AI×業種

探偵の重要事項説明書|9つの事項をAIで書面にそろえ、契約の前に渡す

この記事で変わる経営指標

この記事では、探偵事務所のAI活用|説明と契約の書面、教育の記録を整え、調査に集中するの「重要事項の説明は、9つの事項をそろえた書面を下書きする」を、明日から使える手順にして説明します。

一言でいうと、社長が、料金、契約の解除、資料の処分などの事務所の決まりを決める。AIが、9つの事項を並べた説明の書面を下書きする。社長が、9つの事項の抜けと料金を照らす。社長が書面を渡して説明し、依頼者から違法な目的に使わない旨の書面を受け取る。依頼を受けるかは社長が決めるという形です。

経営への効果は、相談に来た人に安心して依頼してもらうこと

探偵事務所に相談に来る人は、初めて探偵に頼む人がほとんどです。費用がいくらになるのか、途中でやめられるのか、調べた資料はどうなるのか。こうしたことが分からないままでは、依頼をためらいます。

9つの事項がそろった書面を渡して、ひとつずつ説明すれば、相談に来た人は持ち帰って家族と話すこともできます。分かりやすい説明は、ほかの事務所と比べられたときの強みになります。

書面の型を一から作るのは手間がかかり、古い型を使い回すと事項が抜けます。事務所の決まりをそろえておけば、AIに下書きさせて、社長は照らすだけで済みます。

契約の前に、9つの事項を書面で説明する

e-Gov法令検索で探偵業の業務の適正化に関する法律を確かめると、第8条第1項で、契約を結ぼうとするときは、あらかじめ、次の9つの事項について書面を渡して説明することとされています。

番号 事項
1 商号・名称・氏名と住所、法人なら代表者の氏名
2 届出をした公安委員会の名称
3 個人情報保護法その他の法令を守ること
4 第10条の事項(秘密の保持、資料の不正な利用の防止)
5 提供できる探偵業務の内容
6 探偵業務の委託に関すること
7 対価など依頼者が払う金銭の概算額と支払いの時期
8 契約の解除に関すること
9 探偵業務で作ったり取ったりした資料の処分に関すること

警察庁の「令和7年中における探偵業の概況」によると、令和7年中の探偵業者への指示19件のうち、4件が書面交付違反でした。

依頼者から、違法な目的に使わない旨の書面を受け取る

同じ法律の第7条では、契約を結ぼうとするときは、依頼者から、調査の結果を犯罪行為や違法な差別的取扱いなどに使わないことを示す書面を受け取ることとされています。警察庁の同じ資料では、令和7年中の指示のうち2件が書面受理違反でした。

第9条では、調査の結果が違法な行為に使われると知ったときは、探偵業務を行ってはならないとされています。書面を受け取ることと、依頼の目的を聞いて受けるかを決めることは、別の仕事です。受けるかは社長が決めます。

細かな様式は、営業所のある都道府県の警察の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。

今は、何年も前の型を使い回している

小さな探偵事務所では、次のような形が多いと思います。

  • 開業のときに作った説明の書面を、そのまま使い続けている
  • 料金を変えたのに、書面の概算額や支払いの時期を直していない
  • 資料の処分の欄がなく、口で「調査が終わったら処分します」と伝えている
  • 違法な目的に使わない旨の書面を、説明の書面と一緒に受け取っていない

この形だと、9つの事項がそろわず、書面と実際の決まりが食い違います。

決め、AIが下書きし、照らして、説明する

探偵の重要事項の説明の書面を作る流れ。社長が料金と解除と資料の処分を決める。AIが9つの事項を並べた説明の書面を下書きする。社長が9つの事項の抜けと料金を照らす。社長が書面を渡して説明し、違法な目的に用いない旨の書面を受け取る。依頼を受けるかは社長が決める
探偵の重要事項の説明の書面を作る流れ。社長が料金と解除と資料の処分を決める。AIが9つの事項を並べた説明の書面を下書きする。社長が9つの事項の抜けと料金を照らす。社長が書面を渡して説明し、違法な目的に用いない旨の書面を受け取る。依頼を受けるかは社長が決める

1 決める(社長)。 料金表、契約の解除の決まり、資料の処分の決まり、委託をするかどうかを、事務所の決まりとして1枚にします。

2 下書きする(AI)。 事務所の決まりと9つの事項の表を渡し、説明の書面を下書きしてもらいます。相談に来た人が読みやすい言葉にします。

3 照らす(社長)。 9つの事項がすべて入っているか、料金の額が料金表と同じかを照らします。

4 説明する(社長)。 契約の前に書面を渡し、ひとつずつ説明します。依頼者から、違法な目的に使わない旨の書面を受け取ります。

事務所の決まりは、この6つを先に決めておく

決まり 中身の例(想定) AIにさせないこと
事務所の情報 商号、住所、代表者、届出をした公安委員会 名称を補う
提供できる業務 所在の調査、行動の調査など 業務を足す
委託 委託しない、またはする場合の相手と範囲 委託の有無を決める
料金 料金表、概算額の出し方、支払いの時期 額を書く、計算する
契約の解除 解除の申し出の方法、すでにかかった費用の扱い 条件を決める
資料の処分 報告のあと何日で、どの方法で処分するか 日数を決める

