AI×業種

探偵の従業者教育と名簿|教えたことをAIで記録に整え、名簿は3年残す

この記事で変わる経営指標

この記事では、探偵事務所のAI活用|説明と契約の書面、教育の記録を整え、調査に集中するの「教育の記録は、話した内容を記録の形に整える」を、毎月続けられる手順にして説明します。

一言でいうと、社長が、法令、秘密の保持、資料の扱いを従業者に教える。AIが、録音やメモから、日時と内容と人の名前を記録の欄に並べる。社長が、教えた中身と受けた人を確かめる。事務が、名簿と一緒に綴じ、名簿は退職から3年残す。何を教えるかは社長が決めるという形です。

経営への効果は、調査員の判断をそろえ、事務所の信用を守ること

探偵の仕事は、調査員一人の判断が事務所の信用を左右します。張込みの場所、聞込みの仕方、撮った写真の扱い。決まりを知らないまま動けば、依頼者にも調査対象者にも迷惑をかけ、事務所が処分を受けることにもなります。

小さな事務所では、新しく入った調査員に、社長が現場で口で教えることが多いはずです。教えたことが記録に残っていないと、誰に何を教えたかが分からず、大事なことを伝え忘れます。

教えた内容を録音やメモで残し、AIに記録の形に整えさせれば、社長は教えることに時間を使えます。名簿も同じ一覧で管理すれば、退職した人の名簿を早く捨ててしまうことも防げます。

従業者に教育を行い、名簿を備える

e-Gov法令検索で探偵業の業務の適正化に関する法律を確かめると、第11条で、従業者に対し、探偵業務を適正に行わせるため、必要な教育を行うこととされています。

教える中身は、同じ法律に書かれた決まりがもとになります。

  • 第6条:人の生活の平穏を害するなど、個人の権利利益を侵害しないようにする
  • 第9条:調査の結果が違法な行為に使われると知ったら、業務を行わない
  • 第10条:業務で知った秘密を漏らさない。辞めたあとも同じ。資料が不正に使われないようにする

第12条第1項では、営業所ごとに従業者の名簿を備えることとされています。施行規則の第4条では、名簿に次のことを書き、写真を貼ることとされています。

  • 氏名、住所、性別、生年月日
  • 採用年月日と、退職した場合は退職年月日
  • 従事させる探偵業務の内容

名簿は、その人が退職した日から3年を経過する日まで備えておきます。

警察庁の「令和7年中における探偵業の概況」によると、令和7年中の探偵業者への指示19件のうち、2件が教育義務違反、2件が名簿の不整備などでした。細かな様式は、営業所のある都道府県の警察の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。

今は、現場で口で教えたきりになっている

小さな探偵事務所では、次のような形が多いと思います。

  • 新しい調査員には、最初の現場で社長が口で教える
  • 教えたことの記録は残っていない
  • 名簿は採用のときに作ったまま。退職した人の名簿をすぐ捨ててしまう
  • 写真が古いまま、住所が変わっても直していない

この形だと、教えたことを示せず、名簿も決まりどおりになりません。

教え、AIが整え、確かめて、残す

探偵事務所の従業者への教育を記録する流れ。社長が法令と秘密と資料の扱いを教える。AIが日時と内容と人の名前を欄に並べる。社長が教えた中身と受けた人を確かめる。事務が名簿と一緒に綴じ、名簿は退職から3年残す。何を教えるかは社長が決める
探偵事務所の従業者への教育を記録する流れ。社長が法令と秘密と資料の扱いを教える。AIが日時と内容と人の名前を欄に並べる。社長が教えた中身と受けた人を確かめる。事務が名簿と一緒に綴じ、名簿は退職から3年残す。何を教えるかは社長が決める

1 教える(社長)。 法令、秘密の保持、資料の扱い、調査の仕方の注意を教えます。始める前に、日時、場所、受ける人の名前を口に出しておくと、録音から記録を作りやすくなります。

2 整える(AI)。 録音を文字にしたものかメモを渡し、教育の記録の欄に並べてもらいます。内容の欄には、教えた項目を番号で付けさせます。

3 確かめる(社長)。 教えた中身が正しく書かれているか、受けた人の名前に漏れがないかを確かめます。

4 残す(事務)。 記録を名簿と一緒に綴じます。従業者ごとの一覧に、教えた項目と日付を書きます。

教育の記録と名簿の一覧は、この形でそろえる

欄 中身の例(想定) AIにさせないこと
日時 〇月〇日〇時〜〇時 時刻を推測する
場所 事務所 場所を補う
教えた人 社長〇〇 名前を補う
受けた人 調査員〇〇 その場にいない人を入れる
内容 1 法令を守ること、2 秘密の保持、3 資料の扱い 教えていない項目を足す

