AI×業種

リフォームの契約書面の点検|訪問販売に当たるときの記載事項を照らす

この記事で変わる経営指標

この記事では、リフォーム会社のAI活用|見積の説明と点検の案内で次の工事につなぐの「契約の書面は、記載事項の一覧と照らしてから渡す」を、一度きりで終わらせない手順にして説明します。

一言でいうと、社長が、訪問販売に当たる契約かを確かめる。AIが、書面の雛形と消費者庁の記載事項の一覧を照らし、抜けている事項に印を付ける。社長が印のところを直し、迷うところは専門家に聞く。担当が契約のときに書面を渡し、渡した日を記録する。訪問販売に当たるかの判断は人が行うという形です。

経営への効果は、書面の不備で契約を失うおそれを減らすこと

消費者庁の特定商取引法ガイドによると、訪問販売のクーリング・オフは、決められた書面を受け取った日から数えて8日以内にできます。書面に抜けがあると、決められた書面を渡したとはいえず、8日の数え始めがはっきりしないまま工事が進むおそれがあります。細かな扱いは専門家に確かめてください。ガイドには、クーリング・オフでは土地や建物の現状が変わっていれば、無償で元に戻してもらえるとも書かれています。

リフォームは、工事を始めると材料と職人の手間がかかります。書面の不備のために、その費用を回収できなくなる事態は、小さな会社には重い痛手です。書面を一度照らしておけば、このおそれを減らせます。お客さまにとっても、何を頼んだのかが分かる記録になります。

訪問販売は、営業所以外で契約する取引が当たる

消費者庁のガイドでは、訪問販売を、事業者が営業所等以外の場所(たとえば消費者の自宅)で契約を結ぶなどして行う商品の販売や役務の提供としています。リフォームでは、お客さまの家で見積を説明し、その場で契約するような場合が考えられます。

ただし、ガイドには適用除外も挙げられています。消費者庁の「訪問販売等の適用除外に関するQ&A」によると、住居で契約することを「請求した者」とは、契約の意思をあらかじめ持ち、住居で契約したいことをはっきり示した場合です。たとえば、チラシの表示額と実際の請求額に大きな開きがあるような場合は「請求した者」とはいえず、適用除外にならないと考えられる、と答えています。

自社の契約が訪問販売に当たるかは、契約のいきさつによって変わります。迷う場合は、当たるものとして書面を整えておくのが安全です。細かな中身は、消費者庁のガイドと、必要なら弁護士などの専門家に確かめてください。2026年10月時点の情報です。

書面に書く事項と、見た目の決まりがある

消費者庁のガイドには、契約の申込みや締結のときに渡す書面に書く事項が挙げられています。役務の提供(工事)に関係するものを中心に並べると、次のとおりです。

書面に書く事項(ガイドより)
役務(工事)の種類
役務の対価(工事の金額)
対価の支払いの時期と方法
役務の提供の時期(工事の時期)
申込みの撤回・契約の解除(クーリング・オフ)に関する事項
事業者の名称、住所、電話番号、法人なら代表者の氏名
申込みや締結を担当した者の氏名
申込みや締結の年月日
契約の解除に関する定めがあれば、その内容
特約があれば、その内容

商品を売る場合は、商品名、型式、数量なども書く事項に入ります。リフォームで設備を納める場合は、これも確かめます。

見た目の決まりもあります。書面をよく読むべきことと、クーリング・オフの事項は、赤枠の中に赤字で書きます。文字と数字は8ポイント以上にします。

今は、雛形を何年も前に作ったまま使っていることがある

小さなリフォーム会社では、契約書の雛形を、創業のころや知人の会社から譲り受けたまま使っていることもあります。法律が変わっても、雛形を見直す機会がありません。

広島県の案内では、お客さまに契約書の工事内容、工期、金額、支払い方法、引渡し日、保証、契約解除の条件、工事の変更、瑕疵がある場合の責任を確かめるよう勧めています。お客さまが確かめに来る点を、先にこちらで整えておけば、契約の場で慌てずに済みます。

確かめ、AIが照らし、直して、渡す

リフォームの契約の書面を整える流れ。社長が訪問販売に当たる契約かを確かめる。AIが書面の雛形と消費者庁の記載事項の一覧を照らし、抜けている事項に印を付ける。社長が印のところを直し、迷うところは専門家に聞く。担当が契約のときに書面を渡し、渡した日を記録する。訪問販売に当たるかの判断は人が行う
リフォームの契約の書面を整える流れ。社長が訪問販売に当たる契約かを確かめる。AIが書面の雛形と消費者庁の記載事項の一覧を照らし、抜けている事項に印を付ける。社長が印のところを直し、迷うところは専門家に聞く。担当が契約のときに書面を渡し、渡した日を記録する。訪問販売に当たるかの判断は人が行う

