AI×業種

保険の見直しの提案|生活の変化からAIで話の種を作り、乗換は慎重に

この記事で変わる経営指標

この記事では、保険代理店のAI活用|満期の案内と見直しの提案で契約を守るの「見直しの提案は、生活の変化から下書きする」を、面談のたびに続けられる手順にして説明します。

一言でいうと、担当が、面談で聞いた暮らしの変わりごとを書く。AIが、確かめる点の一覧と、話を切り出す案内の文を下書きする。担当が、保険会社の資料で提案の中身を決める。乗り換えを話すときは、失うものも担当が説明する。比べ方と勧め方は人が決めるという形です。

経営への効果は、変化の時期に声をかけ、契約を守ること

お客さまの暮らしや仕事が変わると、今の補償が合わなくなることがあります。そのときに声をかけてくれなかった代理店より、気づいて声をかけてくれた代理店が選ばれます。

一方で、見直しの話は、言い方を誤ると「売り込み」に聞こえます。暮らしの変化に合わせて確かめる点を整理し、お客さまが自分で考えられる形で話を始めれば、信頼を保ったまま見直しの相談につながります。結果として、ほかの代理店への乗り換えを防ぎ、長いお付き合いになります。

保険業法は、不利益を告げない乗換と誤解させる比較を禁じる

e-Gov法令検索で保険業法を確かめると、第300条第1項で、保険募集人などには次のような行為が禁じられています。

禁じられている行為(第300条第1項より) 中身
第1号 虚偽のことを告げること、契約条項のうち判断に影響する重要な事項を告げないこと
第4号 不利益となる事実を告げずに、今の契約をやめさせて新しい契約を申し込ませること
第6号 ほかの保険契約と比べた事項で、誤解させるおそれのあるものを告げたり表示したりすること
第7号 将来の金額が不確実なことについて、断定的な判断を示すこと

見直しの提案は、この線のすぐそばの仕事です。AIに比べ方や勧め方を任せず、担当者が保険会社の資料にもとづいて説明します。2026年10月時点の情報です。

乗り換えには、お客さまが失うものがある

生命保険文化センターの「生命保険の契約にあたっての手引」では、見直しのときの注意点として、次のことが挙げられています。

  • 年齢が上がると保険料が割高になることがある。 今の契約をやめて新しい契約に乗り換えると、契約の年齢が上がるため
  • 健康状態によっては、新たに契約できないことがある
  • やめた契約は元に戻せない。 新しい契約が成立してから今の契約の解約の手続きをするなど、慎重に進める
  • 保険料の計算のもとになる率が違うことがある。 予定利率が下がると、保険料率が上がる場合がある
  • 短い期間でやめると、解約返戻金はまったくないか、ごくわずか

乗り換えを話すときは、こうした点を担当者がお客さまの契約に当てはめて説明します。

今は、満期のときにしか見直しの話をしていない

小さな保険代理店では、見直しの話を満期の案内のときにまとめてしていることが多いものです。結婚や子どもの誕生、家の購入のような変化を面談で聞いても、記録に残らず、次の話につながらないことがあります。

面談の記録に変わりごとを書いておき、AIに確かめる点の一覧を作らせれば、担当者は次に会うときの話を準備しやすくなります。

書き留め、AIが下書きし、決めて、話す

保険の見直しの提案の流れ。担当が面談で聞いた暮らしの変わりごとを書く。AIが確かめる点の一覧と案内の文を下書きする。担当が保険会社の資料で中身を決める。担当が乗り換えで失うものも説明する。比べ方と勧めは人が決める
保険の見直しの提案の流れ。担当が面談で聞いた暮らしの変わりごとを書く。AIが確かめる点の一覧と案内の文を下書きする。担当が保険会社の資料で中身を決める。担当が乗り換えで失うものも説明する。比べ方と勧めは人が決める

1 書き留める(担当)。 面談で聞いた暮らしや仕事の変わりごとを、面談の記録に書きます。

2 下書きする(AI)。 変わりごとから、確かめる点の一覧と、話を切り出す案内の文を下書きしてもらいます。

3 決める(担当)。 補償の金額、保険料、比べる商品は、担当者が保険会社の資料で決めます。

4 話す(担当)。 お客さまと話し、乗り換えを話すときは失うものも説明します。

変わりごとと確かめる点は、この表でそろえる

暮らしの変わりごと 確かめる点の例(想定)
結婚、子どもの誕生 死亡や病気のときの保障、受取人
家の購入 火災保険と地震保険、団体信用生命保険との重なり
子どもの独立 保障の大きさが今も必要か
退職 会社の保障がなくなる部分
事業を広げる、店を移転する 事業の保険の補償の範囲、所在地

