運転代行の料金の説明|料金表と約款からAIで説明の紙を作り、口頭とあわせて渡す
この記事で変わる経営指標
この記事では、運転代行のAI活用|乗務記録と苦情・指導の帳簿を整え、夜の受付に集中するの「料金の説明の紙は、料金表と約款から下書きする」を、明日から使える手順にして説明します。
一言でいうと、社長が、料金表と約款をそろえる。AIが、説明する事項を並べた説明の紙を下書きする。社長が、料金と約款の原本と照らす。従業員が、料金の概算額は口で伝え、説明の紙を渡す。料金の額は料金表から写すという形です。
経営への効果は、料金のもめごとを減らし、次も呼んでもらうこと
運転代行のお客さまは、お酒を飲んだあとです。乗る前に料金の話を聞いても、翌朝には覚えていないことがあります。あとから「こんなに高いとは聞いていない」と言われると、従業員も社長も時間を取られます。
最初に分かりやすい紙を渡し、口でも伝えておけば、お客さまは家に着いてから見直せます。料金のもめごとが減れば、苦情の対応にかかる時間が減ります。そして、説明がはっきりしている会社は、次の飲み会のときにも呼んでもらえます。
説明の紙を一から作るのは、小さな会社では後回しになりがちです。料金表と約款がそろっていれば、AIに下書きさせて、社長は照らすだけで済みます。
料金と約款の概要などを、口頭と書面で説明する
e-Gov法令検索で自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律を確かめると、第15条で、代行運転を提供しようとするときは、料金や約款の概要その他の提供の条件を説明し、その説明に従って提供することとされています。
国土交通省関係の施行規則の第7条では、説明する事項が次のように決まっています。
- 業者の氏名または名称と、運転する従業員の氏名
- 掲示した料金
- お客さまが払うことになる料金の概算額
- 約款の概要
- 随伴用の車で、旅客自動車運送事業に当たること(タクシーのようにお客さまを運ぶこと)はできないこと
説明は、口頭と書面の交付で行います。ただし、3の概算額は口頭で足ります。お客さまが条件をよく知っているなど、了解がある場合は、口頭か書面のどちらかで足りるとされています。
秋田県警察本部の「自動車運転代行業を始める方へ」でも、業者の名称、料金、概算額、約款の説明、白タク行為などができないことを説明してから提供することが示されています。
料金は掲示とインターネットで示し、約款は届け出る
説明の紙は、掲示している料金と約款がもとになります。
- 料金(第11条)。 営業の前に料金を決め、営業所に見やすく掲示し、インターネットでも見られるようにします。変えるときも同じです
- 約款(第13条)。 営業の前に約款を決め、営業所に掲示します。あらかじめ届け出ます
- 約款に書くこと(施行規則第5条)。 料金の受け取りや払い戻し、役務の提供、責任の始まりと終わり、免責、損害賠償です
説明の紙の料金と約款の概要は、この掲示と届け出たものと同じでなければなりません。細かな決まりは、営業所のある都道府県の警察や運輸局の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。
今は、従業員が口で伝え、紙は古いまま
小さな運転代行の会社では、次のような形が多いと思います。
- 従業員が、乗る前に口で料金を伝える。伝え方は人によって違う
- 渡している紙は、何年も前に作ったもの。料金を変えたのに直していない
- 約款の概要は、紙に書いていない
- 従業員の名前を書く欄がなく、誰が運転したかが紙に残らない
この形だと、説明する事項がそろいません。そして、料金を変えたときに紙を直し忘れます。
そろえ、AIが下書きし、照らして、渡す
1 そろえる(社長)。 掲示している料金表と、届け出た約款を手元に置きます。
2 下書きする(AI)。 料金表と約款を渡し、第7条の事項を並べた説明の紙を下書きしてもらいます。お酒を飲んだあとでも読める大きさと言葉にします。
3 照らす(社長)。 料金の額を料金表と、約款の概要を約款の原本と照らします。
4 渡す(従業員)。 乗る前に、概算額を口で伝え、説明の紙を渡します。紙には、運転する従業員の名前を書きます。
説明の紙の欄は、この表でそろえる
| 欄 | 中身の例(想定) | AIにさせないこと |
|---|---|---|
| 業者の名称 | 会社名、電話番号、認定番号 | 番号を補う |
| 従業員の氏名 | その日に運転する人が手書きする | 名前を入れる |
| 料金 | 掲示している料金表のとおり | 額を書く、計算する |
| 約款の概要 | 料金の受け取り、責任の始まりと終わり、損害賠償の要点 | 約款にないことを足す |
| できないこと | 随伴用の車でお客さまを運ぶことはできない | 言い換えて意味を変える |
