業務への組み込み例

接骨院の広告、どこまで書ける?|AIで点検する2つの表の作り方

この記事で変わる経営指標

この記事では、整骨院・接骨院のAI活用|広告の決まりを守り、受付と書類の事務を減らすの「広告文の点検は、書ける事項の表で行う」を、実際に組んで続ける方法を説明します。

一言でいうと、院の文を、チラシ・看板・ネットの広告と、ホームページに分ける。広告は柔道整復師法第24条で書ける事項の表で、ホームページは国の指針の載せるべきでない事項の表で、AIが1文ずつ印と理由を付ける。院長が印の付いた文を消すか直し、迷う表現は保健所に確かめてから載せる。月に1回、載せている文を見直すという形です。

広告とホームページでは、守る決まりが違う

整骨院・接骨院の文には、2つの決まりがかかります。

広告は、書ける事項が法律で決まっている。 柔道整復師法第24条により、柔道整復の業務や施術所の広告で書けるのは、柔道整復師である旨と氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日・施術時間、厚生労働大臣が指定する事項だけです(福岡市と鹿児島市の案内による)。指定する事項は、ほねつぎ(又は接骨)、施術所の届出をした旨、医療保険の療養費の支給申請ができる旨(脱臼・骨折は医師の同意が必要な旨を示す場合に限る)、予約に基づく施術、休日・夜間の施術、出張による施術、駐車設備です。書ける事項であっても、技能、施術の方法、経歴にわたる内容は書けません。

ホームページは、原則として広告ではないが、載せるべきでない表現がある。 厚生労働省が2025年2月18日に公表した「あはき・柔整広告ガイドライン」によると、院のホームページは、見る人が自分で探して見に来るものなので、原則として法律の広告には当たりません。一方で、ガイドラインはホームページに載せるべきでない事項として、虚偽の内容、他の院より優れているとする内容、誇大な内容などを挙げています。

ガイドラインでは、次のものは条件を満たすと広告として扱われます。バナー広告、検索結果に出す有料の広告(リスティング広告)、施術所の紹介サイトの紹介ページ、動画広告、公開されたSNSの書き込みなどです。こうした広告からつながるホームページも、広告と一体として扱われます。ネットに広告を出している院は、ホームページにも書ける事項の決まりがかかると考えて点検します。

2026年10月時点の情報です。自院の表現が当てはまるかは、施術所のある地域の保健所に確かめてください。

今は、文を書いた人の感覚で載せている

小さな院では、チラシやホームページの文を、院長が自分で書くか、制作会社に任せることが多くあります。ここには3つの落とし穴があります。

  • よその院の文をまねる。 ほかの院が書いているから大丈夫だと考えて、効果をうたう文や経歴をそのまま使ってしまいます
  • 媒体の違いを知らない。 ホームページに書いた文を、そのままチラシやネットの広告に使ってしまいます
  • 一度載せたら見直さない。 ガイドラインが出たあとも、何年も前の文が残っています

AIに文を「魅力的に」書かせると、効果や技術をうたう文が混ざりやすくなります。書かせる前に、点検の表を用意しておきます。

媒体を分け、AIが表で点検し、院長が直す

接骨院の広告とホームページをAIで点検する流れ。院長が文をチラシや看板やネットの広告と、ホームページに分ける。AIが広告は書ける事項の表で、ホームページは載せるべきでない事項の表で1文ずつ点検し、印と理由を付ける。院長が印の付いた文を消すか直し、迷う表現は保健所に確かめてから載せる。月に1回、載せている文を見直す
接骨院の広告とホームページをAIで点検する流れ。院長が文をチラシや看板やネットの広告と、ホームページに分ける。AIが広告は書ける事項の表で、ホームページは載せるべきでない事項の表で1文ずつ点検し、印と理由を付ける。院長が印の付いた文を消すか直し、迷う表現は保健所に確かめてから載せる。月に1回、載せている文を見直す

