運転代行の乗務記録|従業員の日報をAIで欄に整え、2年残す
この記事で変わる経営指標
この記事では、運転代行のAI活用|乗務記録と苦情・指導の帳簿を整え、夜の受付に集中するの「乗務記録は、従業員の日報を欄に整える」を、毎晩続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、従業員が、日報に時刻と場所を書く。AIが、日報の写真を決まった欄に並べ、空いている欄に印を付ける。事務が、代行運転の車と随伴用の車の2台分の日報を突き合わせて照らす。事務が営業所に備えて、2年残す。距離と料金は原本から写すという形です。
経営への効果は、写す手間を減らし、記録の食い違いをなくすこと
運転代行は、1件の依頼で2人が動きます。お客さまの車を運転する人と、随伴用の車を運転する人です。2人がそれぞれ日報を書くので、同じ依頼について2枚の日報ができます。
小さな会社では、翌日の昼に事務や社長がこの日報を読み、帳簿に写しています。字が読めない、2人の時刻が合わない、料金の額が書かれていない。こうした食い違いは、日がたつほど直せなくなります。
日報の写真をAIで決まった欄に並べさせれば、事務は照らして直すだけになります。2台分を並べて見れば、食い違いもすぐに分かります。浮いた時間は、夜の受付の準備や従業員の割り振りに回せます。
乗務記録と役務ごとの記録を、従業員ごとに2年残す
e-Gov法令検索で確かめると、自動車運転代行業法の第20条で、営業所ごとに帳簿を備え付け、必要なことを書いておくこととされています。中身は、警察と国土交通省のそれぞれの施行規則で決まっています。
国家公安委員会関係の施行規則 第14条(乗務記録)。 従業員ごとに、次のことを記録します。
- 氏名、始業と終業の日時
- 代行運転ごとに、開始と終了の日時と場所、主な経過地点、運転した距離
- 運転したのが、お客さまの車(代行運転自動車)か随伴用の車かの別
- 随伴用の車を運転した場合は、その車の登録番号
- 同伴した従業員の氏名
- 休憩や仮眠をした場合は、その日時と場所
- 交通事故が起きた場合は、その日時と場所と概要
第15条で、乗務記録は最後に書いた日から2年間備えておくこととされています。
国土交通省関係の施行規則 第10条(役務ごとの帳簿)。 従業員ごとに、役務ごとの開始と終了の地点と日時、運転した距離、一緒に動いた従業員と車の番号、収受した料金の額などを記録し、作った日から2年間保存します。
秋田県警察本部の「自動車運転代行業を始める方へ」でも、乗務記録は最後に記載した日から2年間備え付けると説明されています。細かな決まりと様式は、営業所のある都道府県の警察の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。
今は、翌日に2枚の日報を見比べて写している
小さな運転代行の会社では、次のような形が多いと思います。
- 従業員は、紙の日報に依頼ごとの時刻と場所と料金を書く
- 翌日、事務が日報を読みながら帳簿に写す
- お客さまの車を運転した人と、随伴用の車を運転した人の日報で、時刻や場所がずれている
- 休憩の欄や、同伴した人の名前が抜けている
この形だと、写す時間が毎日かかり、食い違いを見つけても誰も正しい時刻を覚えていません。
書き、AIが整え、照らして、残す
1 書く(従業員)。 依頼ごとに、迎えに行った場所と時刻、送り届けた場所と時刻、運転した車、一緒に動いた人、料金を日報に書きます。休憩もその場で書きます。
2 整える(AI)。 2人分の日報の写真を渡し、乗務記録と役務ごとの記録の欄に並べてもらいます。読み取れない欄と空いている欄に印を付けさせます。
3 照らす(事務)。 同じ依頼について、2人の日報の時刻と場所が合っているかを突き合わせます。距離と料金は日報の原本やメーターの数字と照らします。
4 残す(事務)。 確かめた記録を、従業員ごとのフォルダに入れて営業所に備え、2年残します。
記録の欄は、この表でそろえる
| 欄 | どこから取るか(想定) | AIにさせないこと |
|---|---|---|
| 氏名、始業と終業 | 日報、出勤の記録 | 時刻を推測する |
| 開始と終了の日時と場所 | 日報 | 地名を補う |
| 主な経過地点と距離 | 日報、メーター | 距離を計算する |
| お客さまの車か随伴用の車か | 日報 | 推測で決める |
| 随伴用の車の番号 | 日報、車両の一覧 | 番号を補う |
| 同伴した従業員 | 2人の日報 | 名前を補う |
| 休憩・仮眠 | 日報 | 休憩を補う |
| 交通事故 | 日報、事故のメモ | 原因を書く |
| 収受した料金 | 日報、領収書の控え | 額を書く、計算する |
1日の距離や料金の合計は、表計算の式で出します。
