経営課題×AI

有給休暇の年5日の管理|管理簿は表の式で、時季の聞き取りはAIで下書き

この記事で変わる経営指標

この記事では、有給休暇を取りやすい職場は引き継ぎで決まる|休む前の準備を5分にの「年5日の有給休暇を取らせるのは、会社の義務になっている」を、毎月続けられる管理の手順にして説明します。

一言でいうと、担当が、社員ごとの基準日と取った日を管理簿に書く。AIが、残りの日数を出す表の式と、本人に希望を聞く文を作る。担当が、5日に届かないおそれのある人を式で見つける。社長が本人の希望を聞いて、休む時季を決める。時季の指定は社長が決めるという形です。

経営への効果は、罰則を避け、休める会社として人を引き留めること

有給休暇を年5日取らせることは、会社の義務です。守れていないと、罰則の対象になるだけでなく、「休めない会社」として社員の不満がたまり、人が辞める理由になります。

小さな会社では、社員ごとに有給休暇が増える日(基準日)が違い、誰があと何日取ればよいかが分からなくなりがちです。気づいたときには期限が迫っていて、忙しい時期にまとめて休ませることになります。管理簿を表で作り、毎月見る仕組みにすれば、早めに声をかけられます。

労働基準法で、年5日は会社が時季を定めて与える

e-Gov法令検索で労働基準法と施行規則を確かめると、次の決まりがあります。

決まり 中身
法第39条第7項 有給休暇が年10日以上ある社員には、そのうち5日を、基準日から1年以内に、会社が時季を定めて与える
法第39条第8項 社員が自分で取った日数などは、5日から差し引ける
規則第24条の6 時季を定める前に、そのことを本人に伝えたうえで、時季について本人の意見を聴く。聴いた意見を尊重するよう努める
規則第24条の7 時季、日数、基準日を社員ごとに書いた年次有給休暇管理簿を作り、保存する
法第120条 第39条第7項に違反すると、30万円以下の罰金

管理簿の保存の期間は、規則では5年間ですが、規則の附則第71条で、当分の間は3年間とされています。2026年10月時点の情報です。

数えるのは表の式で、AIには数えさせない

誰が何日取ったかを、AIに数えさせるのは避けます。日付の読み違いや数え間違いがあっても、気づけないからです。義務を守れたかどうかにかかわる数字は、表の式で出します。

AIに頼むのは、表の式を作ることと、本人に希望を聞く文を下書きすることです。式は一度作れば使い回せます。表計算の式をAIに作ってもらう方法は、表計算の関数をAIに作ってもらう方法|計算は任せず、式で間違いを防ぐで説明しています。

パートの社員も、与える日数が10日以上なら対象になる

法第39条第7項の対象は、与えなければならない有給休暇の日数が10日以上の社員です。正社員だけではありません。

  • 週の働く日数が少ないパートの社員も、勤め続けた年数によっては10日以上になる
  • 管理簿には、パートの社員も全員入れる。 与えた日数が10日以上かどうかで、式が対象を分けます
  • 与える日数の決まりは、社会保険労務士にも確かめる

今は、給与の担当が記憶と紙で追っている

小さな会社では、給与の担当が、休みの届けの紙やカレンダーを見て、誰が何日休んだかを追っています。入社日がばらばらだと、基準日も社員ごとに違い、期限の管理が難しくなります。

管理簿を表にして、基準日から1年の期限と、取った日数、残りの日数が式で出るようにすれば、毎月の確認は数分で済みます。

そろえ、AIが式と文を作り、見つけて、聞く

有給休暇の年5日を管理する流れ。担当が基準日と取った日を管理簿に書く。AIが残りの日数を出す式と聞き取りの文を作る。担当が5日に届かないおそれのある人を式で見つける。社長が本人の希望を聞いて時季を決める。時季の指定は社長が決める
有給休暇の年5日を管理する流れ。担当が基準日と取った日を管理簿に書く。AIが残りの日数を出す式と聞き取りの文を作る。担当が5日に届かないおそれのある人を式で見つける。社長が本人の希望を聞いて時季を決める。時季の指定は社長が決める

