エステの契約書面の点検|記載の漏れをAIで見つけ、渡す前に直す
この記事で変わる経営指標
この記事では、エステサロンのAI活用|契約書面の点検と記録で信頼される店にの「契約書面は、書面の型と照らして漏れに印を付ける」を、毎回の契約で続ける方法を説明します。
一言でいうと、スタッフが型に沿って概要書面と契約書面を作る。AIが記載事項の一覧と照らし、書いていない項目と合計金額の食い違いに印を付ける。担当のスタッフが印の所を直し、社長が確かめてからお客さまに渡し、控えを残す。中途解約の精算は表で計算し、書面の型そのものは専門家に見てもらうという形です。
経営への効果は、書面の漏れで信頼と売上を失わないこと
契約書面に書くべきことが抜けていると、お客さまとの行き違いのもとになります。広島県消費生活センターの案内によると、お客さまは契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。書面の内容に不備があれば、そのぶん店とお客さまの間で揉める種が残ります。
毎回、渡す前に同じ点検を通せば、書面の漏れを店の中で止められます。書面が整っている店は、お客さまにも安心して契約してもらえます。社長にとっても、契約のたびに書面の隅々まで読む時間が減ります。
対象の契約では、契約の前と後に2つの書面を渡す
消費者庁の特定商取引法ガイドによると、エステティックで、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約は「特定継続的役務提供」に当たります。金額は、入会金や関連商品の代金などを含めた総額で見ます。
対象の契約では、事業者は次の2つの書面を渡します。
| 書面 | いつ | 主な記載事項 |
|---|---|---|
| 概要書面 | 契約の前 | 事業者の名称・住所・電話番号、役務の内容、購入が必要な商品、対価などの概算額、支払いの時期と方法、提供の期間、クーリング・オフ、中途解約、特約など |
| 契約書面 | 契約の後、遅滞なく | 役務の内容、購入が必要な商品、対価などの額、支払いの時期と方法、提供の期間、クーリング・オフ、中途解約、事業者の名称・住所・電話番号、契約の締結を担当した者の氏名など |
記載事項の全部は、特定商取引法ガイドと条文で確かめてください。2026年10月時点の情報です。
今は、書いたスタッフが自分で見直すだけになっている
小さなサロンでは、契約の説明をしたスタッフが、そのまま書面を書き、自分で見直して渡すことがよくあります。忙しい日や、お客さまを待たせているときは、見直しが短くなります。
コースを組み合わせた契約や、化粧品を一緒に買ってもらう契約では、金額の欄が増え、合計の計算違いも起きやすくなります。担当の名前の書き忘れ、提供期間の空欄なども、本人は気づきにくいものです。
作り、AIが点検し、直して、確かめて渡す
1 作る(スタッフ)。 店の型に沿って、概要書面と契約書面を作ります。
2 点検する(AI)。 書面と記載事項の一覧を渡し、書いていない項目と、金額の合計の食い違いに印を付けてもらいます。
3 直す(スタッフ)。 担当のスタッフが、印の付いた所を直します。
4 渡す(社長)。 社長が直した所を確かめてから、お客さまに渡します。控えは店に残します。
AIへの頼み方と、返ってくる印はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、今日作ったエステの契約書面と、特定商取引法ガイドにある契約書面の記載事項の一覧です。項目ごとに表にして、「書かれている」「書かれていない」「空欄」のどれかを付けてください。施術の代金、関連商品の代金、入会金などの金額をすべて抜き出して足し、書面の総額と合っているかを書いてください。契約の締結を担当した者の氏名と、提供の期間の始まりと終わりがあるかも確かめてください。契約が法律に合っているかの判断は書かないでください。
返ってくる表(見本の一部。内容は架空です):
項目 結果 役務の内容 書かれている 提供の期間 空欄(終わりの日がない) 契約の締結を担当した者の氏名 書かれていない 金額の合計 施術と関連商品の合計が、総額と合わない
AIが足した金額も、スタッフが電卓か表で確かめます。AIは計算を間違えることがあるためです。
中途解約の精算は、AIではなく表で計算する
お客さまから途中でやめたいと言われたときの精算は、表の計算式で行います。広島県消費生活センターの案内によると、エステの中途解約で事業者が求められる負担の上限は、施術の前なら2万円、施術の後なら、提供済みの施術の料金に、2万円か契約残額の1割の低い方を加えた額です。
