経営課題×AI

展示会の名刺の表|AIで書き出し、会社の個人データとして守って使う

この記事で変わる経営指標

この記事では、展示会のフォローメール|名刺を3日以内に商談へつなぐお礼の書き方の「名刺へのメールにも決まりがあり、送るのは人が確かめてから」のうち、名刺の表の作り方と守り方を、展示会のたびに使える手順にして説明します。

一言でいうと、社長が、名刺の使い道と置き場所を決める。AIが、名刺の写真から会社名や名前を表に書き出す。営業が、読み違いと同じ人の重なりを照らす。担当が、送らないでほしいと言われた人に印を付け、以後は送らない。表を使う範囲は社長が決めるという形です。

経営への効果は、名刺を商談の名簿に変え、何度も使えること

展示会で集めた名刺は、営業が自分の机にしまったままになりがちです。担当者が辞めたり異動したりすると、どこに誰の名刺があるのか分からなくなります。

名刺を会社の表にまとめておけば、お礼のメール、新しい商品の案内、次の展示会の招待に何度も使えます。ただ、名刺は個人情報です。表にした時点で、会社として守る決まりがかかります。守り方を最初に決めておけば、安心して使い続けられます。

業務で使う名刺の表は、会社の個人情報データベースになり得る

個人情報保護委員会のQ&Aでは、名刺やアドレス帳について次のように説明されています。

問い 答えの要点
社員しか使えない名刺の整理は、会社の個人情報データベース等に当たらないか(Q1-37) 社員の私的な使用だけなら当たらないが、業務に使っているなら会社の個人情報データベース等になり得る
業務用の携帯電話の電話帳は(Q1-38) 特定の人を探せるように整理されているので、個人情報データベース等に当たる

個人情報データベース等に入った情報は「個人データ」になり、個人情報保護法第23条で、漏れたりなくなったりしないように安全管理の措置をとることが求められます。2026年10月時点の情報です。

名刺の相手に宣伝のメールを送ることは、多くの場合できる

個人情報保護委員会のQ&A(Q4-16)では、会社の社員であることを明らかにして名刺を交換した場合、相手は、その会社から宣伝の冊子やメールが届くことをある程度予想できると説明されています。そのため、名刺の連絡先に自社の宣伝のメールを送ることは、個人情報保護法第21条の「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に当たるとされています。

ただし、同じQ&Aで、特定電子メール法の受信拒否への対応など、ほかの法律も守る必要があるとされています。特定電子メール法では、名刺のような書面でメールアドレスを知らせてくれた人には送れますが、送り主の名前と受け取りを断る連絡先を表示し、断られたら以後は送れません。

名刺の使い道は、ホームページの決まりにも書いておく

個人情報保護法第17条では、個人情報の利用目的をできる限り特定することが求められています。第21条では、あらかじめ利用目的を公表していない場合は、取得したら速やかに通知か公表をすることになっています。

  • 名刺で受け取った情報の使い道を、個人情報の取り扱いの決まりに書く。 お礼の連絡、商品やサービスの案内、展示会や催しの招待などです
  • 決まりはホームページに載せる
  • 書いていない使い道には使わない。 新しい使い道が出たら、決まりを直してから使います

今は、名刺が営業ごとの引き出しに眠っている

小さな会社では、名刺を営業がそれぞれ持ち、表にするのは展示会のあと手が空いたときです。手で打ち込むと時間がかかり、打ち間違いも起きます。断られた人の記録もばらばらで、別の営業が案内を送ってしまうことがあります。

名刺の写真からAIで表に書き出し、会社で1つの表にすれば、打ち込みの手間が減り、断られた人の印も全員で共有できます。

決め、AIが読み取り、確かめて、管理する

展示会の名刺を表にして扱う流れ。社長が名刺の使い道と置き場所を決める。AIが名刺の写真から会社名と名前を表に書き出す。営業が読み違いと重なりを照らす。担当が断られた人に印を付け、送らない。表を使う範囲は社長が決める
展示会の名刺を表にして扱う流れ。社長が名刺の使い道と置き場所を決める。AIが名刺の写真から会社名と名前を表に書き出す。営業が読み違いと重なりを照らす。担当が断られた人に印を付け、送らない。表を使う範囲は社長が決める

