外国人社員の面談は月1回、記録で手を打つ|困りごとを追い続ける型
この記事で変わる経営指標
この記事では、育成就労制度は2027年4月から|転籍できる時代に選ばれる会社の準備の「面談は、記録を残し、次の手につなげる」を、実際に組んで続ける方法を説明します。
一言でいうと、担当者が月に1回、決まった質問をやさしい日本語で聞き、メモを残す。AIがメモを記録の型に下書きし、前回から続いている困りごとに印を付ける。社長が手を打つことを決めて本人に伝える。次の面談の前に、AIが前回の記録から聞くことの一覧を作る。困りごとが片付いたかを毎月追うという形です。
面談は、聞くことより、手を打つことに意味がある
鹿児島県の案内によると、2027年4月から始まる育成就労制度では、一定の要件を満たせば、本人の意向による転籍も認められます。特定社会保険労務士が監修したjinjerの解説は、待遇や職場の環境、日本語の学習の支援が整った会社が選ばれやすくなり、面談などを通じた定着の支援がこれまで以上に大切になると指摘しています。
面談は、話を聞くだけでは定着につながりません。「先月も同じことを言ったのに、何も変わらない」と感じると、本人は次から本当のことを言わなくなります。聞いたことを記録し、手を打ち、次の面談で「あの件はどうなったか」を確かめる。この繰り返しが、話を聞いてもらえる会社だと感じてもらう近道です。
今は、面談のメモが担当者の手帳にしか残らない
小さな会社では、外国人社員の面談を、現場の先輩や社長が、空いた時間に話を聞く形で行っていることがよくあります。メモは担当者の手帳やスマホにあり、前回何を聞いたかは、担当者の記憶頼みです。
担当者が替わったり、忙しい月に面談が飛んだりすると、続いている困りごとに誰も気づきません。本人が転籍を考え始めたころには、手を打つ時期を過ぎていることもあります。
月1回聞き、AIが記録し、社長が決める
1 聞く(人)。 担当者が、月に1回、決まった質問をやさしい日本語で聞きます。勤務時間の中で、静かな場所で、30分ほど取ります。
2 記録する(AI)。 担当者のメモと、前回までの記録をAIに渡し、今回の記録を型に沿って下書きしてもらいます。前回から続いている困りごとには印を付けてもらいます。
3 決める(人)。 社長が記録を読み、手を打つことと、いつまでにするかを決めます。決めたことは、本人に伝えます。
4 備える(AI)。 次の面談の前に、前回の記録をAIに渡し、聞くことの一覧を作ってもらいます。「先月の寮の水回りの件は直ったか」のように、前回の困りごとの続きを必ず入れます。
質問の型と、記録の型はこうなる
質問の型(見本):
| 項目 | 聞くこと(やさしい日本語の例) |
|---|---|
| 仕事 | 「しごとで、こまっていることは ありますか」「わからない ことばは ありますか」 |
| 体 | 「からだの ちょうしは どうですか」「よく ねられますか」 |
| 生活 | 「へやや せいかつで、こまっていることは ありますか」 |
| 日本語 | 「にほんごの べんきょうは どうですか」 |
| 人間関係 | 「しょくばの ひとと はなしやすいですか」 |
| これから | 「これから やってみたい しごとは ありますか」 |
| 前回の続き | 「せんげつの ○○は どうなりましたか」 |
記録の型(見本):
- 日付、聞いた人
- 項目ごとの本人の話(本人の言葉に近い形で)
- 困りごと(新しく出たもの、前回から続いているもの)
- 手を打つこと(誰が、いつまでに)
- 前回の手を打ったことの結果
AIに渡す指示(見本。内容は架空です):
下は、外国人社員Aさんとの今月の面談のメモと、先月の記録です。上の記録の型で、今月の記録を下書きしてください。困りごとは、新しく出たものと、先月から続いているものに分けてください。先月決めた手を打つことの結果がメモにあれば書き、なければ「未確認」と書いてください。メモにないことは書かず、本人の気持ちを推測で書かないでください。手を打つことの欄は空けておいてください。
返ってくる記録(見本の一部):
困りごと
- 先月から続いている:寮のシャワーのお湯が出にくい(先月も話があった)
- 新しく出た:朝礼の「段取り」という言葉が分からない
先月の手を打つことの結果
- 寮の管理会社への連絡:未確認
社長は「シャワーは今週中に業者を呼ぶ」「朝礼でよく使う言葉を単語帳に足す」と決め、本人に伝えます。
