運転代行の従業員への指導|決まった5つの事項をAIで記録に整え、2年残す
この記事で変わる経営指標
この記事では、運転代行のAI活用|乗務記録と苦情・指導の帳簿を整え、夜の受付に集中するの「指導の記録は、話した内容を記録の形に整える」を、毎月続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、社長が、法律で決まった5つの事項を従業員に話す。AIが、録音やメモから、日時と内容と人の名前を指導記録簿の欄に並べる。社長が、事項の漏れと受けた人を確かめる。事務が、指導記録簿に綴じて2年残す。何を話すかは社長が決めるという形です。
経営への効果は、従業員ごとの説明のばらつきをなくすこと
運転代行の従業員は、夜だけ働く人や、ほかに仕事を持つ人も多くいます。入れ替わりもあります。料金の受け取り方やお客さまへの説明の仕方が人によって違うと、「前の人はこう言った」という苦情につながります。
社長が決まった事項を話し、記録に残しておけば、誰に何を伝えたかが分かります。新しく入った人に何を話し終えたかも、一覧で見られます。説明がそろえば、料金のもめごとが減り、苦情の対応にかかる時間も減ります。
話すのは社長の仕事です。記録の欄を埋める手間をAIに任せれば、社長は話すことと、従業員の様子を見ることに時間を使えます。
料金、約款、説明の仕方、表示、白タクの5つを指導する
e-Gov法令検索で自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律を確かめると、第18条で、従業員に対し、料金の受け取り方、提供の条件の説明の仕方、その他お客さまの利益を守ることについて指導しなければならないとされています。
国土交通省関係の施行規則の第9条では、指導する事項が次の5つと決まっています。
- 料金の受け取り方
- 約款の内容
- 提供の条件の説明の仕方
- 随伴用の車の表示などに関すること
- 運転代行がタクシーなどの旅客自動車運送事業と違うこと、道路運送法の第4条・第43条・第78条を守ること
5は、随伴用の車でお客さまを運ぶような、いわゆる白タク行為をしないことにかかわります。
指導したら、5つの欄を書いて2年残す
同じ第9条で、指導をしたときは、次のことを書いた帳簿を作ることとされています。
- 指導を行った者の氏名
- 指導を受けた者の氏名
- 指導を行った日時
- 指導を行った場所
- 指導の内容
第10条で、この帳簿は作った日から2年間保存します。秋田県警察本部の「自動車運転代行業を始める方へ」でも、従業員の指導記録簿に同じ項目を書き、作成の日から2年間保存すると説明されています。細かな様式は、営業所のある都道府県の警察の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。
今は、入ったときに口で話したきりになっている
小さな運転代行の会社では、次のような形が多いと思います。
- 新しく入った人には、最初の夜に社長が口で説明する。記録は残らない
- 料金を変えたときは、待機中に一人ずつ伝える。伝え漏れに気づかない
- 指導記録簿はあるが、年に一度、まとめて書いている
- 5つの事項のうち、約款や随伴用の車の表示は話していない
この形だと、指導したことが記録に残らず、話していない事項にも気づきません。
話し、AIが整え、確かめて、残す
1 話す(社長)。 5つの事項を、従業員に話します。始める前に、日時、場所、聞いている人の名前を口に出しておくと、録音から記録を作りやすくなります。
2 整える(AI)。 録音を文字にしたものかメモを渡し、指導記録簿の5つの欄に並べてもらいます。内容の欄には、5つの事項のどれを話したかを番号で付けさせます。
3 確かめる(社長)。 話した中身が正しく書かれているか、受けた人の名前に漏れがないか、話していない事項がないかを確かめます。
4 残す(事務)。 指導記録簿に綴じ、作った日から2年残します。従業員ごとの一覧に、話した事項と日付を書きます。
指導記録簿と、従業員ごとの一覧はこの形でそろえる
| 欄 | 中身の例(想定) | AIにさせないこと |
|---|---|---|
| 行った者 | 社長〇〇 | 名前を補う |
| 受けた者 | 従業員〇〇、〇〇 | その場にいない人を入れる |
| 日時 | 〇月〇日〇時〜〇時 | 時刻を推測する |
| 場所 | 営業所の待機室 | 場所を補う |
| 内容 | 1 料金の受け取り方、3 説明の仕方(新しい料金表に合わせて) | 話していない事項を足す |
従業員ごとの一覧は、表計算で次の欄を持ちます。
| 欄 | 中身 |
|---|---|
| 従業員の名前 | 全員 |
| 入った日 | 名簿から写す |
| 5つの事項ごとに、最後に話した日 | 指導記録簿から写す |
| 次に話す予定 | 料金や約款を変える日など |
