旅のしおりをAIで作る|確定した手配と安全の情報だけで1冊に
この記事では、旅行会社のAI活用|旅程の相談と旅のしおりで次の旅も頼まれるの「旅のしおりは、確定した手配から作る」を、旅ごとに続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、担当が、確定した手配と目的地の安全の情報を集める。AIが、1日ごとの流れと持ち物の形に整える。担当が、時間と便名と宿の住所を手配の記録と照らす。旅の前に渡し、海外の旅なら外務省の「たびレジ」の登録も案内する。行程を変える判断は人が行うという形です。
経営への効果は、旅の満足を高め、次の旅の相談につなげること
旅のしおりは、お客さまが旅の前に家族で読み、旅の間も持ち歩くものです。分かりやすいしおりがあれば、集合の時間や持ち物で迷わず、旅そのものを楽しめます。旅が楽しかったという記憶は、次の旅を同じ会社に頼む理由になります。
一方で、しおりを手で作ると、旅ごとに時間がかかります。確定した手配からAIで形を整えれば、担当者は照らし合わせと一言の添え書きに時間を使えます。
規則でも、安全と衛生の情報の説明が求められている
e-Gov法令検索で「旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則」を確かめると、第3条で、企画旅行の取引条件の説明事項に、目的地と日程、提供を受けられるサービスの内容などが含まれています。目的地を考えて旅行者が知っておくとよい安全と衛生の情報がある場合は、その旨と情報も説明事項です。
しおりは取引条件の書面そのものではありませんが、書面で説明した中身と、しおりに書く中身が食い違わないようにします。安全の情報も、しおりに分かりやすく載せておけば、旅の間に読み返せます。2026年10月時点の情報です。
海外の旅では、外務省の「たびレジ」の登録を案内する
外務省の「たびレジ」は、海外旅行の予定を登録すると、出発前から旅の終わりまで、旅先の大使館や総領事館から安全の情報を受け取れる仕組みです。外務省のページによると、現地で緊急事態に巻き込まれたときに、より素早い安否確認や支援を受けられ、日本の家族のメールアドレスも一緒に登録できます。
しおりに、たびレジの登録の案内を1ページ入れておけば、お客さまが自分で登録しやすくなります。外務省のページには、企業・法人向けの案内もあります。
今は、しおりを担当者が一から作っている
小さな旅行会社では、しおりを担当者が手づくりしていることがあります。旅ごとに表計算や文書のソフトで作り直し、時間や便名を手で書き写します。
書き写しのたびに、時間や便名の打ち間違いが起きる心配があります。確定した手配の記録から整える流れにすれば、書き写しが減り、照らし合わせに集中できます。
集め、AIが整え、照らして、渡す
1 集める(担当)。 確定した宿、交通、集合の時間と場所、現地の連絡先と、目的地の安全の情報を集めます。
2 整える(AI)。 集めた情報を渡し、1日ごとの流れ、持ち物、気をつけること、困ったときの連絡先の形に整えてもらいます。
3 照らす(担当)。 時間、便名、宿の名前と住所を、手配の記録と1つずつ照らします。
4 渡す(担当)。 旅の前に渡します。海外の旅なら、たびレジの登録の案内も添えます。
しおりは、この5つのページで作る
| ページ | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 1日ごとの流れ | 集合の時間と場所、移動、観光、宿 |
| 持ち物 | 身分証、旅券(海外)、常備薬、季節の服 |
| 気をつけること | 目的地の安全と衛生の情報、気候、食事の注意 |
| 困ったときの連絡先 | 旅行会社の連絡先、宿の電話、現地の連絡先 |
| 海外の旅の案内 | たびレジの登録の案内、大使館・総領事館の連絡先 |
旅程案の段階のものや、確定していない手配は、しおりに入れません。 紙で渡すか、スマートフォンで見られる形で渡すかは、お客さまに聞いて決めます。
AIへの頼み方と、返ってくるしおりはこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、確定した手配の一覧(宿、交通の便名と時間、集合の時間と場所)と、目的地の注意事項です。お客さまに渡す旅のしおりを、「1日ごとの流れ」「持ち物」「気をつけること」「困ったときの連絡先」の形に整えてください。時間、便名、宿の名前と住所は一覧のとおりに書き、一覧にない予定や施設は足さないでください。営業時間や料金は書かないでください。
返ってくるしおり(見本の一部。内容は架空です):
