業務への組み込み例

食料品の値札は5月末までに1%へ|総額表示の特例と店内の掲示の書き方

この記事で変わる経営指標

この記事では、食料品の消費税1%、2027年4月から|中小企業が今から準備することの「値札とメニューは、総額表示の特例の4か月の間に切り替える」を、食料品の小売店で実際に進める方法を説明します。

一言でいうと、店長が商品と値札の場所、価格が印字された商品を一覧にする。AIが1%の税込価格を出す表の式、売場ごとの貼り替えの順番、店内の掲示文を下書きする。2027年2月1日から5月31日の間に、売場ごとに値札を貼り替える。AIが値札の一覧とレジの価格の一覧を照らして、食い違いに印を付ける。5月末までに全部の値札を1%の価格にするという形です。

2月から5月末は、掲示をすれば8%と1%の値札が混ざってよい

国税庁のリーフレットと質疑応答集(問3-9)によると、2026年9月15日に閣議決定された大綱では、法案が成立した場合、2027年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率が1%になります。値札の貼り替えの負担に配慮して、総額表示の特例が設けられます。

期間 表示してよい税込価格
2027年2月1日〜3月31日(税率は8%) 1%で計算した価格も可
2027年4月1日〜5月31日(税率は1%) 8%で計算した価格も可
2029年2月1日〜3月31日(税率は1%) 8%で計算した価格も可
2029年4月1日〜5月31日(税率は8%) 1%で計算した価格も可

この特例を使えるのは、すぐに切り替えるのが難しい事情があり、お客さまの誤認を防ぐ掲示をしている場合だけです。質疑応答集は、難しい事情の例として「夜間の値札の貼り替え作業に対応できない」「カタログや商品パッケージ自体に価格が印字されている」を挙げています。一方、貼り替えを随時しているのに、貼り替えた値札に8%の価格を書き続けている場合は、難しい事情があったとは考えられないとしています。

税抜の価格だけを表示する方法や、「+税」とだけ書く方法は、この期間も認められません。

道濟会計事務所の解説も、特例は2027年2月1日から5月31日までの4か月間で、値札とレジの切り替えの計画を早めに立てるよう勧めています。大綱の段階の内容なので、法案の成立と最新の質疑応答集を確かめてください。2026年10月時点の情報です。

今は、値札の価格がどこに書いてあるかを店長しか知らない

小さな食料品店では、値札、棚のプライスカード、手書きのPOP、チラシ、ネットショップ、商品に貼ったシール、パッケージの印字と、価格が書いてある場所がいくつもあります。どこに何が書いてあるかは、店長や古くからいる従業員の頭の中にしかないことが多くあります。

この状態で税率が変わると、貼り替えの漏れや、値札とレジの食い違いが起きやすくなります。お客さまからの「値札と違う」という声への対応や、返金の手間が増えます。

一覧にし、AIが下書きし、売場ごとに貼り替える

食料品の値札を税率1%に切り替える流れ。店長が商品と値札の場所、価格が印字された商品を一覧にする。AIが1%の税込価格を出す表の式、売場ごとの貼り替えの順番、店内の掲示文を下書きする。2027年2月1日から5月31日の間に、売場ごとに値札を貼り替える。AIが値札の一覧とレジの価格の一覧を照らして、食い違いに印を付ける。5月末までに全部の値札を1%の価格にする
食料品の値札を税率1%に切り替える流れ。店長が商品と値札の場所、価格が印字された商品を一覧にする。AIが1%の税込価格を出す表の式、売場ごとの貼り替えの順番、店内の掲示文を下書きする。2027年2月1日から5月31日の間に、売場ごとに値札を貼り替える。AIが値札の一覧とレジの価格の一覧を照らして、食い違いに印を付ける。5月末までに全部の値札を1%の価格にする

1 一覧にする(人)。 店長が、商品の一覧を作ります。列は、商品名、売場、本体価格(税抜)、今の税込価格、価格が書いてある場所(プライスカード、POP、シール、パッケージの印字、チラシ、ネットショップ)、1%の対象か(酒類や日用品は10%のまま)です。レジに商品の一覧が登録されていれば、それを書き出して使います。

2 下書きする(AI)。 一覧をAIに渡し、次の3つを下書きしてもらいます。

  • 1%の税込価格の列を足す表の式:本体価格×1.01で計算し、端数の扱いは店長が決めた方法(切り捨て、四捨五入など)にします。計算は表の式で行い、AIに一件ずつ計算させません
  • 貼り替えの順番:売場ごとに、夜に作業できるか、価格が印字された商品が多いかで、どの売場から貼り替えるかの案
  • 店内の掲示文:質疑応答集の例をもとにした、誤認を防ぐ掲示

3 貼り替える(人)。 2027年2月1日から5月31日の間に、売場ごとに貼り替えます。貼り替え中の売場には掲示を出します。

4 照らす(AI)。 貼り替えが終わった売場から、値札の一覧とレジの価格の一覧をAIに渡し、価格が違う商品や、1%の対象なのに8%の価格のままの商品に印を付けてもらいます。

