業務への組み込み例

LINEの問い合わせにAIで返す|夜と休みの日の取りこぼしを防ぐ仕組み

この記事で変わる経営指標

この記事では、LINE公式アカウントに届く問い合わせへの返事を、AIで早くする方法を説明します。一言でいうと、営業時間外はあいさつと応答メッセージで受付を伝える。届いた質問は、よくある質問の答えの表をもとにAIが返事を下書きし、人が確かめて送る。予約の確定、金額、苦情、体や安全に関わる相談は、AIの下書きに頼らず人が答えるという話です。

AIの価値は、人の代わりにお客さまと話すことではありません。同じ質問への返事を毎回一から書く時間をなくし、少ない人数でも、問い合わせが来た日のうちに返せるようにすることです。

経営への効果は、LINEで来た問い合わせを取りこぼさないこと

LINEの問い合わせへの返事は、次のように変わります。

今まで AIを入れたあと
営業時間外 既読にならないまま翌日 受付の返事がすぐ届き、翌朝に回答
返事を書く人 店長か、手の空いた人 AIが下書きし、担当が確かめて送る
同じ質問 毎回一から書く 答えの表から下書き
予約・金額・苦情 その場の判断 必ず人が答える
答えのばらつき 人によって違う 答えの表でそろう
LINE公式アカウントの問い合わせ対応の変化。今までは営業時間外や忙しい時間の問い合わせが翌日以降の返事になり、ほかの店に流れることがあった。営業時間外はあいさつと応答メッセージで受付を伝え、AIがよくある質問の答えの表から返事を下書きし、人が確かめて送る。予約や金額、苦情は人が答える
LINE公式アカウントの問い合わせ対応の変化。今までは営業時間外や忙しい時間の問い合わせが翌日以降の返事になり、ほかの店に流れることがあった。営業時間外はあいさつと応答メッセージで受付を伝え、AIがよくある質問の答えの表から返事を下書きし、人が確かめて送る。予約や金額、苦情は人が答える

LINEは、お客さまにとっていちばん気軽な連絡の手段の1つです。Impress WatchとJetstreamの記事によると、LINEヤフーは2026年1月29日に、2025年12月時点で国内の月間の利用者が1億人を超えたと発表しました。気軽に送れる分、お客さまはほかの店にも同じ質問を送っていることがあります。返事が遅いと、先に返した店に予約が入ります。

問い合わせへの返事の速さが商談につながる理由は、問い合わせ対応をAIで速くする方法|1時間以内の返事で商談を逃さないで説明しています。

チャットの返事は、配信の通数に数えられない

LINEヤフーのマニュアル(2026年4月24日更新)によると、LINE公式アカウントの料金プランは、月額0円のコミュニケーションプラン、月額5,000円のライトプラン、月額15,000円のスタンダードプランの3種類です。プランごとの無料の通数の対象は「メッセージ配信」で、チャットでのやりとりは対象外で、通数の制限もありません。

課金に数えられないものとして、次が挙げられています。

  • LINEチャットの送受信
  • 応答メッセージ
  • あいさつメッセージ
  • Messaging APIの「Reply API」(届いたメッセージへの返信)

つまり、1対1の問い合わせへの返事は、何通返しても配信の通数を使いません。一方、友だち全員への配信や、絞り込み配信、ステップ配信は数えられます。料金や条件は変わることがあるので、申し込む前にLINEヤフーの最新の案内を確かめてください。2026年10月時点の情報です。

小さな店ほど、LINEの返事が後回しになる

LINEの問い合わせが後回しになる理由は、たいてい次の3つです。

  • 返す人が決まっていない。 店長のスマホにだけ通知が来て、店長が忙しいと誰も返しません
  • 同じ質問に毎回一から返す。 駐車場、営業時間、予約の空き、持ち物。同じ質問への返事を毎回書いています
  • 夜と休みの日は返せない。 営業時間外に届いた質問は、翌日まで既読にもならないことがあります

受付は自動で伝え、返事はAIが下書きし、人が送る

人がすること(最初に)。 店長が、よくある質問と答えの表を作ります。営業時間、定休日、場所と駐車場、料金の目安、予約の取り方、キャンセルの決まり、持ち物などです。過去のLINEのやりとりを見て、多い質問から20件ほど選びます。やりとりの集め方、AIでの分け方、答えの書き方と見直し方は、LINEのよくある質問の答えの作り方|過去のやりとりからAIで20件選ぶで説明しています。