型をスキルにし、手を打つ判断はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「質問の型(やさしい日本語)」「記録の型」「続いている困りごとの見分け方」「次の面談で聞くことの一覧の作り方」「書いてはいけないこと(メモにないこと、本人の気持ちの推測、評価の言葉)」をスキルにします。
手を打つ判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、手を打つことを社長が決めること、決めたことを本人に伝えること、記録の置き場所と見られる人を決めること、面談の記録を人の評価に使わないことがそれに当たります。
社長の仕事は、記録を読み、手を打ち、結果を伝えること
社長がすることは、次の3つです。
- 毎月の記録を読む。 1人あたり数分で読める量の記録にします。続いている困りごとの印から読みます
- 手を打つことを決める。 小さなこと(言葉の説明、道具の置き場所)は、その週のうちに手を打ちます
- 結果を本人に伝える。 「直しました」「来月まで待ってください」と伝えます。手を打てないことも、理由と一緒に伝えます
経営への効果は、困りごとの放置による離職と転籍を防ぐこと
- 続いている困りごとに気づける。 前回の記録と比べるので、放置されている困りごとが見えます
- 担当者が替わっても続く。 記録が残るので、次の担当者も前回の続きから聞けます
- 会社の手の打ち方がそろう。 同じような困りごとが何人からも出たら、会社としての手を打つきっかけになります
どのくらい定着につながるかは、会社と職場によって変わります。面談を始める前と後で、1年の間に辞めた人や転籍した人の数を比べます。
費用はAIの利用料が1人1回数円
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| AIの利用料 | 面談のメモと前回の記録(入力5千トークン・出力1,500トークンほど)の下書きが、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1人1回4円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 担当者の時間 | 1人あたり面談30分と、メモの整理数分 |
| 社長の時間 | 1人あたり記録を読む数分と、手を打つ時間 |
必要な人は3役で、手を打つことを決めるのは社長
- 面談の担当者:決まった質問で聞き、メモを残す。本人と話しやすい先輩や担当者が向く
- 記録の担当者:メモをAIに渡して記録を下書きし、次の面談の聞くことの一覧を作る。面談の担当者が兼ねてもよい
- 社長:記録を読み、手を打つことを決め、結果を本人に伝える
1か月で型ができ、半年で続く困りごとの傾向が見える見込み
- 1週目:質問の型と記録の型を作り、本人に面談の目的(困りごとを聞いて手を打つため)を伝える
- 2〜4週目:最初の面談をし、記録を下書きして型を直す。スキルにまとめる
- 2か月目から:前回の記録から聞くことの一覧を作り、続きを聞く
- 半年後:記録を並べて、続いている困りごとや、何人からも出る困りごとを見る
記録を評価に使うと、本当のことを話さなくなる
よくある失敗は次の3つです。
- 記録を人の評価に使う。 面談の記録が評価に使われると知ると、本人は困りごとを話さなくなります。面談の目的を最初に伝え、評価とは分けます
- 個人の情報をそのまま入れる。 体のこと、家族のこと、在留の手続きのことなど、扱いに気をつける情報が入ります。名前を記号に置き換えるか、会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランで扱います。記録の置き場所と見られる人も決めます
- AIに気持ちを推測させる。 「不満を持っているようだ」とAIが書くと、記録が本人の言葉から離れます。本人の言葉に近い形で残させます
やさしい日本語での手順書や連絡の作り方は、外国人社員の教育はやさしい日本語で|早く一人で動ける手順書と連絡の作り方で説明しています。
まとめ
- 面談は、聞くだけでなく、記録して手を打ち、次の面談で続きを確かめることで、話を聞いてもらえる会社だと感じてもらえる
- 担当者が月に1回、決まった質問をやさしい日本語で聞き、AIが記録の型に下書きして、続いている困りごとに印を付ける
- 社長が手を打つことを決めて本人に伝え、次の面談の前にAIが聞くことの一覧を作る
- 記録は人の評価に使わず、個人の情報は記号に置き換えるか、学習に使わないプランで扱う
- 費用はAIの利用料が1人1回数円で、半年で続く困りごとの傾向が見える