は、国が全国47都道府県に置いた無料の経営相談所で、何度でも無料で相談できる
  • 全国本部のサイトによると、2026年4月から、よろず支援拠点の中に生産性向上支援センターが置かれ、専門家が現場に来て伴走する
  • 相談の前に、困っている業務と今のやり方、使えるお金を1枚にまとめると、相談の時間を次の一歩を決めることに使える
  • その1枚は、社長のメモからAIで下書きでき、会社や個人の名前は入れない
  • 決めた業務を小さく試し、結果を持ってまた相談する

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