1 決める(社長)。 名刺を何に使うか(お礼、商品の案内、展示会の招待など)と、表を置く場所、見られる人を決めます。

2 読み取る(AI)。 名刺の写真を渡し、会社名、部署、名前、メールアドレス、電話番号を表に書き出してもらいます。

3 確かめる(営業)。 名刺の実物と表を見比べ、読み違いを直します。同じ人が2行になっていないかは、表の式で探します。

4 管理する(担当)。 送らないでほしいと言われた人には印を付け、以後は誰も送らないようにします。

名刺の表は、この7つの欄でそろえる

欄 中身の例(想定)
会社名・部署 名刺のとおり
名前 名刺のとおり
メールアドレス 名刺のとおり
電話番号 名刺のとおり
どこで交換したか 〇月の〇〇展示会
交換した営業 社内の担当者
送らないでほしいと言われた日 言われたら日付を書く

ブースで話した内容は、別の欄にメモとして残します。メモは事実だけを書き、相手の評価や噂は書きません。

AIへの頼み方と、返ってくる表はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下は、展示会で交換した名刺の写真です。会社名、部署、名前、メールアドレス、電話番号を、1枚ごとに1行の表にしてください。読み取れない文字は推測せず「?」と書いてください。名刺に書いていないことは足さないでください。

返ってくる表(見本の一部。内容は架空です):

会社名・部署 名前 メールアドレス 電話番号
〇〇工業 営業部 〇〇 〇〇 〇〇@〇〇.co.jp 0〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

名刺の写真をAIに渡すときは、会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランを使います。

確かめるときは、読み違いと推測と重なりを見る

AIの読み取りは、写真の写り方で間違えることがあります。

  • メールアドレスの1文字ずつを実物と照らす。 「l」と「1」、「0」と「O」は特に間違えやすい文字です
  • 「?」の所を実物で埋める
  • AIが推測で埋めた所がないかを見る
  • 同じ人が2行ないかを、表の式で探す。 前の展示会の表とも照らします

お礼のメールの下書きは、展示会の名刺フォローを自動化|翌朝には一人ずつお礼を送れるで説明しています。

表は置き場所と見られる人を決め、名刺の束も片付ける

個人データになった名刺の表は、漏れないように扱います。

  • 表は会社の決めた場所に1つだけ置く。 営業の個人のパソコンに写しを作りません
  • 見られる人を決める。 営業と、案内を送る担当に限ります
  • 名刺の実物も、決めた場所にまとめてしまう。 机の上に置いたままにしません
  • 使わなくなった名刺は、決めた時期に処分する。 時期は社長が決めます

表の型をスキルにし、使う範囲はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「名刺の表の7つの欄」「読み取りの指示(推測しない、足さない)」「お礼と案内のメールに入れる送り主と受け取りを断る連絡先の決まった文」をスキルにします。

使う範囲は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、社長が使い道と見られる人を決めること、営業が実物と照らすこと、担当が断られた人の印を見てから送ることがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が名刺100枚で数十円

費用 見込み
名刺の読み取り 名刺1枚の写真と指示(入力2千トークンほど)から1行(出力200トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1枚1円ほど、100枚で90円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
営業の時間 実物と照らすのに1枚1分ほど(想定)

必要な人は3役で、使う範囲は社長が決める

  • 社長:名刺の使い道、表の置き場所、見られる人、処分の時期を決める
  • 営業:名刺の写真を撮り、AIの表を実物と照らす
  • 案内を送る担当:断られた人に印を付け、送る前に印を見る

次の展示会までに表と決まりができる見込み

  1. 1週目:名刺の使い道、置き場所、見られる人を決める
  2. 2週目:前の展示会の名刺の写真でAIに表を作らせ、営業が照らす
  3. 3週目:表の型と読み取りの指示をスキルにまとめる
  4. 次の展示会から:その日の夜に写真を撮り、翌朝までに表にする

営業ごとに名刺を持つと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 営業がそれぞれ写しを持つ。 漏れる場所が増え、断られた人の印も共有できません
  • 断られたのに別の営業が送る。 特定電子メール法では、断られたら以後は送れません
  • AIの読み取りをそのまま使う。 1文字違いのアドレスに送ると、知らない人に届きます

まとめ

  • 個人情報保護委員会のQ&Aでは、業務で使う名刺の表は会社の個人情報データベース等になり得る
  • 会社名を明らかにして名刺を交換した相手への宣伝のメールは、取得の状況から利用目的が明らかな場合に当たるとされる
  • それでも特定電子メール法により、送り主と受け取りを断る連絡先を表示し、断られたら送らない
  • 名刺の写真からAIで表に書き出し、営業が実物と照らし、重なりは表の式で探す
  • 表は会社で1つにし、置き場所と見られる人を社長が決める

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