この表は、話を始めるきっかけです。どの補償をどれだけにするかは、お客さまの意向を聞き、担当者が保険会社の資料で決めます。

AIへの頼み方と、返ってくる一覧はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下は、保険代理店の面談の記録から抜き出した、お客さま1人の暮らしの変わりごとです。担当者が次の面談で確かめる点を、箇条書きで5つまで挙げてください。あわせて、見直しの相談を切り出す短い案内の文を下書きしてください。特定の保険商品の名前や、保険料が安くなる・得になるといった言い方、ほかの会社との比較は書かないでください。

返ってくる一覧(見本の一部。内容は架空です):

確かめる点:お子さまの誕生にあわせて、死亡保障の金額が今の暮らしに合っているか/受取人の指定が今のままでよいか 案内の文:お子さまのご誕生、おめでとうございます。ご家族が増えたときは、今の保障が合っているかを一度ご一緒に確かめておくと安心です。ご都合のよいときにお時間をいただけますか。

確かめるときは、勧めと比べ方の言葉を見る

AIの下書きは、渡した記録をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、勧めすぎや比べ方の言葉が混ざることがあります。

  • 「得になる」「安くなる」のような言い方がないかを見る
  • 商品の名前や、ほかの会社との比較が入っていないかを見る
  • 将来の金額を言い切る言葉がないかを見る。 配当などの不確かな金額を「必ず」と書きません
  • 記録にない変わりごとが足されていないかを見る

乗り換えを話すときは、失うものを先に説明する

お客さまの意向を聞いて、今の契約をやめて新しい契約にする話になったときは、失うものを先に説明します。

  • 年齢と健康状態の影響を説明する。 保険料が上がることや、新たに入れないことがあると伝えます
  • 解約返戻金の見込みを、保険会社の資料で示す
  • 新しい契約が成立してから、今の契約をやめる。 手続きの順番を一緒に確かめます
  • 説明したことを、面談の記録に残す

意向の記録の残し方は、保険の面談記録をAIで整える|当初と最終の意向を比べて残すで説明しています。

型をスキルにし、比べ方と勧めはAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「変わりごとと確かめる点の表」「案内の文の型」「書いてはいけないこと(商品の名前、得になる・安くなるという言い方、ほかの会社との比較、将来の金額の言い切り、お客さまの名前)」をスキルにします。

比べ方と勧めは、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、提案の中身を担当者が保険会社の資料で決めること、乗り換えで失うものを担当者が説明すること、説明したことを面談の記録に残すことがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1回2円ほど

費用 見込み
一覧と案内の文の下書き 記録の抜き出しと指示(入力2千トークンほど)から一覧と文(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回2円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
担当の時間 確かめと準備に1件十数分(想定)

必要な人は2役で、提案の中身は担当者が決める

  • 担当者(保険募集人):変わりごとを記録し、AIに下書きさせ、保険会社の資料で中身を決め、説明する
  • 社長:表と型と書いてはいけないことを決め、乗り換えの説明が記録に残っているかを確かめる

お客さまの名前や病歴は、AIに渡しません。

1か月で表と型ができ、次の面談から使える見込み

  1. 1週目:変わりごとと確かめる点の表を作り、書いてはいけないことを決める
  2. 2週目:最近の面談の記録でAIに下書きさせ、担当者が確かめる
  3. 3週目:型をスキルにまとめ、乗り換えの説明の項目を面談の記録に足す
  4. 4週目以降:面談のたびに使い、相談につながった数を数える

「得になる」と切り出すと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 「今より安くなります」と切り出す。 比べ方によっては誤解させるおそれがあります
  • 乗り換えで失うものを説明しない。 第300条第1項第4号にかかわるおそれがあります
  • 今の契約を先にやめてもらう。 新しい契約に入れなかったとき、保障がなくなります

まとめ

  • 保険業法第300条で、不利益を告げない乗換、誤解させる比較、不確実な金額の断定などが禁じられている
  • 乗り換えると、年齢による保険料の上昇や、健康状態で入れないこと、解約返戻金が少ないことがある
  • AIには、暮らしの変わりごとから確かめる点の一覧と案内の文まで下書きさせる
  • 補償の金額、保険料、比べる商品は、担当者が保険会社の資料で決める
  • 乗り換えを話すときは、失うものを先に説明し、記録に残す

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