1 確かめる(社長)。 自社の契約のうち、お客さまの家で契約するものなど、訪問販売に当たりうるものを洗い出します。

2 照らす(AI)。 書面の雛形と、消費者庁のガイドの記載事項の一覧を渡し、抜けている事項に印を付けてもらいます。

3 直す(社長)。 印のところを直します。書き方に迷うところは、専門家に確かめます。

4 渡す(担当)。 契約のときに書面を渡し、渡した日と受け取った人を記録します。

AIへの頼み方と、返ってくる印はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下は、当社のリフォーム工事の契約書の雛形と、消費者庁の特定商取引法ガイドに載っている訪問販売の書面の記載事項の一覧です。一覧の事項ごとに、雛形のどこに書かれているかを書き、見つからない事項には【抜け】と印を付けてください。書き方が正しいかどうかの判断はせず、あるかないかだけを照らしてください。赤枠・赤字・文字の大きさは判断できないので、【印刷で確認】と書いてください。

返ってくる照らし(見本の一部。内容は架空です):

記載事項 雛形の場所
工事の金額 第2条
担当した者の氏名 【抜け】
クーリング・オフに関する事項 第10条(【印刷で確認】赤枠・赤字)

社長は【抜け】の欄を足し、【印刷で確認】の欄は印刷したもので見ます。

渡した日を記録し、クーリング・オフの数え方を担当がそろえる

クーリング・オフの8日は、書面を受け取った日から数えます。渡した日が分からないと、期間がいつまでかも分かりません。

  • 渡した日と受け取った人を、契約の表に書く。 書面の控えに、お客さまの受け取りの署名をもらう方法もあります
  • 8日が過ぎるまで、材料の発注や工事の始め方を社長が決める。 期間中に解除されたときの扱いを、先に決めておきます
  • クーリング・オフについて事実と違うことを言わない。 ガイドによると、事業者がクーリング・オフについて事実と違うことを告げたり、威迫したりして、お客さまが誤認や困惑でクーリング・オフしなかった場合は、期間を過ぎてもクーリング・オフできます

追加の工事も、書面で決める

工事が始まってから追加の工事が出たときも、書面で決めます。広島県の案内でも、工事内容の変更や追加があったときは書面で確かめるよう勧めています。追加の工事の書面も、同じ一覧で照らしておくと安心です。

追加の工事の見積と説明の作り方は、リフォーム見積の説明書の作り方|一式を開き、含まない工事まで書くで説明しています。

型をスキルにし、判断はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「記載事項の一覧」「照らしの表の形」「【抜け】と【印刷で確認】の付け方」「書いてはいけないこと(書き方が正しいかの判断、訪問販売に当たるかの判断)」をスキルにします。

判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、訪問販売に当たるかを社長が確かめること、赤枠と赤字と文字の大きさを印刷で人が見ること、書き方に迷うところを専門家に聞くこと、渡した日を担当が記録することがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1回4円ほど

費用 見込み
書面の照らし 雛形と一覧(入力6千トークンほど)から照らしの表(出力1,500トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回4円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
専門家の確認 弁護士などに雛形を見てもらう場合はその費用

必要な人は2役で、書面を決めるのは社長

  • 社長:訪問販売に当たる契約かを確かめ、AIの印をもとに雛形を直し、迷うところは専門家に聞く
  • 担当:契約のときに書面を渡し、渡した日と受け取った人を記録する

1か月で雛形が整い、次の契約から使える見込み

  1. 1週目:訪問販売に当たりうる契約を洗い出し、今の雛形を集める
  2. 2週目:AIで雛形と一覧を照らし、【抜け】を直す
  3. 3週目:印刷して赤枠・赤字・文字の大きさを確かめ、迷うところを専門家に聞く
  4. 4週目以降:新しい雛形で契約し、渡した日を記録する。法律が変わったら一覧を見直す

AIの照らしだけで済ませると失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 【抜け】がないから大丈夫と思う。 AIは、事項があるかないかを照らすだけです。書き方が正しいかは、人と専門家が確かめます
  • 印刷で見た目を確かめない。 赤枠・赤字・文字の大きさは、AIには分かりません
  • 渡した日を残さない。 クーリング・オフの期間がいつまでか、分からなくなります

まとめ

  • 訪問販売に当たる契約では、決められた事項を書いた書面を渡し、書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができる
  • 書面に書く事項は消費者庁のガイドにあり、注意事項とクーリング・オフは赤枠の中に赤字、文字は8ポイント以上
  • AIには、雛形と記載事項の一覧を照らして【抜け】に印を付けさせ、書き方の判断はさせない
  • 社長が印のところを直し、見た目は印刷で確かめ、迷うところは専門家に聞く
  • 担当が書面を渡した日を記録し、追加の工事も書面で決める

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