整骨院の保険の説明の紙|院長の箇条からAIで1枚にし、初診で渡す
この記事で変わる経営指標
この記事では、整骨院・接骨院のAI活用|広告の決まりを守り、受付と書類の事務を減らすの「患者への説明文は、院長の指示から下書きする」のうち、健康保険の仕組みを説明する紙を、初診のたびに渡せる形にする手順を説明します。
一言でいうと、院長が、保険の対象と対象外、申請書の注意を箇条で書く。AIが、やさしい言葉でA4で1枚にまとめる。院長が、厚生労働省と保険者の案内と照らす。受付が、初めての患者に院内で渡す。保険の対象かどうかは院長が判断するという形です。
経営への効果は、保険のもめごとを防ぎ、信頼される院になること
整骨院の受付でよく起きる行き違いの1つが、「保険が使えると思っていた」というものです。肩こりで来た患者に、保険が使えないことを施術のあとで伝えると、気まずい思いをさせてしまいます。
初診のときに、保険が使える場合と使えない場合を紙で渡しておけば、患者は納得したうえで施術を受けられます。保険者から問い合わせが来たときも、患者が戸惑わずに答えられます。説明が丁寧な院は、家族や知り合いにも紹介されやすくなります。
保険の対象は、骨折、脱臼、打撲、捻挫
厚生労働省の「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」のページでは、次のように案内されています。
| 項目 | 中身(厚生労働省のページより) |
|---|---|
| 保険の対象 | 骨折、脱臼、打撲、捻挫(いわゆる肉ばなれを含む)の施術 |
| 骨折と脱臼 | 緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意が必要 |
| 対象にならない例 | 単なる肩こり、筋肉疲労などは全額自己負担 |
| 受領委任 | 患者は自己負担分を払い、柔道整復師が残りを保険者に請求する |
協会けんぽの「柔道整復師のかかり方」では、保険の対象にならない例として、ほかにも、慰安目的の利用、病気からくる痛みやこり、仕事中や通勤途中の負傷、保険医療機関で同じけがを治療中の場合などが挙げられています。
細かな扱いは、厚生労働省と、患者が入っている保険者の案内で確かめてください。2026年10月時点の情報です。
患者にも、申請書と領収証で確かめてほしいことがある
協会けんぽのページでは、患者に向けて次のことを呼びかけています。
- 療養費支給申請書の委任欄は、傷病名・日数・金額をよく確かめてから書く。 白紙の用紙にサインしたり、印鑑を渡したりしない
- 領収証は必ずもらう。 医療費控除のときにも使う
- 長く治療しても良くならないときは、一度医師の診断を受ける
東北厚生局のページによると、受領委任を扱う施術所では、令和6年10月1日から明細書を無料で渡すことが義務になっています。説明の紙で、申請書と領収証と明細書の見方を先に伝えておくと、患者が自分で確かめられます。
今は、受付で口で説明している
小さな整骨院では、保険の説明を受付で口頭で行っていることが多いものです。混んでいる時間は説明が短くなり、患者も聞き流してしまいます。
院内に貼り紙をしていても、専門の言葉が並ぶと読まれません。患者の手元に残る1枚の紙を、やさしい言葉で作っておくと、家族にも見せられます。高齢の患者には、字を大きくした紙を用意しておくと読んでもらいやすくなります。
書き出し、AIが下書きし、照らして、渡す
1 書き出す(院長)。 保険の対象と対象外、申請書と領収証と明細書の注意を箇条で書きます。
2 下書きする(AI)。 箇条を渡し、やさしい言葉でA4で1枚にまとめてもらいます。
3 照らす(院長)。 厚生労働省と保険者の案内と照らし、言い換えで意味が変わっていないかを見ます。
4 渡す(受付)。 初めての患者に、院内で渡します。
説明の紙は、この5つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 保険が使えるとき | 骨折、脱臼、打撲、捻挫(肉ばなれを含む) |
| 保険が使えないとき | 単なる肩こり、筋肉疲労、仕事中のけがなど |
| 骨折と脱臼のとき | 応急の場合を除き、医師の同意が必要 |
| 申請書と領収証と明細書 | 委任欄は中身を確かめて書く、領収証と明細書は大切に |
| 分からないとき | 院長に聞いてほしいこと、保険者から問い合わせが来たとき |
保険が使えるかどうかは、けがの原因や様子を聞いて院長が判断します。紙には「保険が使えるかは、お話を聞いて院長が判断します」と書いておきます。
