AI×業種

解体工事会社のAI活用|事前説明と近隣への案内で次の工事も頼まれる

この記事で変わる経営指標

この記事では、小さな解体工事会社の社長に向けて、AIが効く業務を4つ挙げ、どう使うかを説明します。一言でいうと、建設リサイクル法の事前説明の書面、届出と石綿の事前調査結果の報告の書類の準備、近隣へのお知らせの文、施主への工事の報告を、AIに下書きさせる。石綿の有無の判断、分別解体の計画、金額は人が決めるという話です。

AIの価値は、解体の計画を立てることではありません。解体の前後に重なる説明、届出、お知らせ、報告といった書類の手間を減らし、現場の段取りと安全に時間を回すことです。

経営への効果は、着工を止めず、紹介で次の工事を得ること

解体工事は、着工の前に説明と届出と報告が重なります。どれかが遅れると、着工の日をずらすことになり、職人と重機の段取りが狂います。

書類の下書きをAIで早く作れれば、着工の日を守りやすくなります。近隣へのお知らせを丁寧に出し、施主に工事の様子を報告すれば、近隣とのもめごとを減らし、施主からの紹介や、建て替えを請け負う工務店からの次の依頼につながります。

小さな解体工事会社でAIが効く4つの業務と経営効果。事前説明の書面、近隣へのお知らせ、施主への工事の報告は売上、届出と報告の書類の準備は業務の無駄に効く。石綿の有無の判断と分別解体の計画と金額は人が決める
小さな解体工事会社でAIが効く4つの業務と経営効果。事前説明の書面、近隣へのお知らせ、施主への工事の報告は売上、届出と報告の書類の準備は業務の無駄に効く。石綿の有無の判断と分別解体の計画と金額は人が決める

解体工事には、届出と事前説明と石綿の報告の決まりがある

e-Gov法令検索で「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)を確かめると、次のような決まりがあります。

  • 届出(第10条):対象の工事の発注者は、工事に着手する日の7日前までに、建物の構造、工事着手の時期と工程の概要、分別解体等の計画、建設資材の量の見込みなどを都道府県知事に届け出ます
  • 事前説明(第12条):発注者から直接工事を請け負おうとする建設業者は、発注者に対し、少なくとも届出の事項を書いた書面を渡して説明します
  • 契約の書面(第13条):請負契約の書面には、建設業法で決まった事項のほか、分別解体等の方法や解体工事に要する費用などを書きます

杉並区のページ(2025年6月13日更新)によると、建築物の解体工事では、床面積の合計が80㎡以上のものが届出の対象です。届出の窓口は自治体によって違います。

石綿(アスベスト)についても決まりがあります。厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトによると、令和4年4月1日から、石綿事前調査結果報告システムによる報告が義務になっています。石綿の有無によらず、解体部分の床面積の合計が80㎡以上の建築物の解体工事などは報告が必要で、建築物の調査は資格を持つ者が行います。浜松市のページでは、報告は元請業者が行い、報告事項には建材ごとの石綿の有無や、調査者の氏名などが含まれると説明されています。

細かな中身は、自治体の窓口と石綿総合情報ポータルサイトで確かめてください。2026年10月時点の情報です。

事前説明の書面は、現地調査のメモから下書きする

第12条の事前説明では、届出の事項を書いた書面を渡して説明します。小さな会社では、この書面を手書きや前の工事の使い回しで作っていることもあります。

  • 現地調査のメモを残す。 建物の構造、床面積、工事の時期と工程、分別解体の段取り、資材の量の見込みを、社長や担当がメモします
  • AIに、説明の書面の形に整えさせる。 届出の事項ごとに欄を分け、施主が読んで分かる言葉にします
  • 数字は人が入れる。 床面積や資材の量の見込みは、現地調査と図面から担当が入れます

施主が個人の場合、専門の言葉が多いと読まれません。AIに言い換えさせ、担当が中身を確かめてから渡します。

届出と報告の書類は、項目をそろえて準備する

建設リサイクル法の届出と、石綿の事前調査結果の報告は、似た情報を別々の書類に書きます。

  • 工事の基本の情報を1枚の表にする。 所在地、構造、床面積、工期、発注者、元請業者などです
  • AIに、届出と報告の項目に当てはめた一覧を作らせる。 どの情報をどの欄に書くかを示させます
  • 石綿の調査の中身は、調査者の記録から入れる。 建材ごとの石綿の有無や判断の根拠は、資格を持つ調査者の記録をそのまま使います

