AI×業種

鍼灸院のSNSとチラシをAIで下書き|あはき・柔整広告ガイドラインで照らす

この記事で変わる経営指標

この記事では、鍼灸院のAI活用|施術のあとの説明と次回の案内で通い続けてもらうの「SNSやチラシの文は、広告できる事項と照らしてから出す」を、毎回続けられる手順にして説明します。

一言でいうと、院長が、出す文が広告に当たるか当たらないかを分け、載せてよい事項を決める。AIが、SNSやチラシの文を下書きする。AIが、ガイドラインにある載せてはいけない言い方の一覧と照らして印を付ける。院長が印のところを直して出す。迷ったら保健所に聞くという形です。

経営への効果は、発信を続けながら、決まりに反する文を出さないこと

SNSやチラシで施術所のことを知ってもらうのは、小さな施術所にとって大事な入り口です。けれども、院長が施術の合間に文を考えるのは手間がかかり、続きません。

AIで下書きすれば、発信を続けやすくなります。一方で、AIは決まりを知らないまま「肩こりがすっきり」「雑誌で紹介されました」のような言い方を書くことがあります。下書きを決まりと照らす手順を最初から組み込んでおけば、発信を続けながら、決まりに反する文を出さずに済みます。

令和7年2月に、あはき・柔整広告ガイドラインが示された

厚生労働省医政局長は、令和7年2月18日付けで「あはき・柔整広告ガイドライン」(医政発0218第1号)を都道府県などに通知しました。大田区の施術所のページにも掲載されています。あはき法の第7条で広告できる事項が限られていることを前提に、その運用の考え方が示されています。

ガイドラインでは、広告に当たるかどうかについて、次のような考え方が書かれています。

情報の出し方 ガイドラインの考え方の要点
施術所のウェブサイト 情報を得ようとする人が自ら検索して見るため、原則として広告とは見なさない
バナー広告やSNSでの書き込みなど 誘引性、特定性、認知性の要件をすべて満たせば、広告として扱う
施術所内で掲示・配布するパンフレット 受け手が利用者に限られる限り、誘引性を満たさず、情報提供や広報と解される
申し出に応じて送るパンフレットや電子メール 認知性を満たさず、広告とは見なさない

あわせて、ウェブサイトは広告規制の対象とならないものの、内容の適切なあり方も定め、関係団体などの自主的な取り組みを促すとされています。2026年10月時点の情報です。

効果、体験談、紹介された旨は、広告できない

ガイドラインには、広告として認められない例が具体的に挙がっています。

例 ガイドラインの考え方の要点
施術の効果に関すること 効果に関する事項は広告可能な事項ではない
病人が回復して元気になる姿のイラスト 効果を暗示し、病気を治す技能を保証するとの誤認を与えるおそれがある
雑誌や新聞で紹介された旨 広告可能な事項ではない
施術の効果に関する専門家の談話の引用 効果があると暗示し、著しい誤認を与えるおそれがある
「肩こり治る」を暗示するURL 効果を保証しているとの誤認を与えるおそれがある
利用者の体験談・手記 施術所の依頼や謝礼がある場合は広告として扱い、広告可能な事項でないので広告できない

ウェブサイトに掲載すべきでない事項としても、ほかと比べて優れていることを示すもの、誇大なものや都合の良い情報の過度な強調、早く受けるようあおる表現や費用の過度な強調が挙げられています。

今は、SNSとチラシと院内の紙を、同じ書き方で作っている

小さな施術所では、SNS、チラシ、院内で配る紙を、同じ文から作り回していることがあります。けれども、ガイドラインの考え方では、院内で利用者に配る紙と、不特定の人に届くSNSやチラシでは、扱いが違います。

院内の紙なら書いてよい施術のあとの過ごし方も、そのままSNSに出すと、広告として決まりに反する言い方になることがあります。文を出す前に、どこに出す文なのかを分けることが、この手順の最初の一歩です。

分け、AIが書き、AIが照らし、院長が直す

鍼灸院のSNSやチラシの文を出す流れ。院長が広告に当たるものと当たらないものを分け、載せてよい事項を決める。AIが文を下書きする。AIがガイドラインの載せてはいけない言い方の一覧と照らして印を付ける。院長が印のところを直して出す。迷ったら保健所に聞く
鍼灸院のSNSやチラシの文を出す流れ。院長が広告に当たるものと当たらないものを分け、載せてよい事項を決める。AIが文を下書きする。AIがガイドラインの載せてはいけない言い方の一覧と照らして印を付ける。院長が印のところを直して出す。迷ったら保健所に聞く

