旅のあとのお礼と次の案内|AIで下書きし、同意と広告の決まりを守る
この記事で変わる経営指標
この記事では、旅行会社のAI活用|旅程の相談と旅のしおりで次の旅も頼まれるの「次の旅の案内は、帰ってからお礼と一緒に送る」を、旅のたびに続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、担当が、行き先と旅の前に聞いた希望と、案内を送ってよいかの同意を書き出す。AIが、お礼の文と次の旅の案内を1つ下書きする。旅行業務取扱管理者が、広告の表示と言い過ぎを確かめる。担当が、同意した人に送り、送った日を残す。案内は押しつけず1つだけ添えるという形です。
経営への効果は、次の旅も同じ会社に頼んでもらうこと
旅が終わったあとのお礼は、お客さまが「また頼みたい」と思う大事な機会です。旅の思い出が新しいうちに、旅の前に聞いた希望に触れたお礼が届けば、自分のことを覚えてくれている会社だと感じてもらえます。
そこに、次の季節の旅や、家族の行事に合う旅を1つ添えておけば、次に旅を考えたときに最初に思い出してもらえます。小さな旅行会社にとって、繰り返し頼んでくれるお客さまは、広告に頼らない売上の柱です。
広告や宣伝のメールには、特定電子メール法の決まりがある
お礼のメールに次の旅の案内を添えると、広告や宣伝のメールにあたることがあります。e-Gov法令検索で特定電子メール法を確かめると、次の決まりがあります。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 送ってよい相手(第3条第1項) | あらかじめ送信に同意した人、取引関係にある人など |
| 同意の記録(第3条第2項) | 同意を受けたことを示す記録を保存する |
| 送らないでと言われたら(第3条第3項) | その意思に反して送ってはならない |
| 表示(第4条) | 送信者の氏名または名称、受信を断るための連絡先などを表示する |
総務省の概要の資料でも、同意のない人への広告・宣伝メールは原則として禁止で、同意の記録を保存すること、受信を断った人に再び送らないこと、表示の義務があることが示されています。違反には、総務大臣と消費者庁長官による措置命令があります。
旅を申し込んだお客さまは取引関係にある人ですが、お礼に案内を添えるなら、申込みのときに案内を送ってよいかを聞いておくと安心です。細かな扱いは、総務省と消費者庁の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。
企画旅行の募集の広告は、表示事項と誇大広告の禁止を守る
添える案内が、自社の企画旅行の参加者を募る広告になる場合は、旅行業法の決まりもかかわります。e-Gov法令検索で確かめると、第12条の7で、企画旅行の募集の広告には、旅行業者の名称、目的地と日程、運送などのサービスの内容、対価に関する事項などを表示することになっています。
第12条の8では、旅行業務の広告で、サービスの内容などについて、著しく事実と違う表示や、実際より著しく良い・有利だと誤らせる表示をしてはならないとされています。「絶景間違いなし」「最安値」のような言い方は、根拠がなければ使いません。
今は、お礼を送れずに終わることが多い
小さな旅行会社では、旅が終わると次の手配に追われ、お礼を送れないまま時間がたつことがあります。送っても、決まり文句のはがきになりがちです。
旅の前に聞いた希望や、旅のしおりの中身は記録に残っています。その記録からお礼を下書きすれば、一人ひとりに合った言葉を短い時間で届けられます。
書き出し、AIが下書きし、確かめて、送る
1 書き出す(担当)。 行き先、旅の日付、旅の前に聞いた希望、案内を送ってよいかの同意を書き出します。
2 下書きする(AI)。 お礼の文と、次の旅の案内を1つ下書きしてもらいます。
3 確かめる(旅行業務取扱管理者)。 案内が広告にあたる場合の表示と、言い過ぎがないかを確かめます。
4 送る(担当)。 同意した人に送り、送った日を記録します。
お礼の記録は、この6つの欄で持つ
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 行き先と日付 | 〇〇温泉、10月の2泊3日 |
| 旅の前に聞いた希望 | 足の悪い母と一緒に、移動を少なく |
| 旅の中で聞いたこと | 帰りの連絡で「宿の料理が良かった」 |
| 案内の同意 | メールで案内を送ってよい(申込みのときに確認) |
| 次の旅の案内 | 1つだけ(季節や家族の行事に合うもの) |
| 送った日 | 帰ってから1週間以内(想定) |
案内の同意は、申込みのときの書類やメールで確かめた記録を残しておきます。