AIには、書類の欄を埋める手伝いだけをさせます。届出や報告そのものは、担当がシステムや窓口で行います。

石綿の事前調査の記録の項目と、報告・掲示・保存までの手順は、石綿の事前調査の記録と報告をAIで整える|判断は調査者、欄はAIで説明しています。

近隣へのお知らせは、工事の日程から下書きする

解体工事は、音やほこり、車両の出入りで近隣に影響が出ます。お知らせが届いていないと、苦情になりやすくなります。

  • 工事の日程と時間、連絡先を決める。 作業する時間帯、重機が入る日、車両の出入りを担当が決めます
  • AIに、お知らせの文を下書きさせる。 丁寧な言葉で、工事の期間、時間、連絡先を書かせます
  • 自治体の決まりを確かめる。 自治体によっては、標識の設置や近隣への事前の周知を指導要綱で定めています。担当が窓口で確かめます

施主への報告は、写真とメモから下書きする

施主は、解体の現場に毎日来られるとは限りません。工事の様子を報告すれば、安心してもらえます。

  • 写真に一言のメモを付ける。 「屋根材撤去」「分別した木くずの搬出」のように書きます
  • AIに、報告の文に整えさせる。 日付ごとに、進んだことと次の予定をまとめます
  • 担当が写真とメモと照らす。 写真にないことが書かれていないかを確かめます

期限は、着工の日から逆算して1つの表で持つ

解体の前の書類は、出す相手と期限がそれぞれ違います。担当の頭の中だけで管理すると、どれかが抜けます。

書類 相手 期限の考え方
事前説明の書面 発注者(施主) 発注者が届出をする前に、説明して渡す
建設リサイクル法の届出 都道府県知事(窓口は自治体) 工事に着手する日の7日前まで(発注者が行う)
石綿の事前調査結果の報告 システムで報告(元請業者) 工事に着手する前に、調査を終えて報告する
近隣へのお知らせ 近隣の住民 自治体の要綱があればその期限、なければ社内で決める
  • 着工の日を決めたら、表に日付を入れる。 表計算で、着工の日から逆算した期限を出します
  • AIには期限を計算させない。 日付の計算は表計算で行い、AIには書類の下書きだけを任せます
  • 週に1回、表を見る。 社長か担当が、期限の近い書類と、まだ出していない書類を確かめます

届出は発注者が行うものですが、施主が個人の場合は、手続きを代わりに手伝う場面もあります。その場合も、施主に中身を説明してから進めます。

石綿の判断と分別解体の計画は、AIに任せない

AIに任せないことを、先に決めておきます。

  • 石綿の有無の判断。 資格を持つ調査者が、図面と現地で調べて判断します
  • 分別解体の計画。 建物の構造と現場の条件を見て、社長と担当が決めます
  • 金額と数量。 解体の費用と資材の量の見込みは、現地調査をもとに人が積算します
  • 届出と報告の提出。 期限と窓口を担当が確かめて、自分で出します

説明と案内の型をスキルにし、判断はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「事前説明の書面の欄」「工事の基本の情報の表と、届出・報告の項目の対応」「近隣へのお知らせの型」「施主への報告の型」「書いてはいけないこと(石綿の有無の推測、数量や金額の推測、施主や近隣の名前)」をスキルにします。

判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、石綿の調査を資格を持つ者が行うこと、数字を現地調査と図面から入れること、届出の期限を表で持つこと、提出を担当が行うことがそれに当たります。

費用は、法人向けプランの月数千円から始められる

書面と書類とお知らせの下書きは、会社で契約した、入力をAIの学習に使わない法人向けのプランのチャットで足ります。費用は1人あたり月数千円です。施主の名前や住所は、記号に置き換えてからAIに渡します。

明日からは、事前説明の書面の型を1つ作る

  1. 最近の解体工事の現地調査のメモを1つ選ぶ
  2. AIに、届出の事項ごとの欄に分けた説明の書面を下書きさせる
  3. 社長が読んで直し、次の工事から使う

近隣へのお知らせと施主への報告の型は、その次に作ります。

効果は、着工の遅れと、紹介からの依頼で測る

測るもの 見方
着工の遅れ 書類の遅れで着工の日をずらした件数を、始める前と比べる
近隣からの苦情 工事中に近隣から苦情があった件数
紹介からの依頼 施主や工務店の紹介で来た依頼の数

始める前の数か月を、先に数えておきます。

まとめ

  • 建設リサイクル法で、床面積80㎡以上の建築物の解体では工事着手の7日前までの届出があり、直接請け負おうとする業者は届出の事項を書いた書面で事前に説明する
  • 石綿の有無によらず、80㎡以上の建築物の解体などでは石綿の事前調査結果の報告が要り、建築物の調査は資格を持つ者が行う
  • 事前説明の書面、届出と報告の書類の項目、近隣へのお知らせ、施主への報告をAIに下書きさせる
  • 数字は現地調査と図面から人が入れ、石綿の中身は調査者の記録をそのまま使う
  • 石綿の有無の判断、分別解体の計画、金額、届出と報告の提出はAIに任せない

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