まだ話していない事項は、一覧の空欄で分かります。
AIへの頼み方と、返ってくる記録はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、運転代行の会社の社長が、待機中の従業員に話した内容を録音から文字にしたものです。指導記録簿の欄(指導を行った者、受けた者、日時、場所、内容)に並べてください。内容には、次の5つの事項のどれを話したかを番号で書いてください。1 料金の受け取り方、2 約款の内容、3 提供の条件の説明の仕方、4 随伴用の車の表示、5 白タク行為をしないこと。話していないことは足さず、分からない欄は「未記入」としてください。
返ってくる記録(見本。内容は架空です):
行った者:社長〇〇/受けた者:〇〇、〇〇、〇〇/日時:〇月〇日〇時〇分〜〇時〇分/場所:営業所の待機室/内容:1 料金の受け取り方(カードの受け取り方を追加)、3 説明の仕方(乗る前に紙を渡し、概算額を口で伝える)。2、4、5は話していない
確かめるときは、受けた人と、話していない事項を見る
AIの下書きは、渡した録音やメモをもとにしています。それでも、整える途中で言い換えたり、話していない事項を足したりすることがあります。
- 受けた人の名前を、その場にいた人と照らす。 途中で配車に出た人を確かめます
- 話した事項の番号が正しいかを見る。 録音を聞き直して確かめます
- 話していない事項が足されていないかを見る。 足されていたら消します
- 話していない事項を、一覧で次に回す。 次の待機のときに話します
料金や約款を変えた日は、全員に話して記録する
指導は、入ったときの一度きりではありません。次のようなときは、全員に話し、記録します。
- 料金や約款を変えたとき。 新しい料金表と説明の紙を見せながら話します
- 苦情があったとき。 苦情処理簿の改善措置を、全員に伝えます
- 随伴用の車を入れ替えたとき。 表示の決まりを確かめて話します
お客さまに渡す説明の紙の作り方は、運転代行の料金の説明|料金表と約款からAIで説明の紙を作り、口頭とあわせて渡すで説明しています。
型をスキルにし、話す中身はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「指導記録簿の欄」「5つの事項の番号」「記録の見本」「させないこと(話していない事項を足す、名前や時刻を補う)」をスキルにします。
話す中身は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、社長が5つの事項を話すこと、従業員ごとの一覧を表計算で持つこと、社長が記録を確かめることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1回2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 指導記録の下書き | 録音の文字かメモ(入力2千トークンほど)から記録(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回2円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 社長の時間 | 記録を確かめるのに1回数分(想定) |
必要な人は2役で、話す中身は社長が決める
- 社長:5つの事項を話し、記録を確かめ、次に話すことを決める
- 事務:録音やメモをAIで記録に整え、指導記録簿に綴じ、従業員ごとの一覧を直す
事務がいない会社では、社長が両方を受け持ちます。一覧を見る日を月に1回決めておきます。
1か月で記録と一覧がそろう見込み
- 1週目:従業員ごとの一覧を作り、5つの事項ごとに最後に話した日を書く。分からないところは空欄にする
- 2週目:空欄の多い事項から、待機のときに話し、録音する
- 3週目:AIに記録の欄に並べさせ、社長が確かめる。記録の見本をスキルにまとめる
- 4週目以降:話すたびに記録を残し、月に1回、一覧の空欄を見る
5つの事項を一度に話そうとすると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 5つを一度に長く話す。 夜の待機の合間なら、1回に1つか2つずつ話すほうが伝わります
- 話したことを記録しない。 記録がなければ、話していないのと同じに見えます
- AIが足した事項をそのまま残す。 話していない事項は、記録から消します
まとめ
- 従業員には、料金の受け取り方、約款、説明の仕方、随伴用の車の表示、白タク行為をしないことの5つを指導する
- 指導したら、行った者、受けた者、日時、場所、内容を指導記録簿に書き、2年残す
- 話した内容を録音やメモで残し、AIが欄に並べて、話した事項に番号を付ける
- 従業員ごとの一覧で、まだ話していない事項を見つける
- 料金や約款を変えた日は、全員に話して記録する