リフォーム後の点検の案内|AIで下書きし、点検商法と見間違えられない形に
この記事で変わる経営指標
この記事では、リフォーム会社のAI活用|見積の説明と点検の案内で次の工事につなぐの「点検の案内は、工事のあとに時期を決めて送る」を、毎月続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、担当が、工事の完了日から点検の時期が来る家を出す。AIが、会社名と点検の中身を書いた案内を下書きする。社長が、押し売りや不安をあおる言葉を消す。担当が、申込みを受けてから訪問する。新しい工事の勧めは急がせないという形です。
経営への効果は、工事のあとも頼られ、次の工事につなぐこと
リフォームを頼んだお客さまにとって、工事のあとに様子を見に来てくれる会社は安心です。不具合が小さいうちに見つかれば、直す費用も小さく済みます。
点検で家の中を見せてもらうと、ほかに気になっている場所の相談を受けることもあります。お客さまが自分から相談してくれれば、押し売りにならずに次の工事につながります。工事のあとのつながりが、紹介や次の依頼の土台になります。
点検商法の相談は、2025年度に19,696件あった
一方で、「点検」という言葉には、悪い印象を持たれることもあります。国民生活センターのページ(2026年7月31日更新)によると、点検に来たと言って訪問し、「工事をしないと危険」などと言って契約させる「点検商法」の相談件数は次のとおりです。
| 年度 | 点検商法の相談件数 |
|---|---|
| 2023年度 | 12,550件 |
| 2024年度 | 19,249件 |
| 2025年度 | 19,696件 |
国民生活センターの「2025年度 全国の消費生活相談の状況」でも、点検商法は2025年度に19,696件、前年度に19,249件とされています。ページには、無料で点検すると言って訪問し、瓦がずれている画像を見せて屋根工事の契約をさせた事例などが載っています。
まじめに点検をする会社も、この印象の中で案内を送ることになります。だからこそ、だれが、何のために、何を点検するのかを、はっきり書いた案内が大切です。2026年10月時点の情報です。
訪問販売では、勧誘の前に会社名と目的を明らかにする
e-Gov法令検索で特定商取引法を確かめると、第3条で、訪問販売をしようとするときは、勧誘に先立って、会社の名前、契約の勧誘をする目的であること、商品や工事の種類を明らかにすることになっています。
第3条の2では、勧誘を受ける意思があるかを確かめるよう努めること、契約しないと言った人に勧誘してはならないことが決まっています。
点検のついでに工事の話をするなら、それが勧誘にあたることを意識します。点検の案内と、工事の提案は分けて考え、お客さまが望んだときにだけ工事の話をします。
今は、点検の時期を逃している
小さなリフォーム会社では、工事が終わると次の現場に追われ、点検の約束を忘れてしまうことがあります。お客さまから不具合の連絡が来て、初めて思い出すこともあります。
工事の記録から点検の時期が来る家を毎月出し、案内を下書きしておけば、約束した点検を守れます。
抜き出し、AIが下書きし、確かめて、訪問する
1 抜き出す(担当)。 工事の記録から、完了日と点検の約束をもとに、今月点検の時期が来る家を一覧にします。
2 下書きする(AI)。 会社名、工事の内容、点検の中身、費用の有無を書いた案内を下書きしてもらいます。
3 確かめる(社長)。 押し売りや不安をあおる言葉がないか、点検の中身が約束どおりかを確かめます。
4 訪問する(担当)。 お客さまから申込みを受けてから、日を決めて訪問します。
工事の記録は、この6つの欄で持つ
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 工事の内容 | 浴室の入れ替え、外壁の塗装 |
| 完了日 | 2026年4月15日 |
| 点検の約束 | 完了から半年と1年(契約のときに決めた時期) |
| 点検の中身 | 水まわりの水漏れ、塗装のはがれ |
| 費用 | 約束した点検は無料、など |
| 案内を送った日と返事 | 10月10日、11月5日に点検 |
点検の時期と中身は、契約のときに決めて、お客さまにも伝えておきます。案内は、その約束を守るためのものと位置づけます。
