リフォーム見積の説明書の作り方|一式を開き、含まない工事まで書く
この記事では、リフォーム会社のAI活用|見積の説明と点検の案内で次の工事につなぐの「見積の説明は、内訳を言葉で下書きする」を、見積のたびに続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、担当が、現地を見て内訳を積算する。AIが、項目ごとの説明と、含まれない工事と、追加工事の決め方を下書きする。担当が、金額と数量を見積書と照らす。社長が、お客さまに説明して渡す。追加の工事は書面で決めるという形です。
経営への効果は、相見積で金額以外の理由で選ばれること
リフォームのお客さまは、複数の会社から見積を取って比べることがあります。広島県の案内では、相見積を取るときは3〜5社ほどを挙げて比べ、総額だけでなく工事内容も確かめるよう勧めています。
総額だけが目立つ見積では、安い会社が選ばれやすくなります。項目ごとに何をするのか、何が含まれていないのかを言葉で示した説明書があれば、お客さまは中身で比べられます。工事が始まってからの「それも入っていると思った」という行き違いも防げます。
国の案内でも、「一式」と追加費用は確かめる点に挙がっている
国土交通省の「リフォーム見積相談制度」のページによると、住宅リフォーム・紛争処理支援センターのリフォーム見積チェックサービスでは、お客さまが見積書について無料で相談できます。相談の内容として、次のものが挙がっています。
- 不明瞭な項目がないか。 一式工事、特別割引など
- 二重計上や不要な項目がないか
- 工事内容が希望と合っているか、追加工事の費用負担について合意があるか
同じページには、見積が現場をよく確認せずに作られていると、工事の面積や材料を正確に見積もれず、追加費用の請求につながる場合があると書かれています。
広島県の案内でも、相見積のチェックポイントとして、指定した製品が記入されているか、項目ごとに材料や人件費が出ているか、「〇〇工事一式」は要注意、と挙げられています。工事内容の変更や追加があったときは、書面で確かめるよう勧めています。
お客さまがこうした点を確かめに来ることを前提に、見積と説明書を作っておくのが近道です。
今は、見積書に「一式」が並び、説明は口頭で済ませている
小さなリフォーム会社では、見積書に「解体工事一式」「設備工事一式」のような書き方が並ぶことがあります。担当は中身を分かっていても、お客さまには何が含まれているのかが見えません。
口頭で説明しても、お客さまは家族に伝えるときに思い出せず、ほかの会社の見積と比べるときに中身が抜け落ちます。紙に残る説明書があれば、家族で読み返して比べてもらえます。
積算し、AIが下書きし、照らして、渡す
1 積算する(担当)。 現地を見て、面積や材料を確かめ、内訳を積算します。「一式」にしていた項目は、材料と手間に分けます。
2 下書きする(AI)。 内訳と工事の範囲を渡し、項目ごとの説明、含まれない工事、追加工事の決め方を下書きしてもらいます。
3 照らす(担当)。 説明書の金額と数量が、見積書と合っているかを照らします。
4 渡す(社長)。 お客さまに説明して渡します。追加の工事が出たら、書面で決めます。
説明書は、この4つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 項目ごとの説明 | 「既存の浴槽と壁のタイルを撤去し、処分します」 |
| 含まれていない工事 | 「脱衣所の床の張り替えは含まれていません」 |
| 現地で確かめたこと・確かめられなかったこと | 「床下の土台は、解体後に確かめます」 |
| 追加工事が出たときの決め方 | 「解体後に傷みが見つかった場合は、工事を止めて写真と見積をお見せし、書面で決めてから進めます」 |
3つ目の欄が大事です。国土交通省のページにあるとおり、現場をよく確認せずに作った見積は、追加費用の請求につながる場合があります。解体してみないと分からないところは、分からないと書いておきます。
AIへの頼み方と、返ってくる説明書はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、浴室の入れ替え工事の見積の内訳(品目、数量、単価、金額)と、工事の範囲のメモです。お客さまに渡す説明書を下書きしてください。項目ごとに「何をするか」を1〜2行で書いてください。あわせて「含まれていない工事」「現地で確かめられなかったこと」「追加工事が出たときの決め方」を書いてください。金額と数量は内訳のとおりに書き、計算や値引きの話はしないでください。メモにないことは「担当が確認します」と書いてください。
