業務への組み込み例

LINEのよくある質問の答えの作り方|過去のやりとりからAIで20件選ぶ

この記事で変わる経営指標

この記事では、LINEの問い合わせにAIで返す|夜と休みの日の取りこぼしを防ぐ仕組みの土台になる「よくある質問の答えの表」を、実際に作って育てる方法を説明します。

一言でいうと、担当者が3か月分のLINEのやりとりから、名前や電話番号を消して集める。AIが質問を種類ごとに分けて数え、多い順に並べる。店長が多い20件の答えを書いて表にする。その後は毎週、AIが表にない質問を拾い出し、店長が月に1回表を見直すという形です。

返事の速さと正しさは、答えの表の出来で決まる

親の記事の仕組みでは、AIはよくある質問の答えの表をもとに、LINEの返事を下書きします。表にあることだけで答え、表にないことは「担当者から改めてお返事します」と書かせます。

つまり、表に載っている質問が多いほど、AIの下書きをそのまま確かめて送れる返事が増えます。表の答えが正しく、店の言い方になっているほど、担当者が直す手間も減ります。表は、仕組みのいちばん大事な部品です。

一方で、表を店長の思いつきで作ると、実際には少ない質問の答えが並び、多い質問が抜けることがあります。実際のやりとりから数えて選ぶのが近道です。

今は、よくある質問が店長の記憶の中にある

小さな店では、「駐車場はありますか」「当日でも予約できますか」「キャンセルはいつまでですか」といった質問に、店長や受付が毎回その場で答えています。どの質問が多いかは、なんとなく分かっていても、数えたことはありません。

答え方も人によって少しずつ違います。キャンセルについて、ある人は「前日までに」と答え、別の人は「当日でも大丈夫」と答えている、ということが起きます。表を作ることは、店の答えを1つにそろえることでもあります。

集めて、AIが分け、店長が答え、AIが拾い続ける

LINEのよくある質問の答えの表を作る流れ。担当者が3か月分のやりとりから名前や電話番号を消して集める。AIが質問を種類ごとに分けて数え、多い順に並べる。店長が多い20件の答えを書いて表にする。その後は毎週、AIが表にない質問を拾い出す。表は月に1回、店長が見直す
LINEのよくある質問の答えの表を作る流れ。担当者が3か月分のやりとりから名前や電話番号を消して集める。AIが質問を種類ごとに分けて数え、多い順に並べる。店長が多い20件の答えを書いて表にする。その後は毎週、AIが表にない質問を拾い出す。表は月に1回、店長が見直す

1 集める(人)。 受付の担当者が、LINE公式アカウントのチャットから、3か月分のお客さまの質問を書き写します。お客さまの名前、電話番号、予約の日時など、人が特定できる情報は消します。質問の文だけでかまいません。

2 分ける(AI)。 集めた質問をAIに渡し、種類ごとに分けて数え、多い順に並べてもらいます。

3 答える(店長)。 多い順に20件を選び、店長が答えを書きます。答えには、根拠になる店の決まり(キャンセルの決まり、料金表など)を添えます。

4 拾う(AI)。 表ができたあとは、毎週、その週の質問をAIに渡し、表にない質問を拾い出してもらいます。

最後に、月に1回、店長が拾い出された質問を見て、表に足すか、答えを直すかを決めます。

表の列と、AIへの頼み方はこうなる

答えの表の列(見本):

列 中身
番号 1、2、3…
質問の種類 駐車場、予約の取り方、キャンセル、料金の目安など
よくある聞かれ方 「車で行っても大丈夫ですか」「駐車場ありますか」
答え 店の言い方で、LINEで読める3〜5行
根拠 店の決まり、料金表、地図
人に回すか 予約の確定、金額の約束、苦情は「人」
最後に見直した日 月に1回の見直しの日

「よくある聞かれ方」の列があると、AIが似た質問を同じ種類だと見分けやすくなります。

分けてもらうときの指示(見本。内容は架空です):

下は、当店のLINEに3か月の間に届いた質問です(名前などは消してあります)。質問を種類ごとに分け、種類ごとの数を数え、多い順に表にしてください。表の列は、質問の種類、数、よくある聞かれ方(実際の質問から2〜3個)にしてください。1つの質問に2つの種類が入っているときは、両方に数えてください。数は質問の文から数え、推測で足さないでください。

返ってくる表(見本の一部):

質問の種類 数 よくある聞かれ方
駐車場 42 「車で行けますか」「駐車場ありますか」
当日の予約 35 「今日空いてますか」「今から行けますか」
キャンセル 21 「キャンセルしたい」「日にちを変えたい」

