AI×業種

リフォームの問い合わせへの返事|聞く項目をそろえてAIで下書きし、見積は現地で

この記事で変わる経営指標

この記事では、リフォーム会社のAI活用|見積の説明と点検の案内で次の工事につなぐの「問い合わせの返事は、聞く項目をそろえて下書きする」を、毎日続けられる手順にして説明します。

一言でいうと、社長が、工事の種類ごとに聞く項目を決める。AIが、聞く項目を入れた返事を下書きする。担当が、金額や工期の約束が入っていないかを見る。担当が送り、現地を見てから見積を作る。金額と工期は人が決めるという形です。

経営への効果は、やりとりを減らし、現地調査の約束を早く取ること

リフォームの問い合わせは、「お風呂を替えたい」「外壁がひび割れている」のように、情報が少ないまま届くことがよくあります。何度も聞き返しているうちに、お客さまがほかの会社に決めてしまうこともあります。

1回の返事で必要なことを聞けば、やりとりの往復が減り、現地を見に行く日を早く決められます。返事が早く、聞き方が丁寧な会社は、それだけで信頼されます。現地調査の約束が取れれば、見積から契約までの話が進みやすくなります。

建設業法で、内訳と日数を書いた見積書を作るよう努める

e-Gov法令検索で建設業法を確かめると、第20条で、建設業者は請負契約を結ぶときに、工事の種別ごとの材料費、労務費、適正な施工に欠かせない経費などの内訳と、工程ごとの作業と準備に必要な日数を書いた見積書(材料費等記載見積書)を作るよう努めることになっています。

決まり(第20条) 中身
見積書の作成(第1項) 材料費等の内訳と、工程ごとの日数を書いた見積書を作るよう努める
低すぎる見積の禁止(第2項) 材料費等の額は、通常必要と認められる額を著しく下回ってはならない
見積書の交付(第4項) 注文者から求められたら、契約が成り立つまでに見積書を渡す
値下げの求めの禁止(第6項) 注文者は、材料費等を著しく下回る変更を求めてはならない

国土交通省の説明会の資料によると、これらの見積書の決まりは令和7年12月12日に施行されました。資料では、見積書を引渡しから10年間保存することも求めています。ここでいう建設業者は、建設業の許可を受けた業者です。2026年10月時点の情報です。

問い合わせの返事では、金額を書かない

見積書に内訳と日数を書くには、現地を見て、工事の中身を決める必要があります。問い合わせの段階で金額を書くと、あとの見積と食い違い、お客さまとの行き違いになります。

返事では、金額や工期を約束せず、「現地を見てからお見積りします」と伝えます。そのかわり、現地調査で何を見るか、見積書に何を書くかを先に伝えておくと、お客さまは安心して日程を決められます。

今は、問い合わせのたびに担当が一から聞いている

小さなリフォーム会社では、メールやウェブの問い合わせに、担当が一から返事を書いています。担当によって聞くことが違い、現地に行ってから「写真があれば分かったのに」となることもあります。

工事の種類ごとに聞く項目をそろえ、AIで返事を下書きすれば、どの担当でも同じことを聞けます。

そろえ、AIが下書きし、確かめて、送る

リフォームの問い合わせに返す流れ。社長が工事の種類ごとに聞く項目を決める。AIが聞く項目を入れた返事を書く。担当が金額や工期の約束がないかを見る。担当が送り、現地を見てから見積を作る。金額と工期は人が決める
リフォームの問い合わせに返す流れ。社長が工事の種類ごとに聞く項目を決める。AIが聞く項目を入れた返事を書く。担当が金額や工期の約束がないかを見る。担当が送り、現地を見てから見積を作る。金額と工期は人が決める

1 そろえる(社長)。 工事の種類ごとに、聞く項目を決めます。

2 下書きする(AI)。 届いた問い合わせと聞く項目を渡し、返事を下書きしてもらいます。

3 確かめる(担当)。 金額や工期の約束が入っていないか、聞く項目が抜けていないかを見ます。

4 送る(担当)。 送って、返事が来たら現地調査の日を決め、現地を見てから見積を作ります。

聞く項目は、工事の種類ごとにこの表でそろえる

工事の種類 聞く項目の例(想定)
浴室 今の浴室の広さ、築年数、困っていること、写真(全体と床)
キッチン 今のキッチンの幅、ガスかIHか、希望の時期、写真
外壁 建物の階数、前回の塗装の時期、ひびの場所、写真
屋根 屋根の材料(分かれば)、雨漏りの有無、写真(地上から撮れる範囲)
すべての工事 住所の地域、在宅の曜日、予算の目安(任意)