1 分ける(人)。 院長が、院の文を集めて2つに分けます。チラシ、看板、のぼり、ネットの広告(バナー、検索結果の有料の枠、紹介サイト、動画広告)、公開しているSNSの投稿は「広告」の箱へ。院のホームページは「ホームページ」の箱へ入れます。ネットの広告からつながるホームページは、両方の箱に入れます。

2 点検する(AI)。 箱ごとに、合った表と一緒にAIに渡し、1文ずつ印と理由を付けてもらいます。直した文は書かせません。

3 直す(人)。 院長が印の付いた文を読み、消すか直します。

4 確かめる(人)。 迷う表現は、載せる前に保健所に確かめます。

2つの表は、法律とガイドラインの言葉で作る

表1:広告で書ける事項(チラシ・看板・ネットの広告・SNS)

書ける事項 自院で書く中身(例)
柔道整復師である旨、氏名、住所 柔道整復師 〇〇
施術所の名称、電話番号、所在地 〇〇接骨院、電話、住所
施術日、施術時間 月〜土 9時〜19時
ほねつぎ(又は接骨) ほねつぎ
療養費の支給申請ができる旨 脱臼・骨折は医師の同意が必要な旨と一緒に
予約、休日・夜間、出張の施術 予約優先、日曜も施術
駐車設備 駐車場3台

この表にない事項と、技能・施術の方法・経歴にわたる文は、すべて印を付けます。

表2:ホームページに載せるべきでない事項(ガイドラインの例から)

載せるべきでない事項 ガイドラインの例
虚偽、または事実と証明できない内容 「絶対に治る」「根本治療」「〇〇に効きます」
効果の割合や最上級の表現 「改善率〇%以上」「顧客満足度No.1」
他の院より優れているとする内容 「日本一」「口コミサイトで1位を獲得」
著名人との関係の強調 「著名人も当施術所で施術を受けております」
加工・修正した施術前後の写真 効果があるように見せる写真
都合のよい体験談だけを選んで強調する 謝礼を払って書いてもらった感想
早く来るようあおる、安さを強調しすぎる 「命に関わりますので今すぐ」

ガイドラインは、自費の施術を行う院に対し、施術の内容、通常かかる費用、主なリスクをホームページに分かりやすく載せることも求めています。この3つが載っているかも、表2の点検に加えます。

AIに渡す指示(見本。内容は架空です):

下は、当院のホームページの文と、表2です。文を1文ずつ見て、表2のどれかに当たる文に印を付け、どの行に当たるかと理由を書いてください。最後に、自費の施術の内容・費用・主なリスクが載っているかを確かめてください。直した文は書かないでください。

返ってくる点検(見本):

  • 「どこへ行っても治らなかった方、諦めないでください」…表2の1行目(虚偽、または事実と証明できない内容)に当たる可能性があります。ガイドラインに同じ例があります
  • 「地域で一番の実績」…表2の3行目(他の院より優れているとする内容)に当たる可能性があります
  • 自費の施術の費用は載っていますが、主なリスクが見当たりません

表と指示をスキルにし、載せるかの判断はAIの外に置く

表と指示を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「表1と表2」「媒体の分け方」「点検の指示と返し方の型(行の番号と理由)」「書いてはいけないこと(直した文、効果の約束、表にない事項の追加)」をスキルにします。制作会社に文を頼むときも、同じ表を渡せます。

載せるかの判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、文を箱に分けること、印の付いた文を院長が直すこと、迷う表現を保健所に確かめること、載せている文の一覧を表で持って月に1回見直すことがそれに当たります。AIは印を付け漏らすことがあるので、AIの点検は気づくための下書きとして使います。