数はAIが数えたものなので、多い順の目安として使います。上位の種類が分かれば十分です。

答えは、LINEで読める短さと、店の決まりの言葉で書く

店長が答えを書くときは、次の4つを守ると、AIの下書きも担当者の確認も楽になります。

  • 3〜5行で書く。 LINEはスマホで読まれます。長い説明は、店のサイトの案内に任せ、答えには要点だけを書きます
  • 店の決まりの言葉をそのまま使う。 キャンセルの期限や料金は、決まりの文書と同じ言葉で書きます。言い換えると、食い違いのもとになります
  • 言い切れないことは、言い切らない。 「混み具合は日によって違います」のように、決まっていないことは決まっていないと書きます
  • 次にしてほしいことを1つ書く。 「ご予約はこのトークで日にちと人数をお送りください」のように、お客さまが次に何をすればよいかを最後に書きます

答えを書いていて、店の決まりそのものが決まっていないと気づいたら、その場で決めてから表に書きます。

分け方の型をスキルにし、答えを決めるのはAIの外に置く

分け方の型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「質問の種類の一覧(今ある表の種類)」「分け方の決まり(2つの種類が入るときは両方に数える)」「毎週の拾い出しの型(表にない質問、答えと食い違いそうな質問)」「書いてはいけないこと(答えを作ること、推測の数)」をスキルにします。

答えを決めるのは、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、答えを店長が書くこと、答えに根拠の決まりを添えること、月に1回の見直しで表を直すことがそれに当たります。AIには、答えの下書きも作らせず、質問を分けて拾うことだけを頼みます。答えは店の決まりそのものだからです。

店長の仕事は、答えを書き、月に1回見直すこと

店長がすることは、次の3つです。

  • 多い20件の答えを書く。 1件あたり数分で、店の言い方で書きます。迷う質問は、店の決まりから決め直すきっかけにします
  • 人に回す質問を決める。 予約の確定、金額の約束、苦情、体や安全の相談などを「人」とします
  • 月に1回見直す。 拾い出された質問を見て、表に足すか、答えを直すかを決めます。営業時間や料金を変えたときは、その日に表も直します

経営への効果は、返事の手間を減らし、答えをそろえること

  • 返事の下書きをそのまま使える割合が増える。 多い質問から表にするので、少ない件数で多くの問い合わせを覆えます
  • 答えがそろう。 誰が返しても、同じ答えになります。お客さまに違うことを伝える食い違いが減ります
  • 店の決まりの抜けに気づく。 答えを書こうとして決まっていないことに気づくことがあります。表づくりは、店の決まりを整える機会にもなります

費用はAIの利用料が1回十数円ほど

費用 見込み
最初の分類 3か月分の質問(入力4万トークン・出力3千トークンほど)の分類が、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回17円ほど
毎週の拾い出し 1週間分なら1回数円
LINE公式アカウント LINEヤフーのマニュアルによると、チャットの送受信は配信の通数に数えられない
人の時間 集めるのに数時間、店長が20件の答えを書くのに1〜2時間

必要な人は2役で、答えを決めるのは店長

  • 受付の担当者:やりとりを集めて名前などを消し、毎週の質問をAIに渡す
  • 店長:答えを書き、人に回す質問を決め、月に1回見直す

1か月で表ができ、3か月で答えの抜けが減る見込み

  1. 1週目:3か月分の質問を集め、名前などを消す
  2. 2週目:AIで分類し、店長が多い20件の答えを書く
  3. 3〜4週目:親の記事の仕組みで、表をもとに返事の下書きを始める
  4. 2か月目から:毎週の拾い出しと、月に1回の見直しを続ける
  5. 3か月目:表にない質問が、始めたころより減っているかを数える

名前を消さずに貼ると失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 名前や電話番号を消さずに貼る。 お客さまの情報をAIに渡さないよう、集める段階で消します。会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランを使います
  • 答えまでAIに作らせる。 AIが作った答えには、店の決まりと違う内容が混ざることがあります。答えは店長が書きます
  • 表を作って終わる。 営業時間や料金を変えたのに表を直さないと、AIの下書きが古い答えのままになります。変えた日に表も直します

まとめ

  • AIの返事の下書きの出来は、よくある質問の答えの表で決まる。思いつきではなく、実際のやりとりから数えて選ぶ
  • 3か月分の質問から名前などを消して集め、AIが種類ごとに分けて数え、店長が多い20件の答えを書く
  • AIには分けることと拾うことだけを頼み、答えは店の決まりを根拠に店長が書く
  • 毎週、表にない質問をAIが拾い、月に1回、店長が見直す
  • 費用はAIの利用料が1回十数円ほどで、1か月で表ができる

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