食料品1%でも8%のままの取引|定期便とカタログ販売の案内をAIで整える
この記事では、食料品の消費税1%、2027年4月から|中小企業が今から準備することの「取引先への案内と定期の契約は、早めに文面をそろえる」のうち、定期便とカタログ販売の扱いを、お客さまへの案内まで続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、担当が、定期便とカタログ販売の契約日、条件を示した日、代金を受け取った日を一覧にする。税理士が、8%のままの経過措置に当たるかを確かめる。社長が、税率と価格を決める。AIが、税率ごとのお客さまへの案内を下書きする。税率の判断は税理士と決めるという形です。
経営への効果は、税率の取り違えと、お客さまとの行き違いを防ぐこと
食料品の消費税が1%に下がると、多くの取引は1%になります。けれども、定期便やカタログ販売の一部は、8%のまま残ります。同じ商品でも、申込みの時期によって税率が違うことになります。
税率を取り違えると、請求のやり直しや、申告の修正が必要になります。お客さまからは「なぜうちだけ8%なのか」と聞かれます。どの取引が8%のままかを先に整理し、お客さまに分かりやすく伝えておけば、切り替えの時期の混乱を防げます。
8%のまま残るのは、一定の定期便と通信販売
国税庁のパンフレットによると、令和9年4月1日から令和11年3月31日まで、飲食料品の消費税率は1%になる予定です。そのうえで、次の取引は経過的な取扱いとして8%のままとされています。
| 取引 | 8%のままになる条件(国税庁のパンフレットより) |
|---|---|
| 定期供給契約 | 令和9年1月1日前に結んだ契約に基づき、同年4月1日前に代金を受け取っている、4月1日以後の販売(受け取った分に限る) |
| 通信販売 | 令和9年1月1日前に販売の条件を示し、同年4月1日前に申込みを受けた、4月1日以後の販売 |
国税庁のQ&Aでは、対象になる例として、代金を先払いして季節の食材が毎月届く定期便や、お中元やギフトのカタログ販売が挙げられています。定期供給契約は、不特定かつ多数の人に定期的に続けて届ける契約を指します。
これは、法案が成立した場合の内容です。2026年10月時点の情報なので、法案の審議の状況と国税庁の最新の資料を確かめてください。
1%を前提にした契約や、契約の変更では1%になる
国税庁のQ&Aによると、この経過的な取扱いは、事業者が選べるものではありません。条件に当てはまれば8%になります。一方で、次の場合は1%になります。
- 1%を前提にした契約や販売条件:「令和9年4月1日以後に販売するものは消費税率1%による」旨や、「1%に変わった場合は〇〇円とする」旨を定めている場合
- 契約の変更:令和9年1月1日以後に、契約金額を変える契約を結んだ場合
これから新しく定期便やカタログを始める会社は、契約や販売条件に、1%に変わった場合の価格を書いておくかを決めます。書き方で税率が変わるので、税理士と相談してから決めます。
今は、定期便の契約日を一覧にしていない
小さな食品の会社では、定期便の申込みを、注文の台帳や通販の仕組みにばらばらに記録していることがあります。いつ契約し、いつまで代金を先に受け取っているかを、すぐには出せません。
カタログも、配った時期と、申込みを受けた日がまとまっていないことがあります。経過措置に当たるかを確かめるには、まず日付の一覧が要ります。
通販の仕組みや注文の台帳から日付を書き出せるかを、今のうちに確かめておきます。書き出せない場合は、手で拾う時間も見込んでおきます。
洗い出し、確かめて、AIが下書きし、知らせる
1 洗い出す(担当)。 定期便とカタログ販売を、日付の一覧にします。
2 下書きする(AI)。 税理士が確かめた結果をもとに、税率ごとのお客さまへの案内を下書きしてもらいます。
3 確かめる(税理士)。 一覧の取引が、経過措置に当たるかを確かめます。
4 知らせる(社長)。 税率と価格を決め、案内を確かめてから、お客さまに知らせます。
一覧は、この6つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 取引の種類 | 定期便、カタログ販売 |
| 契約日または条件を示した日 | 2026年11月10日 |
| 申込みを受けた日 | 2027年2月5日 |
| 代金を受け取った期間 | 2027年1月〜6月分を先払い |
| 契約や条件の書き方 | 1%に変わった場合の定めの有無 |
| 税理士の確認 | 8%のまま/1%/要相談 |