AIへの頼み方と、返ってくる文はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、旅を終えたお客さま1人分の記録です。お礼のメールを下書きしてください。旅の前に聞いた希望に一言触れてください。最後に、次の旅の案内を1つだけ、押しつけない形で添えてください。案内は、渡した企画旅行の資料にあるものだけを使い、資料にない料金や日程、「絶景間違いなし」「最安値」のような言い方は書かないでください。お客さまの名前は「〇〇様」と空けてください。
返ってくる文(見本の一部。内容は架空です):
〇〇様 先日は〇〇温泉への旅をご利用いただき、ありがとうございました。お母さまとご一緒に、移動の少ない旅程でお楽しみいただけましたでしょうか。 春には、〇〇の桜を見に行く日帰りの旅もご用意しています。ご興味があれば、お気軽にお声がけください。
最後に、送信者の名称と、案内の受け取りを断るための連絡先を入れます。この部分は型に固定しておき、AIに書かせません。
確かめるときは、同意と表示と言い過ぎを見る
AIの下書きは、渡した記録と資料をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、記録にない中身が混ざることがあります。
- 案内の同意を、記録と照らす。 断った人には案内を添えません
- 送信者の名称と、受信を断る連絡先が入っているかを見る
- 企画旅行の案内なら、表示事項を確かめる。 名称、目的地と日程、サービスの内容、対価を、資料と照らします
- 言い過ぎがないかを見る。 根拠のない「一番」「間違いなし」は消します
断られたら、すぐに台帳に書く
案内の受け取りを断られたら、その日のうちに台帳に書きます。
- 断った人には、案内を送らない。 お礼だけの連絡にするか、連絡を控えるかを決めます
- 断られた日と方法を残す。 担当が替わっても、同じ人に送らないようにします
- 案内を送る前に、毎回台帳を見る。 断った人が一覧に紛れていないかを確かめます
旅のしおりの作り方は、旅のしおりをAIで作る|確定した手配と安全の情報だけで1冊にで説明しています。
型をスキルにし、同意と表示はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「お礼の文の型」「案内を1つ添える形の見本」「書いてはいけないこと(資料にない料金や日程、根拠のない最上級の言い方、お客さまの名前)」をスキルにします。
同意と表示は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、同意の記録を台帳で持つこと、送信者の名称と受信を断る連絡先を型に固定すること、広告の表示を旅行業務取扱管理者が確かめることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1通2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| お礼と案内の下書き | 記録と資料と指示(入力2千トークンほど)からお礼の文(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1通2円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 担当の時間 | 確かめて送るのに1通数分(想定) |
必要な人は2役で、表示は管理者が確かめる
- 担当:記録を書き出し、AIに下書きさせ、同意した人に送り、送った日を残す
- 旅行業務取扱管理者:案内が広告にあたる場合の表示事項と言い過ぎを確かめる
お客さまの名前や連絡先は、AIに渡さずに送るときに入れます。
1か月で型ができ、次の旅から使える見込み
- 1週目:お礼の記録の6つの欄と、申込みのときに案内の同意を聞く書き方を決める
- 2週目:最近の旅の数件でAIにお礼を下書きさせ、管理者が確かめる
- 3週目:型と書いてはいけないことをスキルにまとめ、送信者の名称と受信を断る連絡先を型に固定する
- 4週目以降:旅が終わるたびに送り、次の旅の相談につながった数を数える
同意を聞かずに案内を送ると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 案内の同意を聞いていない。 申込みのときに聞き、記録を残します
- 断った人に送ってしまう。 台帳を見ずに送ると、信頼を失います
- 案内を何本も並べる。 お礼の気持ちが伝わらず、売り込みに見えます
まとめ
- 広告や宣伝のメールは、特定電子メール法で、同意や取引関係などがある人に送り、送信者名と受信を断る連絡先を表示する
- 同意の記録を保存し、断られたら送らない
- 企画旅行の募集の広告は、旅行業法第12条の7の表示事項と、第12条の8の誇大広告の禁止を守る
- AIは記録からお礼の文を書き、資料にある次の旅を1つだけ添える
- 同意と表示は台帳と型で持ち、旅行業務取扱管理者が確かめてから送る