AI×業種

警備員教育の記録|計画書と実施の記録をAIで整え、時間数は表で数える

この記事で変わる経営指標

この記事では、警備会社のAI活用|人手不足でも現場を受けられる4つの業務の「求人票と教育の資料は、現場の1日からAIが下書きする」の続きとして、警備員教育の計画書と実施の記録を整える手順を説明します。

一言でいうと、指導教育責任者が、年度の教育計画書を作って教育する。AIが、出席表と講義のメモから、実施の記録を下書きする。事務が、警備員一人ずつの時間数を表で数える。指導教育責任者が、誤りがないことを確かめて付記する。教える中身は責任者が決めるという形です。

経営への効果は、教育の書類で慌てず、隊員を現場に出せること

警備会社は、警備員に決まった時間の教育をしなければ、現場に出せません。そして、教育をしたことは書類で示します。小さな会社では、この書類づくりを指導教育責任者が1人で抱えていることが多くあります。

教育の日は、講義と実技で手いっぱいです。記録は後回しになり、年度の終わりに出席表とメモを集めて書き直すことになります。そのとき、誰が何時間受けたかが合わない、という問題が出てきます。

出席表と講義のメモがあれば、記録の材料はそろっています。AIに記録の形に並べさせ、時間数は表で数える。そうすれば、責任者は確かめて付記するだけになります。時間数が足りない隊員も早く分かるので、年度の途中で補えます。

一般の警備員は、新任20時間以上、毎年度10時間以上

e-Gov法令検索で警備業法を確かめると、第21条第2項で、警備業者は内閣府令で定めるところにより警備員に教育を行い、必要な指導と監督をしなければならないとされています。

その内閣府令である警備業法施行規則の第38条では、警備員教育は基本教育と業務別教育などで、時間数が決まっています。

  • 新しく警備業務に就く警備員。 一般の警備員は、基本教育と業務別教育で20時間以上
  • 現に警備業務に就いている警備員。 一般の警備員は、毎年度、基本教育と業務別教育で10時間以上
  • 計画に基づいて行う。 教育は、教育計画書に書いた計画に基づき行います

資格(合格証明書)を持つ警備員や、経験のある警備員には、別の時間数が決まっています。

愛知県警察の案内によると、この時間数は2019年(令和元年)8月30日の改正で変わりました。一般の警備員の新任教育は30時間から20時間に、現任教育は前期と後期の8時間ずつから、年度ごとに10時間になりました。基本教育と業務別教育の時間の配分は、営業所ごとの指導教育責任者が実態を踏まえて決め、教育計画を立てるとされています。

計画書と実施の記録は、指導教育責任者が監督する

警備業法の第22条では、営業所ごと、警備業務の区分ごとに、警備員指導教育責任者を選任することとされています。施行規則の第40条では、指導教育責任者の仕事として、教育計画書を作ること、教育の実施を管理すること、記録の記載を監督することが挙げられています。

施行規則の第66条では、営業所に備える書類が決まっています。教育にかかわるものは次の3つです。

  • 警備員の名簿。 一人ずつ、受けた教育の実施年月日、内容、時間数、実施者の氏名を書きます
  • 年度ごとの教育計画書。 実施時期、内容、方法、時間数、実施者の氏名、対象とする警備員の範囲を書きます
  • 年度ごとの実施の記録。 実施年月日、内容、方法、時間数、実施場所、実施者の氏名、対象となった警備員の氏名を書き、指導教育責任者と実施者が誤りがないことを確認した旨を付記します

第67条では、これらを電子で記録し、すぐ画面に出せるようにしておけば、書類に代えられるとされています。細かな様式は、営業所のある都道府県の警察の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。

今は、年度の終わりにまとめて書き直している

小さな警備会社では、次のような形が多いと思います。

  • 教育の日は、出席表に名前を書いてもらい、講義のメモは責任者の手帳に残る
  • 実施の記録は、年度の終わりにまとめて書く
  • 一人ずつの時間数は、出席表を数え直して名簿に写す
  • 途中で入った隊員、休んだ隊員の時間数が合わない

この形だと、書き写すたびに間違いが入ります。そして、足りない隊員に気づくのが遅れます。

計画し、AIが整え、数えて、確かめる

警備員教育の記録を整える流れ。指導教育責任者が年度の計画書を作り教育する。AIが出席表とメモから実施の記録を下書きする。事務が一人ずつの時間数を表で数える。責任者が誤りがないことを確かめて付記する。教える中身は責任者が決める
警備員教育の記録を整える流れ。指導教育責任者が年度の計画書を作り教育する。AIが出席表とメモから実施の記録を下書きする。事務が一人ずつの時間数を表で数える。責任者が誤りがないことを確かめて付記する。教える中身は責任者が決める