1日目 8:30 〇〇駅 中央改札前に集合 9:00 〇〇号で出発 12:30 〇〇温泉 着、昼食(各自) 15:00 〇〇旅館 チェックイン(住所:〇〇)
気をつけること:山あいのため、朝晩は冷え込みます。上着をお持ちください。
照らすときは、時間と便名と住所を1つずつ見る
AIが整えた文は、渡した一覧をもとにしています。それでも、写し間違いや、言葉を補った部分が混ざることがあります。
- 時間と便名は、手配の記録と1つずつ照らす。 乗り継ぎの時間も確かめます
- 宿の名前と住所は、予約の確認書と照らす
- AIが足した予定や施設がないかを見る。 一覧にない観光地や店が入っていないかを確かめます
手配が変わったときは、しおりも作り直します。作り直した日を表紙に書いておくと、お客さまも新しいものと分かります。
社員旅行や団体の旅では、参加者ごとの違いも載せる
社員旅行や団体の旅では、参加者によって集合の場所や帰りの便が違うことがあります。1冊のしおりに全員分を書くと、読みにくくなります。
- 共通のページと、個別のページに分ける。 1日ごとの流れや持ち物は共通にし、集合の場所や部屋割りは個別にします
- 個別のページは、名簿から人が作る。 名前や部屋割りはAIに渡さず、担当が名簿から入れます
- 幹事の連絡先を載せる。 旅の間の連絡の窓口を、旅行会社と幹事の両方にしておきます
幹事の方と、しおりの下書きを一度読み合わせておくと、当日の行き違いを防げます。
行程を変える判断は、AIに任せない
天候や現地の状況で、行程を変えることがあります。その判断は人が行います。
- 天候や現地の情報による行程の変更は、担当と旅行業務取扱管理者が決める
- 安全の情報は、公的な情報で確かめる。 海外なら外務省の情報で確かめます
- 変更をお客さまに伝える文は、AIに下書きさせてもよいが、中身は担当が決める
型をスキルにし、照らしはAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「しおりの5つのページの型」「国内の旅と海外の旅の持ち物の見本」「たびレジの案内の文」「書いてはいけないこと(一覧にない予定や施設、営業時間、料金、お客さまの名前)」をスキルにします。
照らしは、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、確定した手配だけを渡すこと、時間と便名と住所を担当が記録と照らすこと、行程の変更を人が決めることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1冊5円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| しおりの整え | 手配の一覧と注意事項(入力5千トークンほど)からしおり(出力2,500トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1冊5円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 担当者の時間 | 照らし合わせと添え書きに1冊十数分から数十分(想定) |
必要な人は2役で、行程を決めるのは人
- 担当:確定した手配と安全の情報を集め、AIのしおりを記録と照らし、旅の前に渡す
- 旅行業務取扱管理者:取引条件の書面としおりの中身が食い違っていないかを確かめ、行程の変更を決める
お客さまの名前や旅券の番号などは、AIに渡しません。
1か月で型ができ、次の旅から使える見込み
- 1週目:しおりの5つのページの型を決める
- 2週目:最近の旅の手配の一覧でAIに整えさせ、担当が照らす
- 3週目:型と指示をスキルにまとめ、海外の旅のたびレジの案内も入れる
- 4週目以降:次の旅からしおりを渡し、お客さまの声を聞いて型を直す
しおりに確定していない予定を入れると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 旅程案のまま入れる。 確定していない予定は、お客さまの期待とずれます
- 照らさずに渡す。 時間や便名の誤りは、集合に遅れる原因になります
- しおりと書面の中身が違う。 取引条件の書面で説明した中身と、しおりを合わせます
まとめ
- 規則では、企画旅行の取引条件の説明事項に、目的地の安全と衛生の情報が含まれている
- しおりは、確定した手配と安全の情報だけをAIに渡し、5つのページの形に整えさせる
- 担当が時間と便名と宿の住所を手配の記録と1つずつ照らし、AIが足した予定がないかを見る
- 海外の旅では、外務省の「たびレジ」の登録を案内する
- 行程を変える判断と、取引条件の書面との食い違いの確認は、人が行う