写真は、お客さまが撮れる範囲で頼みます。屋根に上るような危ない撮り方は頼みません。

AIへの頼み方と、返ってくる返事はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下は、リフォームの問い合わせのメールと、その工事の種類で聞く項目の一覧です。返事を下書きしてください。お問い合わせへのお礼のあと、聞く項目を箇条書きでたずねてください。金額や工期の目安は書かず、「現地を拝見してからお見積りします」と書いてください。お客さまの名前は「〇〇様」と空けてください。

返ってくる返事(見本の一部。内容は架空です):

〇〇様 お問い合わせありがとうございます。浴室のお取り替えについて、現地を拝見してからお見積りします。その前に、次のことを教えていただけますか。 ・今の浴室の広さ(分かる範囲で) ・お住まいの築年数 ・今いちばん困っていること ・浴室全体と床の写真(撮れる範囲で)

確かめるときは、約束と抜けを見る

AIの下書きは、渡した問い合わせと項目をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、約束のような言葉が混ざることがあります。

  • 金額や工期の目安が書かれていないかを見る
  • 「必ず」「すぐに」のような約束の言葉がないかを見る
  • 聞く項目が抜けていないかを見る
  • 危ない撮り方を頼んでいないかを見る

現地を見てから、内訳と日数を書いた見積書を作る

返事が来たら、現地調査の日を決めます。現地で見たことをもとに、見積書を作ります。

  • 見積書には、材料費や労務費などの内訳と、工程ごとの日数を書く
  • お客さまから求められたら、契約までに見積書を渡す
  • 見積書は、引渡しから10年間保存する

見積の内訳を施主に説明する紙の作り方は、リフォーム見積の説明書の作り方|一式を開き、含まない工事まで書くで説明しています。

返事が来ないお客さまには、一度だけ確かめる

返事を送っても、お客さまから返事が来ないことがあります。ほかの会社に決めたのか、忙しくて忘れているのかは分かりません。

  • 1週間ほど待って、一度だけ確かめの連絡を送る。 時期は想定です。会社で決めます
  • せかす言い方はしない。 「ご都合のよいときに」と添えます
  • 返事がなければ、問い合わせの台帳に「返事なし」と書いて閉じる

何度も連絡すると、しつこい会社だと思われます。確かめの連絡の型も、AIに一度作らせておけば、毎回同じ調子で送れます。

型をスキルにし、金額と工期はAIの外に置く

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「工事の種類ごとの聞く項目の表」「返事の型」「書いてはいけないこと(金額や工期の目安、約束の言葉、危ない撮り方の依頼、お客さまの名前と住所)」をスキルにします。

金額と工期は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、聞く項目を社長が決めること、担当が約束の言葉がないかを見ること、金額と工期を現地を見てから人が決めることがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1件2円ほど

費用 見込み
返事の下書き 問い合わせと項目と指示(入力2千トークンほど)から返事(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1件2円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
担当の時間 確かめて送るのに1件数分(想定)

必要な人は2役で、金額は社長が決める

  • 社長:聞く項目を決め、見積の金額と工期を決める
  • 担当:AIに返事を下書きさせ、確かめて送り、現地調査の日を決める

2週間で項目と型ができ、次の問い合わせから使える見込み

  1. 1週目:工事の種類ごとの聞く項目の表を作る
  2. 1週目:最近の問い合わせの数件でAIに返事を下書きさせ、担当が確かめる
  3. 2週目:型と書いてはいけないことをスキルにまとめる
  4. 3週目以降:届いた問い合わせから使い、現地調査につながった数を数える

問い合わせで金額を書くと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 「〇〇万円くらいです」と書く。 現地を見たあとの見積と食い違い、信頼を失います
  • 聞く項目がばらばら。 現地に行ってから足りないことに気づき、もう一度行くことになります
  • 屋根の上の写真を頼む。 お客さまが危ない目にあうおそれがあります

まとめ

  • 建設業法第20条で、建設業者は材料費や労務費などの内訳と工程ごとの日数を書いた見積書を作るよう努め、求められたら契約までに渡す
  • この見積書の決まりは令和7年12月12日に施行され、見積書は引渡しから10年間保存する
  • 問い合わせの返事では金額と工期を書かず、現地を見てから見積を作る
  • 社長が工事の種類ごとの聞く項目を決め、AIが聞く項目を入れた返事を下書きする
  • 担当が約束の言葉と抜けを確かめてから送る

CONTACT

自社の業務にも、AIを組み込めるか

記事のような組み込みを、御社の業務と予算に合わせて設計・実装しています。何から手を付ければいいか分からない段階でも大丈夫です。

AI活用を相談する