診療所の説明の紙|医師が決めた中身からAIで読みやすくし、診察室で渡す
この記事で変わる経営指標
この記事では、診療所のAI活用|受付の返事と紹介状の手間を減らし、医療広告も守るの「説明の紙は、検査の前の注意などを読みやすく整える」を、診察のたびに渡せる手順にして説明します。
一言でいうと、医師が、検査の前の注意や療養の仕方を箇条で書く。AIが、読みやすい言葉でA4の1枚に整える。医師が、足された説明や言い過ぎを直す。医師が診察のあとに一緒に読んで渡す。説明の中身は医師が決めるという形です。
経営への効果は、説明の聞き直しを減らし、安心して通ってもらうこと
診察室で口で伝えた注意は、家に帰ると忘れられがちです。「検査の前の日は何時から食べてはいけないのか」「薬はいつまで飲むのか」と、電話で聞き直されることもあります。
家で読み返せる紙があれば、患者さんは安心して過ごせます。電話での聞き直しが減れば、受付の手間も減ります。分かりやすく説明してくれる診療所は、家族や知り合いにも勧められやすくなります。
医師法と医療法で、療養の指導と説明が求められている
e-Gov法令検索で医師法と医療法を確かめると、次の決まりがあります。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 医師法第23条 | 医師は、診療をしたときは、本人や保護者に、療養の方法などの指導をしなければならない |
| 医療法第1条の4第2項 | 医師などの医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、理解を得るよう努めなければならない |
説明の紙は、この指導と説明を助ける道具です。ただし、紙を渡せば指導が終わるわけではありません。医師が口で説明し、紙は家で読み返すためのものとして使います。2026年10月時点の情報です。
紙の中身は医師が決め、AIは言葉を整えるだけ
検査の前の注意や療養の仕方は、医師が患者さんの状態を見て決めることです。AIに中身を考えさせると、一般的な情報を足したり、患者さんに合わない注意を書いたりすることがあります。
医師が伝えたいことを箇条で書き、AIには読みやすい言葉に整えることだけを頼みます。専門の言葉をやさしく言い換え、見出しを付け、A4の1枚に収めるのは、AIの得意なことです。
今は、古い紙を使い回すか、口だけで伝えている
小さな診療所では、何年も前に作った説明の紙をそのまま使っていたり、紙がなく口だけで伝えていたりします。紙を作ろうとしても、専門の言葉をやさしく言い換え、読みやすく並べるのに時間がかかります。
医師が箇条で書き、AIで整えれば、紙を作る手間が小さくなります。よく使う紙から順に作り直せます。
決め、AIが整え、確かめて、渡す
1 決める(医師)。 検査の前の注意、薬の飲み方、家での過ごし方、すぐ連絡してほしい目安を箇条で書きます。
2 整える(AI)。 箇条を渡し、読みやすい言葉で、見出しを付けたA4の1枚に整えてもらいます。
3 確かめる(医師)。 足された説明、言い過ぎ、箇条にない注意がないかを見て直します。
4 渡す(医師)。 診察のあとに、患者さんと一緒に読んで渡します。
説明の紙は、この5つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 何のための紙か | 〇〇検査を受ける方へ |
| 前の日と当日にすること | 食事、飲み物、薬(医師の箇条のとおり) |
| 家での過ごし方 | 医師の箇条のとおり |
| すぐ連絡してほしいとき | 医師が決めた目安 |
| 連絡先 | 診療所の電話番号と診療時間、夜間の連絡先 |
「すぐ連絡してほしいとき」の欄は、医師が書いた言葉をそのまま使います。AIに目安を足させません。
AIへの頼み方と、返ってくる紙はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、診療所の医師が書いた、検査を受ける患者さんへの注意の箇条です。患者さんに渡すA4で1枚の紙を、「何のための紙か」「前の日と当日にすること」「家での過ごし方」「すぐ連絡してほしいとき」「連絡先」の欄でまとめてください。専門の言葉はやさしく言い換えてください。箇条にない注意や、病気や薬の説明は足さないでください。「すぐ連絡してほしいとき」は箇条の言葉のまま使ってください。
返ってくる紙(見本の一部。内容は架空です):
前の日にすること:夜〇時からは、食べ物を食べないでください。水やお茶は飲んでかまいません。 当日にすること:朝の薬は、医師から聞いたとおりにしてください。
確かめるときは、足された説明と言い過ぎを見る