最後に、5月末までに、全部の値札が1%の価格になっているかを店長が確かめます。

掲示文は、国税庁の例をもとに書く

質疑応答集(問3-9)は、誤認を防ぐ掲示の例を2つ示しています。

  • 棚ごとに掲示する。 棚全体の値札が8%の価格のときに、棚の近くの目につく場所に「この棚の商品は、税率8%に基づく税込価格で表示しています。レジでは税率1%で精算いたします」と掲示する
  • 値札で見分けられるようにする。 1%の価格の値札に「(1%)」と書く、色を変える、シールを貼るなどで区別し、店内の目につく場所に「税率1%での税込価格が表示されている値札は赤色の値札となっています。その他の値札では、税率8%での税込価格が表示されている場合がありますが、レジでは税率1%で精算いたします」と掲示する

質疑応答集の例では、本体価格100円の商品は、8%なら108円、1%なら101円です。

AIに渡す指示(見本。内容は架空です):

下は、当店の貼り替えの計画と、国税庁の「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」問3-9の掲示の例です。当店では1%の価格の値札を緑色にします。この方法に合わせて、店内に貼る掲示の文を下書きしてください。Q&Aの例の言い回しをできるだけ使い、レジで1%で精算することを必ず書いてください。法律の説明や、Q&Aにない約束は書かないでください。

一覧の型と掲示文をスキルにし、価格の計算はAIの外に置く

一覧の型と掲示文を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「商品の一覧の列」「端数の扱いの決まり」「掲示文の型(国税庁の例)」「照らし合わせの決まり(1%の対象で8%のままの商品、値札とレジの価格の違い)」「書いてはいけないこと(Q&Aにない約束、税抜だけの表示)」をスキルにします。2029年に8%へ戻るときも、同じスキルで逆向きに使えます。

価格の計算は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、税込価格を表の式で計算すること、端数の扱いを店長が決めること、レジの価格の設定をレジの会社と確かめること、5月末までに店長が全部の値札を確かめることがそれに当たります。

店長の仕事は、端数の扱いと、貼り替えの順番を決めること

店長がすることは、次の3つです。

  • 端数の扱いを決める。 1%で計算すると、1円未満の端数が出る商品があります。切り捨てか四捨五入かを決めます
  • 貼り替えの順番を決める。 夜に作業できる売場、印字の多い売場、よく売れる売場をどの順に切り替えるかを決めます
  • 値札の見分け方を決める。 色を変えるか、「(1%)」と書くか、シールを貼るかを決め、掲示文と合わせます

経営への効果は、値札とレジの食い違いと、閉店後の作業を減らすこと

  • 値札とレジの食い違いが減る。 照らし合わせで、価格が違う商品を貼り替えの直後に見つけられます
  • 閉店後の一斉の作業を避けられる。 特例の4か月を使って売場ごとに分ければ、3月31日の夜に全部を貼り替える必要がありません
  • お客さまへの説明がそろう。 掲示文がそろっていれば、従業員ごとに説明が違うことを防げます

費用はAIの利用料が数十円ほどで、大半は値札とレジの作業

費用 見込み
AIの利用料 商品500件ほどの一覧の照らし合わせ(入力3万トークン・出力3千トークンほど)が、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回14円ほど。下書きと照らし合わせを数回くり返しても数十円
値札の作り直し 値札の用紙、印刷、シールの費用
レジの設定の変更 レジの会社の見積による
従業員の時間 売場ごとの貼り替えの作業

必要な人は3役で、決めるのは店長

  • 店長:一覧を作り、端数の扱い、順番、値札の見分け方を決め、5月末に確かめる
  • 売場の担当者:自分の売場の値札を貼り替え、掲示を出す
  • レジの会社:税率と価格の設定を切り替える。切り替えの日と、商品ごとの価格の変更の仕方を事前に確かめる

2026年中に一覧を作り、2027年2月から順に貼り替える見込み

  1. 2026年11〜12月:商品の一覧を作り、価格が書いてある場所と印字の有無を書き込む。レジの会社に対応の予定を聞く
  2. 2027年1月:法案の審議の状況を見て、AIで価格の式、貼り替えの順番、掲示文を下書きし、端数の扱いと値札の見分け方を決める
  3. 2027年2〜5月:売場ごとに貼り替え、終わった売場から照らし合わせをかける
  4. 2027年5月末:全部の値札が1%の価格になっているかを確かめる

貼り替えたのに8%の価格を書くと特例が使えない

よくある失敗は次の3つです。

  • 貼り替えた値札に8%の価格を書く。 質疑応答集は、貼り替えを随時しているのに貼り替えた値札が8%のままの場合は、特例の前提の「難しい事情」に当たらないとしています。貼り替えるなら1%の価格にします
  • 税抜だけの表示にする。 切り替えの手間を避けて税抜の価格だけを書くことは、特例の期間も認められません
  • 10%の商品まで書き換える。 酒類や日用品は10%のままです。一覧の「1%の対象か」の列で分けてから式をかけます

イートインのある店で、店内飲食と持ち帰りの価格をどう表示するかは、国税庁の軽減税率制度Q&A(個別事例編)問121が参考になると、質疑応答集は案内しています。

まとめ

  • 2027年2月1日から5月31日の間は、難しい事情があり誤認を防ぐ掲示をしていれば、8%と1%の値札が混ざってもよい。税抜だけの表示は認められない
  • 店長が商品と値札の場所、価格の印字の有無を一覧にし、AIが価格の式、貼り替えの順番、掲示文を下書きする
  • 税込価格は表の式で計算し、端数の扱いは店長が決める
  • 売場ごとに貼り替え、AIが値札とレジの価格を照らして食い違いに印を付ける
  • 大綱の段階の内容なので、法案の成立と最新の質疑応答集を確かめて進める

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