自動の設定(最初に)。 LINE公式アカウントの機能で、友だち追加のときのあいさつメッセージと、営業時間外の応答メッセージを設定します。「ただいま営業時間外です。翌営業日の午前中にお返事します」のように、いつ返事が来るかを伝えます。

AIに頼むこと。 届いた質問と答えの表をAIに渡し、返事を下書きしてもらいます。

下は、お客さまからのLINEの質問と、当店のよくある質問の答えの表です。返事を下書きしてください。答えの表にあることだけで答え、表にないことは「担当者から改めてお返事します」と書いてください。予約の確定、金額の約束、苦情、体や安全に関わる相談には答えず、「担当者からお返事します」とだけ書いてください。LINEで読みやすいよう、3〜5行で書いてください。

人がすること(そのあと)。 担当者が下書きを確かめ、予約の空きや金額は台帳と照らしてから送ります。答えの表にない質問が来たら、答えを決めて表に足します。

自動で答える範囲は、答えの表の中だけにする

さらに進めて、AIが自動で返事を送る仕組みにすることもできます。Messaging APIとAIをつなぎ、届いた質問にReply APIで返す形です。この場合は、自動で答える範囲を決めておきます。

種類 自動で答えるか
営業時間、定休日、場所、駐車場 答えの表のとおりに自動で答えてよい
予約の取り方、持ち物 答えの表のとおりに自動で答えてよい
予約の空き、予約の確定 人が答える(予約の台帳と照らす)
金額の見積、値引き 人が答える
苦情、トラブル 人が答える
体や安全、法律に関わる相談 人が答える

自動で答える仕組みは、作る費用がかかり、間違った答えが送られる危険もあります。最初は下書きと人の確認から始め、答えの表が固まってから考えます。

答えの表をスキルにし、送るかの判断はAIの外に置く

ここまでの使い方は、そのつどAIのチャットに頼む場合です。毎日同じように使うなら、もう一段の工夫をしておくと安定します。作る側から見ると、ここが「AIを使う」と「使いこなす」の差です。

答えの表を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「よくある質問の答えの表」「LINEの返事の型(3〜5行、絵文字は使うか、名乗り方)」「人に回す質問の種類」「書いてはいけないこと(表にない答え、予約の確定、金額の約束)」をスキルにします。

送るかの判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、担当者が送る前に必ず読むこと、予約の空きを台帳と照らすこと、表にない質問の答えを店長が決めて表に足すことがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が月に数百円から千円ほど

費用 見込み
LINE公式アカウント 1対1のチャットの返事は配信の通数に数えられない。配信をするかどうかでプランを選ぶ
AIの利用料 質問と答えの表(入力3千トークン・出力500トークンほど)の下書きが、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1件2円ほど。1日20件、月30日で月に千円ほど
法人向けプラン チャットに貼って使うなら1人あたり月数千円
自動で返す仕組み 作る場合は、作る費用と保守の費用が加わる

費用の考え方は中小企業のAI導入費用はいくら?3つの内訳と元が取れるかの計算式にまとめています。

予約と金額と苦情は、AIに任せない

  • 予約の確定は人が行う。 予約の空きは台帳と照らし、人が確定します
  • 金額の約束はしない。 見積や値引きは、人が答えます
  • 苦情と体や安全の相談は人が答える。 AIの下書きを使わず、担当者か店長が直接答えます
  • お客さまの情報を入れすぎない。 名前や電話番号、体の状態などは、会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランで扱うか、AIに渡さないようにします

明日からは、よくある質問20件の答えの表を作る

  1. 過去のLINEのやりとりから、多い質問を20件選ぶ
  2. それぞれの答えを、店長が表にする
  3. あいさつメッセージと、営業時間外の応答メッセージを設定する
  4. 上の見本の指示で、届いた質問の返事を下書きさせ、担当者が確かめて送る
  5. 表にない質問が来たら、答えを決めて表に足す

口コミへの返信も、同じように答えの型を作ると続けやすくなります。方法は口コミ返信の自動化|全件その日に返し、店長は確かめて承認するだけで説明しています。

まとめ

  • LINEは国内の月間の利用者が1億人を超え、気軽な問い合わせの窓口になっている。返事が遅いと、先に返した店に予約が入る
  • LINEヤフーのマニュアルによると、1対1のチャットの送受信や応答メッセージは、配信の通数に数えられない
  • 営業時間外はあいさつと応答メッセージで受付を伝え、AIがよくある質問の答えの表から返事を下書きし、人が確かめて送る
  • 予約の確定、金額、苦情、体や安全の相談は人が答える。自動で返すのは、答えの表が固まってから
  • 最初は、よくある質問20件の答えの表から始める

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