媒体の一覧を、最初に1枚にまとめる

点検の前に、院の文がどこに載っているかを1枚の一覧にします。

媒体 箱 最後に見直した日
ホームページ(トップ、料金、院長紹介) ホームページ
検索結果の有料の枠 広告(リンク先のホームページも)
地図サイトの店舗情報 院の載せ方を保健所に確かめる
公開しているSNSの投稿 広告
チラシ、看板、のぼり 広告
院内の掲示、院内で配る紙 ガイドラインでは広告に当たらない

ガイドラインでは、院内で患者に向けて掲示したり配ったりする紙は、受け手が利用者に限られる限り広告に当たらないとされています。同じ紙を院の外で配るときは、広告の箱に移します。

院長の仕事は、表を持ち、印の付いた文を直すことになる

院長がすることは、次の3つです。

  • 2つの表を自院の中身で埋める。 書ける事項に、自院の名前や時間を書き込みます
  • 印の付いた文を直す。 消すか、書ける事項の中の言い方に直します
  • 迷う表現を保健所に確かめる。 福岡市や鹿児島市のように、保健所が広告の相談を受け付けている地域があります。載せる前に聞きます

経営への効果は、載せ直しと指導の手戻りを防ぐこと

広告の点検の効果は、売上を直接増やすことより、手戻りと信用の損を防ぐことにあります。

  • 載せ直しの費用を防ぐ。 刷ったチラシや作った看板を、あとから作り直す費用がかかりません
  • 院の信用を守る。 決まりに沿った文は、患者が院を選ぶときの正確な情報になります。ガイドラインの目的も、利用者が院を正しく選べるようにすることです
  • 制作会社への頼み方がそろう。 表を渡せば、制作会社の文も同じ基準で見られます

費用は、AIの利用料が月に数十円ほど

費用 見込み
AIの利用料 ホームページ1ページ分(入力5千トークン・出力2千トークンほど)の点検が、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回5円ほど。月に10ページ見直しても50円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
院長の時間 表づくりに2〜3時間、毎月の見直しに1時間ほど

必要な人は2役で、決めるのは院長

  • 院長:表を作り、印の付いた文を直し、保健所に確かめる。載せるかを決める
  • 受付またはホームページの担当:媒体の一覧を持ち、月に1回、載せている文をAIに渡して点検させる

制作会社にホームページやネットの広告を任せている院は、表を渡し、納品の前に同じ点検を通してもらいます。

最初の月に全部を点検し、2か月目から月1回の見直しにする見込み

  1. 1週目:媒体の一覧を作り、文を2つの箱に分ける
  2. 2週目:表1と表2を自院の中身で埋め、スキルにまとめる
  3. 3〜4週目:全部の文をAIで点検し、院長が直す。迷う表現を保健所に確かめる
  4. 2か月目から:月に1回、新しく載せた文と変えた文だけを点検する

表を作らずにAIに任せると失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 表を渡さずに「問題ないか見て」と頼む。 AIの答えが毎回変わります。法律とガイドラインの言葉で作った表を必ず渡します
  • AIに直した文まで書かせる。 直した文に、別の書けない表現が混ざることがあります。直すのは院長が行います
  • ホームページの決まりで広告を点検する。 チラシやネットの広告は、表2ではなく表1で点検します。表1のほうが狭い決まりです

口コミへの返信の続け方は、口コミは増やす前に返す|選ばれる店になる口コミ返信の続け方にまとめています。ガイドラインでは、謝礼を払うなどして自院に都合のよい感想を書いてもらうことも、すべきでないとされています。

まとめ

  • 院の文をチラシ・看板・ネットの広告と、ホームページに分ける。ネットの広告からつながるホームページは広告としても扱う
  • 広告は柔道整復師法第24条で書ける事項の表で、ホームページはガイドラインの載せるべきでない事項の表で、AIが1文ずつ印と理由を付ける
  • 直すのは院長で、迷う表現は保健所に確かめてから載せる
  • 費用はAIの利用料が月に数十円ほどで、院長の時間は最初に数時間、毎月1時間ほど
  • 最初の月に全部の文を点検し、2か月目から月1回の見直しにする

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