AIの整えた紙は、渡した箇条をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、箇条にない中身が混ざることがあります。
- 病気や薬の一般的な説明が足されていないかを見る
- 「心配いりません」「必ず良くなります」のような言い過ぎがないかを見る
- すぐ連絡してほしい目安が、医師の言葉のままかを見る
- 時間や量の数字が、箇条と同じかを見る
よく使う紙から型を作り、患者さんごとの注意は医師が書き足す
毎回ゼロから作るより、よく使う紙の型を作っておくと、医師の手間が減ります。
- よく行う検査や処置から、紙の型を作る
- 型には、どの患者さんにも変わらない注意だけを書く
- 患者さんごとの注意は、医師が手書きか印刷前に書き足す
- 聞き直しが多かった所は、次に紙を直すときに足す
- 紙の右下に、作った日を書いておく。 いつの紙かが分かれば、見直しの時期を決めやすくなります
紙は院内で患者さんに渡すものとして作ります。同じ文をホームページに載せるときは、医療法第6条の5の広告の決まりと照らします。
紹介状の下書きの仕方は、紹介状の下書き|医師のメモからAIで欄に整え、中身と署名は医師がで説明しています。
子どもや高齢の患者さんには、読む人に合わせて書き分ける
医師法第23条の指導の相手は、本人か保護者です。子どもの患者さんなら保護者が、高齢の患者さんなら家族が紙を読むこともあります。
- 子ども向けは、保護者が読む前提で書く。 家で保護者がすることを先に書きます
- 高齢の方向けは、文字を大きくし、1枚に書くことを減らす。 大事なことから順に並べます
- 外国の方には、やさしい日本語の版を用意する。 母国語に訳すときは、訳が正しいかを、母国語が分かる人に確かめてもらいます
AIには「保護者が読む」「文字を大きく、行を少なく」のように、読む人を指示に入れます。中身は同じでも、読む人に合わせた紙を作れます。
型をスキルにし、説明の中身はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「説明の紙の5つの欄」「よく使う紙の型」「書いてはいけないこと(箇条にない注意、病気や薬の一般的な説明、言い過ぎ、患者さんの名前)」をスキルにします。
説明の中身は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、医師が中身を箇条で決めること、医師が足された説明を直すこと、診察のあとに一緒に読んで渡すことがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1枚2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 説明の紙の整え | 箇条と指示(入力2千トークンほど)から1枚の紙(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1枚2円ほど。型は使い回せる |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 医師の時間 | 箇条と確かめに1枚十数分(想定) |
必要な人は2役で、中身は医師が決める
- 医師(院長):中身を箇条で書き、AIの紙を確かめ、診察のあとに一緒に読んで渡す
- 看護師や受付:型を印刷して置き、聞き直しが多かった所を医師に伝える
1か月でよく使う紙がそろう見込み
- 1週目:よく行う検査や処置を3つ選び、医師が箇条を書く
- 2週目:AIで紙に整え、医師が確かめ、看護師にも読んでもらう
- 3週目:型と書いてはいけないことをスキルにまとめ、印刷して置く
- 4週目以降:診察で渡し、電話での聞き直しの数を始める前と比べる
紙だけ渡して説明しないと失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 紙を渡すだけで口で説明しない。 指導と説明は医師が行い、紙は読み返すためのものです
- AIの紙に一般的な情報が混ざる。 患者さんに合わない注意が書かれていることがあります
- 古い紙を使い続ける。 検査の方法や薬が変わっても、紙が直っていないことがあります
まとめ
- 医師法第23条で、医師は診療したときに本人や保護者に療養の方法などを指導しなければならない
- 医療法第1条の4第2項で、医療の担い手は適切な説明を行い、理解を得るよう努める
- 医師が中身を箇条で書き、AIは読みやすい言葉でA4の1枚に整えるだけにする
- 医師が足された説明と言い過ぎを直し、すぐ連絡してほしい目安は医師の言葉のまま使う
- 診察のあとに一緒に読んで渡し、紙だけで説明を済ませない