AIへの頼み方と、返ってくる案内はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、リフォーム工事のあとの点検の時期が来たお客さま1人分の記録です。点検の案内の文を下書きしてください。会社名、工事の内容、点検の中身、費用の有無、申込みの方法をはっきり書いてください。「今すぐ直さないと危険」「今月だけ」のように不安をあおる言い方や、新しい工事を勧める言い方は書かないでください。お客さまの名前は「〇〇様」と空けてください。
返ってくる案内(見本の一部。内容は架空です):
〇〇様 〇〇リフォームの〇〇です。この春に浴室の入れ替えをさせていただいてから、半年がたちました。工事のときにお約束した点検(水まわりの水漏れの確認、約30分、無料)のご案内です。ご都合のよい日を、お電話かメールでお知らせください。
確かめるときは、不安をあおる言葉と勧めを見る
AIの下書きは、渡した記録をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、記録にない中身が混ざることがあります。
- 会社名と工事の内容が書いてあるかを見る
- 不安をあおる言葉がないかを見る。 「危険」「今すぐ」のような言葉は消します
- 新しい工事を勧める言葉がないかを見る
- 点検の中身と費用が、契約のときの約束と同じかを見る
点検の場では、気づいたことを伝え、決めるのはお客さま
点検で不具合を見つけたら、写真を見せて事実を伝えます。直すかどうかは、お客さまが決めます。
- その場で契約をせかさない。 見積は後日に出し、家族と相談する時間をとってもらいます
- 断られたら、勧誘しない。 第3条の2のとおり、契約しないと言った人に勧誘しません
- 点検の結果を記録に残す。 次の点検のときに、前回と比べられます
見積の説明の仕方は、リフォーム見積の説明書の作り方|一式を開き、含まない工事まで書くで、訪問販売に当たるときの契約書面の点検は、リフォームの契約書面の点検|訪問販売に当たるときの記載事項を照らすで説明しています。
型をスキルにし、勧めの判断はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「点検の案内の型」「工事の種類ごとの点検の中身の見本」「書いてはいけないこと(不安をあおる言葉、新しい工事の勧め、期限を区切った割引、お客さまの名前と住所)」をスキルにします。
勧めの判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、点検の時期を工事の記録から出すこと、社長が案内の言葉を確かめること、申込みを受けてから訪問すること、工事をするかをお客さまが決めることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1通2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 点検の案内の下書き | 記録と指示(入力2千トークンほど)から案内の文(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1通2円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 担当の時間 | 一覧を出して確かめるのに月1時間ほど(想定) |
必要な人は2役で、言葉は社長が確かめる
- 担当:工事の記録から一覧を出し、AIに下書きさせ、申込みを受けて訪問する
- 社長:点検の約束と案内の型を決め、案内の言葉を確かめる
1か月で記録と型ができ、毎月の案内に使える見込み
- 1週目:工事の記録の6つの欄と、工事の種類ごとの点検の約束を決める
- 2週目:点検の時期が来る家の数件でAIに下書きさせ、社長が確かめる
- 3週目:型と書いてはいけないことをスキルにまとめる
- 4週目以降:毎月の初めに一覧を出して案内し、点検の結果を記録する
不安をあおって工事を急がせると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 「今すぐ直さないと危険」と書く。 点検商法と同じ言い方になり、信頼を失います
- 点検のついでにその場で契約をせかす。 お客さまが家族と相談する時間をとってもらいます
- 会社名や目的を書かずに案内する。 だれからの何の連絡かが分からず、不審に思われます
まとめ
- 国民生活センターによると、点検商法の相談は2025年度に19,696件あった
- 特定商取引法第3条で、訪問販売の勧誘の前に会社名と勧誘の目的、工事の種類を明らかにする
- 契約しないと言った人には勧誘しない
- AIは工事の記録から、会社名と点検の中身を書いた案内を下書きし、社長が不安をあおる言葉を消す
- 申込みを受けてから訪問し、工事をするかはお客さまが決める