確認申請の図書の点検|一覧と照らしてAIが抜けに印、中身は建築士が見る
この記事で変わる経営指標
この記事では、設計事務所のAI活用|打合せの記録と確認申請の書類の手間を減らすの「申請の図書は、図書の一覧でそろい具合を点検する」を、案件ごとに使える手順にして説明します。
一言でいうと、所長が、建物の区分ごとに出す図書の一覧を作る。AIが、用意した図書の名前を一覧と照らし、抜けに印を付ける。担当が、足りない図書を作り、名前の食い違いを直す。所長が図書の中身を確かめてから申請する。法令に適合しているかは建築士が確かめるという形です。
経営への効果は、申請の出し直しを減らし、着工を遅らせないこと
確認申請の図書が1つ欠けていたり、図面の名前が申請書と食い違っていたりすると、確認検査機関から補正を求められ、確認が下りるまでの日数が延びます。着工が遅れれば、施主の予定も工務店の段取りも狂います。
申請の前に、図書がそろっているかを一覧と照らして点検すれば、出し直しが減ります。点検の作業をAIに任せれば、所長は図書の中身を確かめることに時間を使えます。
2025年4月から、2階建ての木造住宅も確認と審査の対象になった
e-Gov法令検索で、2025年4月の改正後の建築基準法を確かめると、次の決まりがあります。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 第6条第1項第2号 | 特殊建築物を除き、2階以上、または延べ面積が200平方メートルを超える建築物は、建築や大規模の修繕・模様替の前に確認を受ける |
| 第6条第1項第3号 | それ以外でも、都市計画区域などの中の建築物は、建築の前に確認を受ける |
| 第6条第4項 | 確認の期限は、第1号・第2号は受理から35日以内、第3号は7日以内 |
| 第6条の4 | 審査の特例(一部の規定の審査を省く扱い)は、第3号の建築物で建築士が設計したものなどに限られる |
契約ウォッチと東急リバブルの解説、国土交通省の資料によると、これまで「4号建築物」として審査の一部が省かれていた木造2階建ての住宅などは「新2号建築物」になり、審査の特例の対象から外れました。省エネ基準への適合も、原則としてすべての新築で義務になりました。小さな木造住宅でも、出す図書が増えています。どの図書が要るかは、確認検査機関の案内で確かめます。2026年10月時点の情報です。
AIに任せるのは、そろい具合の点検だけ
図書の中身が法令に適合しているかを判断するのは、建築士の仕事です。構造や省エネの計算を、AIに確かめさせることはしません。
AIに頼むのは、用意した図書のファイル名や表紙の一覧と、出す図書の一覧を照らし、足りないものや名前の食い違いに印を付けることです。人が目で照らすと見落としやすい作業ですが、一覧どうしを照らすのはAIの得意なことです。
今は、申請の直前に所長が一人で照らしている
小さな設計事務所では、申請の直前に、所長が図書の束をめくりながら、そろっているかを確かめています。図書が増えた分、時間がかかり、見落としも出ます。
区分ごとの図書の一覧を一度作っておけば、案件ごとにAIで照らすだけで済みます。
作り、AIが照らし、直して、申請する
1 作る(所長)。 確認検査機関の案内をもとに、建物の区分ごとに、出す図書の一覧を作ります。
2 照らす(AI)。 案件ごとに、用意した図書のファイル名と表紙の一覧を渡し、図書の一覧と照らして、抜けと名前の食い違いに印を付けてもらいます。
3 直す(担当)。 足りない図書を作り、名前の食い違いを直します。
4 申請する(所長)。 図書の中身を確かめてから申請します。
図書の一覧は、この5つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 建物の区分 | 新2号建築物、新3号建築物など |
| 図書の名前 | 確認検査機関の案内のとおり |
| 担当 | 意匠、構造、設備、省エネ |
| 用意したファイル名 | 案件ごとに書く |
| 確かめた人と日 | 所長が中身を確かめた日 |
図書の名前は、確認検査機関の案内の言葉にそろえます。事務所の中だけの呼び方を使うと、照らすときに食い違いが出ます。
AIへの頼み方と、返ってくる印はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、当事務所で決めた「新2号建築物の確認申請で出す図書の一覧」と、ある案件で用意した図書のファイル名と表紙の名前の一覧です。2つを照らし、一覧にあって用意されていない図書と、名前が食い違っている図書に印を付けて、表にしてください。図書の中身が法令に適合しているかは判断しないでください。