1 決める(院長)。 出す文が、SNSやチラシのように広告に当たりうるものか、院内の紙のように当たらないものかを分け、載せてよい事項を決めます。

2 下書きする(AI)。 載せてよい事項と伝えたいことを渡し、文を下書きしてもらいます。

3 照らす(AI)。 下書きを、載せてはいけない言い方の一覧と照らし、当てはまりそうなところに印を付けてもらいます。

4 直して出す(院長)。 印のところを直して出します。迷うものは出さずに、保健所に聞きます。

載せてはいけない言い方の一覧は、ガイドラインの例から作る

AIに照らさせる一覧は、ガイドラインの例をもとに、院長が作ります。

分類 一覧に入れる言い方の例(想定)
効果 治る、効く、すっきり、改善、〇回で
技能・経歴 熟練の、経験〇年、〇〇療法の専門
紹介・談話 雑誌で紹介、テレビで話題、専門家も推薦
体験談 お客様の声、口コミ、ビフォーアフター
比較・あおり 地域一番、今だけ、早めの施術を、格安

一覧は、ガイドラインやあはき法の第7条が変わったら見直します。

AIへの頼み方と、返ってくる印はこうなる

AIに渡す指示(見本):

当施術所のSNSに載せる文を3行ほどで下書きしてください。載せてよいのは、施術所の名称、業務の種類(はり、きゅう)、施術日と施術時間、予約に基づく施術を行っていること、駐車場があることです。伝えたいことは「年末年始の施術日のお知らせ」です。下書きのあとに、添付の「載せてはいけない言い方の一覧」と照らし、当てはまりそうな言葉に【要確認】と印を付け、どの分類に当たりそうかを書いてください。

返ってくる下書きと印(見本。内容は架空です):

〇〇鍼灸院(はり・きゅう)の年末年始の施術日のお知らせです。12月30日から1月3日までお休みし、1月4日から通常どおり施術します。年末の疲れをすっきり取りましょう【要確認:効果「すっきり」】。ご予約をお待ちしています。

院長は「年末の疲れをすっきり取りましょう」を消してから出します。

院内で配る紙と、申し出に応じたメールは分けて作る

ガイドラインの考え方では、施術所内で利用者に配る紙や、申し出に応じて送るメールは、広告とは見なされません。施術のあとの過ごし方の紙は、こちらに入ります。

  • 院内の紙は院内だけで使う。 同じ文をSNSやチラシに転用しません
  • 申し出に応じたメールは、求めた人にだけ送る。 不特定の人に一斉に送る形にすると、扱いが変わることがあります
  • ウェブサイトにも正確に書く。 広告と見なされない場合でも、ガイドラインでは内容の適切なあり方が示されています

型をスキルにし、出すかどうかはAIの外で決める

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「載せてよい事項の一覧」「載せてはいけない言い方の一覧」「【要確認】の付け方」「出し先ごとの型(SNS、チラシ、院内の紙)」をスキルにします。

出すかどうかは、AIの外で決める。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、出し先を院長が分けること、一覧を院長が作って見直すこと、印のところを院長が直すこと、迷うものを保健所に聞くことがそれに当たります。AIの照らしは見落としもあるので、院長が最後に読みます。

費用は、AIの利用料が1回3円ほど

費用 見込み
文の下書きと照らし 指示と一覧(入力4千トークンほど)から下書きと印(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回3円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円

必要な人は院長1人で、出すかを決めるのも院長

  • 院長:出し先を分け、載せてよい事項と載せてはいけない言い方の一覧を作り、印のところを直して出す
  • 受付の担当(いれば):お知らせの中身をAIに渡して下書きを作り、院長に回す

1か月で一覧ができ、毎月のお知らせが続く見込み

  1. 1週目:院長が、出し先を分け、載せてよい事項と載せてはいけない言い方の一覧を作る
  2. 2週目:施術日のお知らせを1本、AIで下書きして照らし、院長が直して出す
  3. 3週目:一覧と型をスキルにまとめる
  4. 4週目以降:月に数回を目安にお知らせを出し、迷ったものは保健所に聞いて一覧に足す

AIの照らしだけで出すと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 【要確認】がないから大丈夫と思う。 AIの照らしには見落としがあります。院長が最後に読みます
  • 院内の紙をそのままSNSに出す。 院内の紙と、不特定の人に届くSNSでは扱いが違います
  • 利用者に頼んで口コミを書いてもらう。 ガイドラインでは、施術所の依頼や謝礼がある体験談は広告として扱い、広告できないとされています

まとめ

  • 令和7年2月18日の「あはき・柔整広告ガイドライン」で、広告に当たるかの考え方と、認められない例が示された
  • 施術所のウェブサイトや院内の紙、申し出に応じたメールは原則として広告と見なされない一方、SNSの書き込みやチラシは広告に当たりうる
  • 効果、技能、雑誌で紹介された旨、体験談などは広告できない
  • 院長がガイドラインの例から一覧を作り、AIに下書きと照らしをさせる
  • AIの照らしには見落としがあるので、院長が直して出し、迷うものは保健所に聞く

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