| 概算額 | 紙には書かず、口で伝える欄だけ設ける | 額を書く |
料金の額は、AIに書かせず、料金表から写します。
AIへの頼み方と、返ってくる説明の紙はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下に貼ったのは、運転代行の会社の料金表と約款です。お客さまに乗る前に渡す説明の紙を下書きしてください。自動車運転代行業法施行規則第7条の事項(業者の名称、従業員の氏名、掲示した料金、約款の概要、随伴用の車でお客さまを運べないこと)を並べてください。料金の額は「料金表のとおり」と空けてください。約款の概要は、料金の受け取りと払い戻し、責任の始まりと終わり、損害賠償を短く書いてください。お酒を飲んだ方でも読める、短い文にしてください。
返ってくる説明の紙(見本。内容は架空です):
〇〇代行(認定番号:〇〇) 電話:〇〇 本日運転する者:____ 料金:料金表のとおり(裏面) お支払い:到着後に現金またはカードでお受けします(約款のとおり) 責任の範囲:お車をお預かりしてから、到着してお返しするまで(約款のとおり) ご注意:お客さまを随伴用の車にお乗せすることはできません
照らすときは、料金と約款とできないことを見る
AIの下書きは、渡した料金表と約款をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、約款にない約束が混ざることがあります。
- 料金を料金表と照らす。 深夜の割り増しや待ち時間の料金があれば、料金表のとおりに書かれているかを見ます
- 約款の概要を原本と照らす。 責任の始まりと終わり、損害賠償の書き方が、約款と同じ意味かを確かめます
- 約款にない約束がないかを見る。 「どんな傷も補償します」のような言葉は消します
- できないことが書かれているかを見る。 随伴用の車でお客さまを運べないことは、必ず入れます
料金を変えたら、掲示と紙と従業員への指導を同じ日に直す
料金や約款は、変えることがあります。そのときは、次を同じ日に直します。
- 営業所の掲示とインターネットの料金
- 説明の紙。 古い紙は回収します
- 従業員への指導。 第18条と施行規則第9条で、料金の受け取り方や説明の仕方を指導することになっています。話したことは指導記録簿に残します
型をスキルにし、料金の額はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「説明の紙の欄」「紙の見本」「させないこと(料金の額や概算額を書く、約款にない約束を足す)」をスキルにします。
料金の額は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、料金を料金表から写すこと、約款の概要を原本と照らすこと、概算額は従業員が口で伝えることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1回2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 説明の紙の下書き | 料金表と約款(入力2千トークンほど)から紙(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回2円ほど。紙は使い回せる |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 印刷 | 紙と印刷の費用(会社による) |
必要な人は2役で、料金と約款は社長が決める
- 社長:料金と約款を決めて掲示し、説明の紙を照らし、従業員に説明の仕方を指導する
- 従業員:乗る前に概算額を口で伝え、名前を書いた説明の紙を渡す
1週間で紙ができ、次の夜から渡せる見込み
- 1日目:料金表と約款をそろえ、掲示とインターネットの料金が同じかを確かめる
- 2日目:AIに説明の紙を下書きさせ、社長が照らす
- 3日目:紙を印刷し、従業員に渡し方と概算額の伝え方を話して、指導記録簿に残す
- 次の夜から:乗る前に紙を渡す。料金を変えるときは、同じ日に紙も直す
古い紙を配り続けると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 料金を変えたのに紙を直さない。 説明と掲示が食い違います
- 料金の額をAIに書かせる。 料金表と違う額が入ることがあります
- 約款にない約束を書く。 「全額補償」のような言葉は、約款のとおりに直します
まとめ
- 業者と従業員の氏名、掲示した料金、概算額、約款の概要、随伴用の車でお客さまを運べないことを、口頭と書面で説明する
- 料金の概算額は口頭で足りる
- 料金表と約款から、AIが説明の紙を下書きし、社長が原本と照らす
- 料金の額はAIに書かせず、料金表から写す
- 料金を変えたら、掲示と紙と従業員への指導を同じ日に直す