従業者ごとの一覧は、表計算で次の欄を持ちます。

欄 中身
名前 全員
採用年月日・退職年月日 名簿から写す
名簿を捨ててよくなる日 退職の日から3年を表の式で出す
写真を撮った日 3年以内かを表の式で見る
教えた項目ごとの日付 教育の記録から写す

日付の計算は表計算の式でします。AIに数えさせません。

AIへの頼み方と、返ってくる記録はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下は、探偵事務所の社長が調査員に教えた内容を録音から文字にしたものです。教育の記録の欄(日時、場所、教えた人、受けた人、内容)に並べてください。内容には、教えた項目を次の番号で書いてください。1 法令を守ること、2 秘密の保持、3 資料の扱い、4 調査の仕方の注意、5 違法な目的が分かったときの対応。教えていないことは足さず、分からない欄は「未記入」としてください。

返ってくる記録(見本。内容は架空です):

日時:〇月〇日〇時〇分〜〇時〇分/場所:事務所/教えた人:社長〇〇/受けた人:調査員〇〇/内容:2 秘密の保持(家族にも調査の話をしない、辞めたあとも同じ)、3 資料の扱い(写真は事務所のパソコンにだけ保存し、個人のスマホに残さない)。1、4、5は教えていない

確かめるときは、受けた人と、教えていない項目を見る

AIの下書きは、渡した録音やメモをもとにしています。それでも、整える途中で言い換えたり、教えていない項目を足したりすることがあります。

  • 受けた人の名前を、その場にいた人と照らす
  • 教えた項目の番号が正しいかを見る。 録音を聞き直して確かめます
  • 教えていない項目が足されていないかを見る。 足されていたら消します
  • 教えていない項目を、一覧で次に回す

資料の扱いは、AIに渡すものから決めておく

第10条の資料の扱いは、AIを使うときにも関わります。教育の中で、次のことも決めて教えます。

  • 調査対象者の名前、住所、写真をAIに入れない。 記号に置き換えてから渡します
  • 会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランを使う
  • 個人のスマホやアカウントに資料を残さない
  • 辞めるときに資料を返してもらう。 返してもらったことも記録に残します

型をスキルにし、教える中身と日付の計算はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「教育の記録の欄」「教える項目の番号」「記録の見本」「させないこと(教えていない項目を足す、名前や時刻を補う)」をスキルにします。

教える中身と日付の計算は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、社長が教える中身を決めること、名簿の日付を表計算の式で持つこと、社長が記録を確かめることがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1回2円ほど

費用 見込み
教育の記録の下書き 録音の文字かメモ(入力2千トークンほど)から記録(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回2円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
社長の時間 記録を確かめるのに1回数分(想定)

必要な人は2役で、教える中身は社長が決める

  • 社長:教える中身を決めて教え、記録を確かめ、次に教える項目を決める
  • 事務:録音やメモをAIで記録に整え、名簿と一緒に綴じ、従業者ごとの一覧を直す

事務がいない事務所では、社長が両方を受け持ちます。一覧を見る日を月に1回決めておきます。

1か月で記録と一覧がそろう見込み

  1. 1週目:従業者ごとの一覧を作り、名簿の日付と写真の日付を書く。退職した人の名簿が残っているかを確かめる
  2. 2週目:教える項目に番号を付け、空欄の多い項目から教えて録音する
  3. 3週目:AIに記録の欄に並べさせ、社長が確かめる。記録の見本をスキルにまとめる
  4. 4週目以降:教えるたびに記録を残し、月に1回、一覧の空欄と名簿の日付を見る

退職した人の名簿をすぐ捨てると失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 退職した人の名簿をすぐ捨てる。 退職の日から3年を経過する日まで備えておきます
  • 教えたことを記録しない。 記録がなければ、教えていないのと同じに見えます
  • AIに調査対象者の情報を入れる。 記号に置き換えてから渡します

まとめ

  • 従業者には、探偵業務を適正に行わせるための教育を行い、教えたことを記録に残す
  • 名簿には氏名、住所、性別、生年月日、採用と退職の年月日、業務の内容を書き、退職から3年残す
  • 教えた内容を録音やメモで残し、AIが記録の欄に並べて、教えた項目に番号を付ける
  • 名簿の日付と写真の日付は、表計算の一覧で持つ
  • 調査対象者の情報は、AIに入れる前に記号に置き換える

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