計算の例です(数字はすべて仮定です)。12回で24万円のコースで、4回受けたあとに解約する場合、提供済みの料金は8万円、契約残額は16万円です。残額の1割は1万6千円で2万円より低いので、上限は8万円に1万6千円を足した9万6千円になります。すでに払った額との差を返すか、足りない分を受け取ります。
関連商品の扱いなど、細かな精算のしかたは、消費者庁の特定商取引法ガイドと条文で確かめます。精算の表の式は、社長か専門家が作り、スタッフは数字を入れるだけにします。
概要書面も、契約の前に同じ点検を通す
概要書面は、契約の前に渡す書面です。お客さまが契約するかを考えるための材料になります。
- 型を先に点検しておく。 コースごとの概要書面の型を、記載事項の一覧と照らしてAIに点検させ、社長が直しておきます
- その日の書面は差し替える所だけ見る。 お客さまごとに変わる所(コース、金額、期間)だけを、渡す前にAIに照らさせます
- 特約は社長が書く。 特約があるときは、その内容を社長が決めて書きます。AIに特約の文を考えさせません
クーリング・オフと中途解約の説明も、書面に沿って口で伝える
書面を渡すときは、クーリング・オフと中途解約の欄を、お客さまと一緒に読みます。
- 8日間の数え方を伝える。 契約書面を受け取った日から数えることを、書面の該当の欄を指しながら伝えます
- 関連商品の扱いを伝える。 新潟県消費生活センターの案内によると、関連商品の消耗品は、使った分は負担になります。化粧品などを一緒に買ってもらうときは、この点も伝えます
- 伝えたことを控えに書く。 説明した日と担当の名前を、控えに書いておきます
AIには、書面のクーリング・オフと中途解約の欄から、お客さまに読み上げる短い文を下書きさせます。書面にないことは書かせず、スタッフが書面と照らしてから使います。
型をスキルにし、判断はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「概要書面と契約書面の記載事項の一覧」「点検の表の型」「金額の合計の照らし方」「書いてはいけないこと(法律に合っているかの判断、特約の文、精算の金額の決定)」をスキルにします。
判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、書面の型を専門家に見てもらうこと、金額の合計をスタッフが電卓で確かめること、社長が確かめてから渡すこと、精算を表の計算式で行うことがそれに当たります。
費用はAIの利用料が1件2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 契約書面の点検 | 書面と記載事項の一覧(入力4千トークン・出力800トークンほど)から、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1件2円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 専門家の確認 | 書面の型を最初に見てもらう費用(依頼先による) |
| 人の時間 | 直しに数分、社長の確かめに数分ほど(想定) |
必要な人は3役で、渡す前に確かめるのは社長
- 担当のスタッフ:型に沿って書面を作り、印の所を直す
- 社長:直した書面を確かめてから渡し、精算の表の式と特約を決める
- 専門家:書面の型が記載事項を満たしているかを最初に見る(行政書士や弁護士など)
1か月で点検が習慣になり、3か月で直しが減る見込み
- 1週目:書面の型を専門家に見てもらい、記載事項の一覧と点検の表の型を決める
- 2〜4週目:契約のたびにAIの点検を通し、印の付いた項目を記録する
- 2か月目:よく印が付く項目を、型の側で直す(空欄になりやすい欄に見本を書くなど)
- 3か月目:1件あたりの印の数を、始めた月と比べる
AIに「問題なし」と言わせて終えると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- AIの「問題なし」で渡す。 AIの点検は漏れの印までです。社長が確かめてから渡します
- AIの合計をそのまま使う。 金額の足し算は、スタッフが電卓か表で確かめます
- 型を見直さない。 同じ項目に毎回印が付くなら、型の側に原因があります。型を直します
まとめ
- 期間が1か月を超え金額が5万円を超えるエステの契約では、契約の前に概要書面、後に契約書面を渡す
- スタッフが型に沿って書面を作り、AIが記載事項と合計金額を照らして漏れに印を付ける
- 担当のスタッフが直し、社長が確かめてから渡し、控えを残す
- 中途解約の精算は、上限の決まりに沿って表の計算式で行う
- 費用はAIの利用料が1件2円ほどで、書面の型は最初に専門家に見てもらう