1 そろえる(担当)。 社員ごとに、基準日、与えた日数、取った日を管理簿に書きます。

2 作る(AI)。 欄の名前を渡し、期限と残りの日数を出す式と、本人に希望を聞く文を作ってもらいます。

3 見つける(担当)。 毎月、期限までに5日に届かないおそれのある人を、式の印で見つけます。

4 聞く(社長)。 本人に希望を聞き、仕事の予定と合わせて休む時季を決めます。

管理簿は、この6つの欄でそろえる

欄 中身
社員の番号 名前は別の表で番号とつなぐ
基準日 有給休暇が与えられた日
与えた日数 その基準日に与えた日数
取った日 1日ずつ日付を書く
5日の期限 基準日から1年(式で出す)
期限までに取った日数 式で数える

規則は、時季、日数、基準日を社員ごとに明らかにすることを求めています。取った日を1日ずつ書いておけば、時季と日数の両方が分かります。

AIへの頼み方と、返ってくる式と文はこうなる

AIに渡す指示(見本):

表計算で、年次有給休暇管理簿を作っています。欄はA列から、社員の番号、基準日、与えた日数、取った日(D列から右に1日ずつ)です。基準日から1年後の前日を期限として出す式と、期限までに取った日数を数える式を作ってください。与えた日数が10日以上で、期限まで3か月を切っているのに取った日数が5日未満の行に「要相談」と出す式も作ってください。あわせて、その社員に休みの希望を聞く、やわらかい短い文を作ってください。

返ってくる文(見本の一部。内容は架空です):

有給休暇のことでご相談です。法律で、年に5日は会社が時季を決めてでも取っていただくことになっています。〇月〇日までに、あと〇日お休みを取っていただきたいと考えています。ご希望の日があれば、〇日までに教えてください。

式は、管理簿の写しで試してから、本物の管理簿に入れます。

確かめるときは、式の結果と聞き取りの文を見る

式もAIの文も、そのまま使わず、担当が確かめます。

  • 式の結果を、何人かの社員で手で数えて照らす。 最初の月だけでも行います
  • 基準日が年の途中で変わる社員がいないかを見る。 入社の年や、会社で基準日をそろえたときは扱いが変わります
  • 聞き取りの文に、時季を会社が決めることが書かれているかを見る。 規則では、そのことを本人に伝えてから意見を聴きます
  • 「休まないと困る」のような責める言い方がないかを見る

休む時季は、本人の希望と仕事の予定で社長が決める

希望を聞いたら、社長が仕事の予定と合わせて時季を決めます。規則は、聴いた意見を尊重するよう努めるとしています。

式と文の型をスキルにし、時季の判断はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「管理簿の6つの欄」「期限と日数を出す式」「希望を聞く文の型」「書いてはいけないこと(責める言い方、社員の名前、休む理由をたずねる文)」をスキルにします。

時季の判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、日数を表の式で数えること、担当が毎月印を見ること、社長が本人の希望を聞いて時季を決めることがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が式と文で数円

費用 見込み
式と文の下書き 指示(入力2千トークンほど)から式と文(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回2円ほど。一度作れば使い回せる
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
担当の時間 毎月の確認に数分から十数分(想定)

必要な人は2役で、時季は社長が決める

  • 社長:本人の希望を聞いて休む時季を決め、仕事の予定を調整する
  • 給与や総務の担当:管理簿に書き、AIに式と文を作らせ、毎月印を見て社長に伝え、管理簿を保存する

1か月で管理簿が回り、次の基準日から使える見込み

  1. 1週目:社員ごとの基準日と与えた日数を管理簿の6つの欄に書き写す
  2. 2週目:AIに式を作らせ、写しで試し、何人かを手で数えて照らす
  3. 3週目:希望を聞く文の型をスキルにまとめる
  4. 4週目以降:毎月の給与の締めのあとに印を見て、要相談の人の希望を聞く

期限の直前に気づくと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 期限の前の月に、まとめて休ませる。 忙しい時期と重なると、仕事が回りません
  • 日数をAIに数えさせる。 数え間違いがあっても気づけません
  • 本人に聞かずに休みの日を決める。 規則では、時季を定める前に本人の意見を聴きます

まとめ

  • 労働基準法第39条第7項で、有給休暇が年10日以上ある社員には、基準日から1年以内に5日を会社が時季を定めて与える
  • 規則第24条の6で、時季を定める前に本人に伝えて意見を聴き、尊重するよう努める
  • 規則第24条の7で年次有給休暇管理簿を作り、当分の間は3年間保存する
  • 日数と期限は表の式で出し、AIには式と希望を聞く文を作らせる
  • 毎月印を見て、期限まで余裕があるうちに本人の希望を聞く

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