返ってくる説明書(見本の一部。内容は架空です):
解体・撤去(内訳のとおり):今の浴槽、壁と床のタイルを取り外し、処分します。 含まれていない工事:脱衣所の床と壁の張り替え、給湯器の交換は含まれていません。 現地で確かめられなかったこと:床下の土台の状態は、解体後に確かめます。 追加工事が出たときの決め方:傷みが見つかった場合は、工事を止めて写真と追加の見積をお見せし、書面でご了承をいただいてから進めます。
照らすときは、金額と製品名と許可の線を見る
AIの下書きは、渡した内訳をもとにした文です。担当は、次の点を見積書と照らします。
- 金額と数量。 説明書に書いた数字が、見積書と1つずつ合っているか
- 製品名と型番。 広島県の案内にあるとおり、お客さまは指定した製品が記入されているかを見ます。見積書と説明書で食い違いがないかを確かめます
- 許可の線。 自社が建設業の許可を持っていない場合、総額が軽微な建設工事の線(建築一式工事以外は1件500万円未満、税込)を超えていないかを確かめます
追加の工事は、止めて、見せて、書面で決める
工事が始まってから追加の工事が出るのは、リフォームでは避けにくいことです。もめごとになるのは、追加の費用を、お客さまが知らないまま進めたときです。
- 工事を止めて、写真を見せる。 何が見つかったのかを、写真で伝えます
- 追加の見積を出す。 AIに、見つかったことと追加の工事の説明を下書きさせ、金額は担当が積算します
- 書面で決めてから進める。 お客さまの了承を書面で取ってから、追加の工事に入ります
国土交通省のページで紹介されている「追加費用チェックリスト」も、お客さまと一緒に確かめる材料になります。
型をスキルにし、金額はAIの外で決める
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「説明書の4つの欄」「工事の種類ごとの含まれない工事の例」「追加工事の決め方の文」「書いてはいけないこと(計算、値引き、メモにない工事、必ず追加費用は出ないという言い切り)」をスキルにします。
金額は、AIの外で決める。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、内訳を担当が積算すること、金額と数量と製品名を見積書と照らすこと、許可の線を総額で確かめること、追加工事を書面で決めることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1回5円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 説明書の下書き | 内訳と工事の範囲のメモ(入力5千トークンほど)から説明書(出力2千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回5円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 担当の時間 | 照らしと直しに1件数十分(想定) |
必要な人は2役で、金額を決めるのは担当と社長
- 担当:現地を見て内訳を積算し、AIの下書きを見積書と照らす
- 社長:説明書を読んでお客さまに説明し、追加の工事を書面で決める
お客さまの名前と住所は、記号に置き換えてからAIに渡します。
1か月で型ができ、相見積の結果が見える見込み
- 1週目:いちばん多い工事を1つ選び、4つの欄の説明書を作る
- 2〜3週目:次の見積から説明書を付けて渡し、お客さまに聞かれたことを書き留める
- 4週目:聞かれたことを説明書の型に足し、スキルにまとめる
- 3か月目:見積からの契約の割合を、始める前と比べる
「一式」のまま説明書だけ足すと失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 見積書は一式のまま。 説明書だけ詳しくても、見積書の項目が一式では、金額の内訳が分かりません。見積書も材料と手間に分けます
- 確かめられなかったことを書かない。 分からないところを書かないと、追加費用のときにもめます
- 追加の工事を口頭で決める。 書面に残さないと、あとで金額の行き違いになります
まとめ
- 国の案内では、見積の一式工事、二重計上、追加工事の費用負担の合意が、お客さまが確かめる点に挙がっている
- 説明書は「項目ごとの説明」「含まれていない工事」「確かめられなかったこと」「追加工事の決め方」の4つの欄で作る
- AIには、担当が積算した内訳から説明を下書きさせ、計算と値引きの話はさせない
- 担当が金額、数量、製品名、許可の線を見積書と照らす
- 追加の工事は、止めて、写真を見せ、書面で決めてから進める