料金の額はAIに書かせず、料金表から写します。

AIへの頼み方と、返ってくる書面はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下に貼ったのは、探偵事務所の決まりです。探偵業法第8条第1項の9つの事項(商号等、届出をした公安委員会、法令を守ること、秘密の保持と資料の扱い、提供できる業務、委託、料金の概算額と支払いの時期、契約の解除、資料の処分)を並べた、相談に来た方に渡す説明の書面を下書きしてください。料金の額は「料金表のとおり」と空けてください。決まりに書いていないことは足さず、「事務所で決める」と空けてください。

返ってくる書面(見本。内容は架空です):

1 事務所:〇〇調査事務所(代表 〇〇)、住所:〇〇 2 届出先:〇〇県公安委員会 3 調査にあたっては、個人情報保護法その他の法令を守ります 4 業務で知った秘密は漏らしません。調査で得た資料は不正に使われないよう管理します 5 お受けできる調査:所在の調査、行動の調査 6 委託:他の事業者に委託しません 7 料金:料金表のとおり。概算額は面談でお伝えし、着手金は契約時、残りは報告時にお支払いいただきます 8 解除:(事務所で決める) 9 資料の処分:報告のあと〇日以内に、写真とメモを処分します

照らすときは、9つの抜けと料金と約束を見る

AIの下書きは、渡した決まりをもとにしています。それでも、言葉を補う中で、決まりにない約束が混ざることがあります。

  • 9つの事項を番号で照らす。 1つでも抜けていたら、決まりから足します
  • 料金を料金表と照らす。 概算額の出し方と支払いの時期が、料金表と合っているかを見ます
  • 「必ず見つかります」のような約束がないかを見る。 調査の結果を約束する言葉は消します
  • 「(事務所で決める)」を埋める。 社長が決めて書き入れます

説明の書面と誓約の書面は、依頼ごとに控えを残す

書面は、渡したことと受け取ったことを、あとから示せるようにしておきます。

  • 依頼ごとに控えを綴じる。 説明の書面の控えと、受け取った誓約の書面を、依頼の番号ごとにまとめます
  • 渡した日と受け取った日を一覧に書く。 依頼の一覧に日付の欄を作ります
  • 料金や決まりを変えたら、型と一覧を同じ日に直す。 古い型は捨てます

契約を結んだあとは、遅滞なく契約の内容を明らかにする書面も渡します(第8条第2項)。

型をスキルにし、料金と受けるかの判断はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「9つの事項の表」「事務所の決まり」「書面の見本」「させないこと(料金の額を書く、結果を約束する、決まりにないことを足す)」をスキルにします。

料金と受けるかの判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、料金を料金表から写すこと、社長が9つの事項を照らすこと、依頼の目的を聞いて受けるかを社長が決めることがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1回2円ほど

費用 見込み
説明の書面の下書き 決まりと指示(入力2千トークンほど)から書面(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回2円ほど。型は使い回せる
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
社長の時間 照らすのに数十分(想定)

必要な人は1役か2役で、受けるかは社長が決める

  • 社長:事務所の決まりを決め、書面を照らし、相談に来た人に説明し、依頼を受けるかを決める
  • 事務(いれば):AIに書面を下書きさせ、控えを綴じ、一覧に日付を書く

社長1人の事務所では、社長がすべてを受け持ちます。照らす手順だけは省きません。

1週間で型ができ、次の相談から渡せる見込み

  1. 1日目:料金表、解除、資料の処分、委託の決まりを1枚にする
  2. 2日目:AIに説明の書面を下書きさせ、9つの事項と料金を照らす
  3. 3日目:誓約の書面と依頼の一覧を用意し、型と見本をスキルにまとめる
  4. 次の相談から:契約の前に書面を渡して説明し、控えを綴じる

古い型を使い回すと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 料金を変えたのに書面を直さない。 書面と実際の料金が食い違います
  • 資料の処分を口で伝えるだけにする。 9つの事項のひとつなので、書面に書きます
  • 誓約の書面を受け取り忘れる。 説明の書面と一緒に受け取る手順にします

まとめ

  • 契約の前に、9つの事項を書面で渡して説明する
  • 依頼者から、調査の結果を違法な目的に使わない旨の書面を受け取る
  • 事務所の決まりから、AIが9つの事項を並べた書面を下書きし、社長が抜けと料金を照らす
  • 料金の額はAIに書かせず、料金表から写す
  • 依頼を受けるかは、目的を聞いて社長が決める

CONTACT

自社の業務にも、AIを組み込めるか

記事のような組み込みを、御社の業務と予算に合わせて設計・実装しています。何から手を付ければいいか分からない段階でも大丈夫です。

AI活用を相談する