1 計画する(指導教育責任者)。 年度の初めに教育計画書を作り、計画に沿って教育します。教育の日は、出席表に、始めと終わりの時刻を書いてもらいます。

2 整える(AI)。 出席表と講義のメモを渡し、実施の記録の欄に並べてもらいます。内容の欄は、メモの言葉を短く整えます。

3 数える(事務)。 一人ずつの時間数を、表計算で足し上げます。新任20時間、現任は年度10時間に届いているかを、表の式で見ます。

4 確かめる(指導教育責任者)。 記録と出席表と計画書を照らし、実施者と一緒に、誤りがないことを確かめて付記します。

実施の記録の欄は、この表でそろえる

欄 どこから取るか(想定) AIにさせないこと
実施年月日 出席表の日付 日付を補う
内容 講義のメモと計画書 メモにない内容を足す
方法 講義か実技か、オンラインか 方法を推測する
時間数 出席表の始めと終わりの時刻 時間を数える、丸める
実施場所 出席表 場所を補う
実施者の氏名 出席表 名前を補う
対象となった警備員の氏名 出席表の署名 欠席者を入れる

時間数は、AIに数えさせません。表計算の式で数えます。

AIへの頼み方と、返ってくる記録はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下に貼ったのは、警備員教育の出席表と、講義のメモです。年度ごとの実施の記録の形(実施年月日、内容、方法、時間数、実施場所、実施者の氏名、対象となった警備員の氏名)に並べてください。時間数は出席表の時刻をそのまま写し、計算はしないでください。メモに書いていない内容は足さず、分からない欄は「未記入」としてください。

返ってくる記録(見本。内容は架空です):

実施年月日:〇年〇月〇日/内容:交通誘導の合図の出し方、事故のときの警察への連絡/方法:講義と実技/時間:〇時〇分〜〇時〇分(出席表のとおり)/実施場所:本社研修室/実施者:〇〇/対象となった警備員:〇〇、〇〇、〇〇

確かめるときは、時間数と出席者と内容を見る

AIの下書きは、渡した出席表とメモをもとにしています。それでも、並べる途中で名前を取り違えたり、メモにない言葉を足したりすることがあります。

  • 出席表と1人ずつ照らす。 署名のない人が入っていないかを見ます
  • 時間の欄を出席表と照らす。 途中で抜けた人がいれば、その人の時間を分けて書きます
  • 内容を計画書と照らす。 計画に書いた内容と合っているかを見ます
  • 「未記入」の欄を埋める。 実施者に聞いて足します

時間数が足りない隊員は、年度の途中で知らせる

表で数えると、時間数が足りない隊員が早く分かります。

  • 月に1回、一人ずつの合計を見る。 現任教育の10時間に届く見込みかを見ます
  • 新しく入った人は、現場に出る前に20時間を確かめる。 表で足りないと出たら、現場に出しません
  • 足りない隊員には、次の教育の日を知らせる。 知らせる文はAIに下書きさせ、日程は責任者が決めます

型をスキルにし、時間数と付記はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「実施の記録の欄」「記録の見本」「させないこと(時間を数える、丸める、名前や内容を補う)」をスキルにします。

時間数と付記は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、時間数を表計算で数えること、指導教育責任者が出席表と照らして付記すること、教える中身を計画書で決めることがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1回2円ほど

費用 見込み
記録の下書き 出席表とメモ(入力2千トークンほど)から記録(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回2円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
事務の時間 表に写して数えるのに1回数十分(想定)

必要な人は2役で、教える中身は指導教育責任者が決める

  • 指導教育責任者:教育計画書を作り、教育し、記録を確かめて付記する。教える中身と時間の配分を決める
  • 事務:出席表と講義のメモを集め、AIに記録を下書きさせ、一人ずつの時間数を表で数える

社長が指導教育責任者を兼ねる会社では、数える役だけでも事務に任せると、確かめる目が2つになります。

1か月で記録の型ができ、年度の途中で足りない隊員が分かる見込み

  1. 1週目:出席表に始めと終わりの時刻の欄を足し、実施の記録の欄を決める
  2. 2週目:次の教育の日の出席表とメモから、AIに記録を下書きさせる
  3. 3週目:一人ずつの時間数を数える表を作る
  4. 4週目以降:教育のたびに記録を整え、月に1回、足りない隊員を確かめる

時間数をAIに数えさせると失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 時間数をAIに数えさせる。 足し算や時刻の差を間違えることがあります。表計算の式で数えます
  • 年度の終わりにまとめて書く。 出席表がなくなり、時間数が合わなくなります。教育の日のうちに整えます
  • 付記を省く。 実施の記録には、指導教育責任者と実施者が誤りがないことを確かめた旨を付記します

まとめ

  • 一般の警備員は、新任教育20時間以上、現任教育は毎年度10時間以上
  • 指導教育責任者が年度の教育計画書を作り、教育の実施を管理し、記録を監督する
  • 実施の記録には、年月日・内容・方法・時間数・場所・実施者・対象の警備員を書き、誤りがない旨を付記する
  • AIは出席表とメモから記録を下書きし、時間数は表計算で数える
  • 時間数が足りない隊員は、年度の途中で知らせて補う

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