税率の判断は、AIにさせません。一覧の日付から、AIに「当たる」「当たらない」を決めさせると、条件の読み違いが残ります。
AIへの頼み方と、返ってくる案内はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、定期便のお客さま向けに伝えたいことのメモと、税理士と確かめた税率の扱いです。お客さまへの案内を、「税率が変わる時期」「お客さまの定期便の扱い」「請求書の見方」「お問い合わせ先」の欄で下書きしてください。税率と日付はメモのとおりに書き、「法案が成立した場合の内容」であることを必ず書いてください。メモにない価格の約束は書かないでください。
返ってくる案内(見本の一部。内容は架空です):
お客さまの定期便の扱い:2026年中にお申込みいただき、2027年3月までにお支払いいただいている分の定期便は、2027年4月以降のお届けも消費税率8%のままとなる予定です(法案が成立した場合の内容です)。
案内の税率の扱いは、税理士と確かめた結果だけを書きます。
確かめるときは、日付と税率と「予定」の言葉を見る
AIの下書きは、渡したメモをもとにしています。それでも、言葉を補う中で、メモにない中身が混ざることがあります。
- 日付と税率は、一覧と税理士の確認と照らす
- 「法案が成立した場合の内容」と書いてあるかを見る
- 価格を据え置くなど、メモにない約束がないかを見る
請求書の書き方は、食料品の消費税1%で請求書はどう変わる?|締め日をまたぐ月の書き方で、店頭の値札は、食料品の値札は5月末までに1%へ|総額表示の特例と店内の掲示の書き方で説明しています。
型をスキルにし、税率の判断はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「一覧の6つの欄」「税率ごとの案内の型」「書いてはいけないこと(税率の判断、メモにない価格の約束、「予定」を抜いた言い切り、お客さまの名前)」をスキルにします。
税率の判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、日付の一覧を台帳から出すこと、経過措置に当たるかを税理士が確かめること、価格を社長が決めることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1回3円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 案内の下書き | メモと税率の扱いと指示(入力3千トークンほど)から案内(出力1,500トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回3円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 税理士への相談 | 顧問契約の範囲か、別の費用かを確かめる |
必要な人は3役で、税率は税理士と決める
- 担当:定期便とカタログ販売の日付の一覧を作り、AIに案内を下書きさせる
- 税理士:経過措置に当たるかを確かめる
- 社長:税率と価格を決め、案内を確かめてお客さまに知らせる
今年中に一覧を作り、年明けの新しい契約から書き方を決める見込み
- 今月中:定期便とカタログ販売の日付の一覧を作る
- 来月:税理士と経過措置に当たるかを確かめ、新しい契約の書き方を決める
- 年明け:令和9年1月1日以後の契約や条件の示し方を、決めた書き方に変える
- 3月まで:税率ごとの案内をAIで下書きし、お客さまに知らせる
日付を確かめずに一律で1%にすると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- すべての取引を1%にする。 経過措置に当たる取引は8%のままです
- 年明けに契約金額を変える。 変更の契約によって、1%に変わることがあります
- 「予定」を抜いて案内する。 法案の成立を前提にした内容であることを書きます
まとめ
- 法案が成立した場合、令和9年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率は1%になる
- 令和9年1月1日前の定期供給契約で4月1日前に代金を受け取った分や、1月1日前に条件を示し4月1日前に申込みを受けた通信販売は8%のまま
- 1%を前提にした契約や、1月1日以後の契約の変更では1%になり、取扱いは選べない
- 担当が日付の一覧を作り、税理士が経過措置に当たるかを確かめる
- AIは税率ごとの案内を下書きし、税率の判断はさせない