AIへの頼み方と、返ってくる紙はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、整骨院の院長が書いた、健康保険の説明の箇条です。初めての患者に渡すA4で1枚の紙を、「保険が使えるとき」「保険が使えないとき」「骨折と脱臼のとき」「申請書と領収証と明細書」「分からないとき」の欄でまとめてください。箇条にないことは書かないでください。施術の効果や、「保険で安く受けられる」のような言い方は書かないでください。
返ってくる紙(見本の一部。内容は架空です):
保険が使えないとき:ふだんの肩こりや、疲れからくる筋肉の張りには、保険が使えません。このときは、全額をご負担いただきます。 申請書と領収証と明細書:申請書にお名前を書いていただく前に、けがの名前、日数、金額をご確認ください。
照らすときは、対象の範囲と言い過ぎを見る
AIの下書きは、渡した箇条をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、箇条にない中身が混ざることがあります。
- 保険の対象の範囲は、厚生労働省の案内と照らす。 範囲を広げる言い方になっていないかを見ます
- 「保険で安く」のような誘う言い方がないかを見る
- 施術の効果の約束がないかを見る
- 申請書の注意は、保険者の案内と照らす
院内で渡し、院の外では配らない
親の記事で説明したとおり、あはき・柔整広告ガイドラインでは、院内で患者に渡す紙は広告に当たらないとされています。同じ紙を院の外で配ると広告に当たることがあるので、外で配るときは保健所に確かめます。
- 初診の受付で渡す。 問診票と一緒に渡すと、読んでもらいやすくなります
- 院内の貼り紙も同じ中身にする。 紙と貼り紙で書き方がずれないようにします
- 保険者から問い合わせが来たら、紙を見ながら答えてもらう
紙は、制度が変わったときに作り直します。作り直した日を紙の下に書いておくと、古い紙と見分けられます。
広告の文の点検は、接骨院の広告、どこまで書ける?|AIで点検する2つの表の作り方で説明しています。
型をスキルにし、保険の判断はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「保険の説明の紙の5つの欄の型」「書いてはいけないこと(箇条にない保険の範囲、保険で安くなるという誘い、施術の効果の約束、患者の名前と症状)」をスキルにします。
保険の判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、箇条を院長が書くこと、公的な案内と照らすこと、保険が使えるかを院長がけがの原因と様子から判断することがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1回3円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 説明の紙の下書き | 院長の箇条と指示(入力3千トークンほど)から1枚の紙(出力1,500トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回3円ほど。一度作れば、印刷して使い回せる |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 院長の時間 | 箇条と照らし合わせに1回数十分(想定) |
必要な人は2役で、保険の判断は院長が行う
- 院長:箇条を書き、公的な案内と照らし、保険が使えるかを判断する
- 受付:初診の患者に紙を渡し、聞かれたことを院長に伝える
2週間で紙ができ、次の初診から渡せる見込み
- 1週目:説明の紙の5つの欄と、書いてはいけないことを決める
- 1週目:院長の箇条でAIに下書きさせ、公的な案内と照らす
- 2週目:印刷して初診で渡し、院内の貼り紙も同じ中身にそろえる
- 3週目以降:患者に聞かれたことを紙に足し、制度が変わったら見直す
「保険で安く」と書くと失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 「保険で安く受けられます」と書く。 対象外の症状の患者を誤って誘うおそれがあります
- 対象外の例を書かない。 肩こりで来た患者と、あとでもめます
- 制度が変わっても紙を直さない。 明細書の扱いのように、決まりは変わることがあります
まとめ
- 厚生労働省の案内では、整骨院で保険の対象になるのは骨折、脱臼、打撲、捻挫(肉ばなれを含む)
- 骨折と脱臼は、緊急の場合を除き医師の同意が必要で、単なる肩こりや筋肉疲労は対象外
- 協会けんぽは、申請書の中身を確かめてから書くこと、領収証を必ずもらうことを呼びかけている
- 院長が箇条を書き、AIがやさしい言葉で5つの欄の1枚にまとめ、院長が公的な案内と照らす
- 保険が使えるかは院長が判断し、紙は院内で渡す