AIへの頼み方と、返ってくる記録はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、運転代行の従業員2人の、同じ夜の日報の写真です。1人はお客さまの車を、1人は随伴用の車を運転しています。依頼ごとに、開始と終了の日時と場所、主な経過地点、運転した距離、運転した車の別、随伴用の車の番号、同伴した従業員、料金の欄に並べてください。2人の日報で時刻や場所が違うところは、両方を書いて「食い違い」と印を付けてください。読み取れないところは「読取不可」、書かれていないところは「未記入」としてください。数字の計算はしないでください。
返ってくる記録(見本。内容は架空です):
依頼1:開始 〇時〇分 〇〇町の飲食店前/終了 〇時〇分 〇〇町(お客さまの自宅付近)/お客さまの車:〇〇、随伴用の車:〇〇(車番〇〇)/距離:日報のとおり〇km(メーターと照らすこと)/料金:〇円(領収書の控えと照らすこと)/食い違い:終了の時刻が〇〇の日報では〇時〇分、〇〇の日報では〇時〇分
照らすときは、2人の食い違いと数字と事故の欄を見る
AIの読み取りは、写真の字の状態に左右されます。それでも欄に並べてくれるので、照らす場所がはっきりします。
- 「食い違い」の印を2人に聞く。 その日のうちに聞けば、たいてい正しい時刻が分かります
- 距離と料金を原本と照らす。 領収書の控えやメーターの数字と合わせます
- 同伴した人の名前を、2人の日報で確かめる
- 交通事故の欄を見る。 事故があれば、社長に知らせ、事故のメモと一緒に残します
日報の紙を、2人で同じ並びにする
2人の日報の欄の並びがそろっていると、AIの読み取りも、突き合わせも楽になります。
- 依頼ごとに1行にする。 迎えの場所と時刻、送り届けた場所と時刻、料金を同じ順番で書きます
- 運転した車に丸を付ける欄を作る。 お客さまの車か随伴用の車かを、丸で選ぶだけにします
- 休憩の欄を別に作る
- 写真は、その夜のうちに撮って送る
日報の紙を変えるときは、従業員に理由を話します。話したことは、指導記録簿に残します。
型をスキルにし、数字はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「記録の欄」「記録の見本」「させないこと(距離や料金の計算、地名や名前の補い、事故の原因の書き込み)」をスキルにします。
数字は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、距離と料金を原本と照らすこと、合計を表計算の式で出すこと、2人の日報を事務が突き合わせることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1晩2人分で数円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 日報の読み取りと整理 | 2人分の日報の写真と指示(入力4千トークンほど)から記録(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回3円ほど。写真の大きさで入力は増える |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 事務の時間 | 照らして直すのに1組数分(想定) |
必要な人は2役で、記録の正しさは事務が確かめる
- 従業員:依頼ごとに日報を書き、その夜のうちに写真を送り、聞かれた食い違いに答える
- 事務(社長):AIで欄に整え、2人の日報を突き合わせ、距離と料金を照らして、2年残す
1か月で日報の型が固まり、毎晩整えられる見込み
- 1週目:2人1組の日報を1週間分、AIに欄に並べさせ、写していた時間と比べる
- 2週目:読み取りにくかったところを見て、日報の紙の並びを直す
- 3週目:記録の欄と見本をスキルにまとめ、従業員ごとのフォルダを作る
- 4週目以降:毎晩の日報を翌日の昼までに整え、月に1回、食い違いと空欄の数を数える
1人分の日報だけで記録を作ると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- お客さまの車を運転した人の日報だけで記録を作る。 随伴用の車を運転した人の記録も、従業員ごとに必要です
- 料金をAIの読み取りのまま残す。 領収書の控えと照らします
- 食い違いを月末まで放っておく。 その日のうちに2人に聞きます
まとめ
- 運転代行の会社は、従業員ごとに乗務記録と役務ごとの記録を付け、2年残す
- 記録には、お客さまの車か随伴用の車かの別、同伴した従業員、休憩、交通事故、収受した料金なども入る
- 2人分の日報の写真を、AIが決まった欄に並べ、食い違いと空欄に印を付ける
- 距離と料金は原本と照らし、合計は表計算の式で出す
- 日報の紙を2人で同じ並びにすると、読み取りと突き合わせが楽になる