返ってくる印(見本の一部。内容は架空です):
| 図書の名前 | 用意したファイル | 印 |
|---|---|---|
| 配置図 | 配置図.pdf | あり |
| 省エネに関する図書 | なし | 足りない |
| 立面図 | 立面図(案).pdf | 名前を確かめる |
確かめるときは、印のない所も一覧で見る
AIの印は、渡した一覧どうしを照らした結果です。一覧そのものが古いと、印も外れます。
- 図書の一覧が、確認検査機関の最新の案内と合っているかを見る
- AIが「あり」とした図書も、表紙を開いて確かめる
- 案件ごとに要る図書(構造の計算書など)が、一覧に入っているかを見る
- 図書の中身は、建築士が確かめる
施主への説明の作り方は、設計事務所の施主への説明資料|所長の要点からAIで1枚にまとめるで説明しています。
確認にかかる日数を見込んで、申請の日を決める
第6条第4項では、第1号と第2号の建築物の確認は、申請書を受理した日から35日以内に行うことになっています。2階建ての木造住宅も第2号に入ったので、確認にかかる日数を見込んだ工程が要ります。
- 着工の予定から逆算して、申請の日を決める
- 点検の日を申請の日の前に入れる。 足りない図書を作る時間も見込みます
- 施主と工務店に、申請の日と確認の見込みを伝える。 補正が入れば延びることも、先に伝えておきます
補正の指摘は、一覧に足していく
確認検査機関から補正を求められたら、その指摘は次の案件のための材料です。
- 補正の指摘を、案件ごとに記録する
- 同じ指摘が続いたら、図書の一覧に注意として足す
- 年に1回、図書の一覧を確認検査機関の案内と見比べる
- 補正にかかった日数も記録する。 次の案件の工程を立てるときの目安にします
型をスキルにし、法令への適合はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「区分ごとの図書の一覧」「照らし方と印の付け方」「書いてはいけないこと(法令に適合しているかの判断、図書の中身の書き換え、施主の名前と住所)」をスキルにします。
法令への適合は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、所長が図書の一覧を作ること、建築士が図書の中身を確かめること、補正の指摘を一覧に足すことがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1件2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| そろい具合の点検 | 2つの一覧と指示(入力2千トークンほど)から印の表(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1件2円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 担当の時間 | ファイル名の一覧を作り、印を直すのに1件数十分(想定) |
必要な人は2役で、適合は建築士が確かめる
- 所長(建築士):区分ごとの図書の一覧を作り、図書の中身を確かめて申請する
- 担当:ファイル名の一覧を作り、AIに照らさせ、足りない図書と名前を直す
1か月で一覧ができ、次の申請から使える見込み
- 1週目:確認検査機関の案内をもとに、よく扱う区分の図書の一覧を作る
- 2週目:最近の案件の図書でAIに照らさせ、印を確かめる
- 3週目:照らし方と書いてはいけないことをスキルにまとめる
- 次の申請から:申請の前に照らし、補正の指摘を一覧に足していく
中身までAIに見させると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- AIに法令への適合を判断させる。 判断は建築士の仕事です
- 古い図書の一覧のまま照らす。 改正後に増えた図書が抜けます
- AIの「あり」をそのまま信じる。 ファイル名だけそろって、中身が古い版のことがあります
まとめ
- 改正後の建築基準法第6条第1項で、2階以上または延べ面積200平方メートル超の建築物は、建築の前に確認を受ける
- 第6条の4の審査の特例は、第3号の建築物で建築士が設計したものなどに限られ、木造2階建ての住宅なども審査の対象になった
- 所長が区分ごとの図書の一覧を作り、AIが図書の名前と照らして抜けに印を付ける
- 担当が足りない図書と名前の食い違いを直し、所長が中身を確かめてから申請する
- 補正の指摘は一覧に足し、年に1回、確認検査機関の案内と見比べる