解体工事の施主への報告|写真とメモからAIで下書きし、完了報告まで渡す
この記事で変わる経営指標
この記事では、解体工事会社のAI活用|事前説明と近隣への案内で次の工事も頼まれるの「施主への報告は、写真とメモから下書きする」を、工事の始まりから終わりまで続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、担当が、写真に一言のメモを付けて送る。AIが、日付ごとに進んだことと次の予定をまとめる。担当が、写真とメモと処分の記録と照らす。工事が終わり、廃材の再資源化等が完了したら、社長が完了の報告書も渡す。石綿と費用の判断は人が行うという形です。
経営への効果は、施主の安心で紹介と次の工事につなぐこと
解体工事の施主は、現場に毎日来られるとは限りません。遠くに住んでいる相続人の方や、建て替えの準備で忙しい方もいます。工事がどこまで進んだかが分からないと、不安になります。
写真付きの報告が週に1回でも届けば、施主は安心して任せられます。廃材がどこへ運ばれ、どう処理されたかまで伝われば、きちんとした会社だと感じてもらえます。その安心が、知り合いへの紹介や、建て替えを請け負う工務店からの次の依頼につながります。
建設リサイクル法で、再資源化等が完了したら書面で報告する
e-Gov法令検索で建設リサイクル法を確かめると、第18条で、対象の工事の元請業者は、特定建設資材廃棄物(コンクリートや木材などの廃材)の再資源化等が完了したときは、その旨を発注者に書面で報告することになっています。あわせて、再資源化等の実施状況の記録を作って保存します。
報告する事項は、施行規則の第5条で決まっています。
| 報告する事項(施行規則第5条) |
|---|
| 再資源化等が完了した年月日 |
| 再資源化等をした施設の名称と所在地 |
| 再資源化等に要した費用 |
第18条第2項では、報告を受けた発注者は、再資源化等が適正に行われなかったと認めるときは、都道府県知事に申告できるとされています。第3項では、発注者の承諾を得れば、書面の代わりに電子で知らせることもできます。
東京都の「建設リサイクル法書類作成等の手引(民間工事等)」(令和7年6月)にも、元請業者から発注者への再資源化等完了報告の流れと、参考様式の「再資源化等報告書」が載っています。様式は地域によって違うことがあるので、窓口の指示に従ってください。2026年10月時点の情報です。
今は、報告を電話で済ませ、完了の報告が遅れる
小さな解体工事会社では、工事中の様子を電話で伝えるだけのことが多いものです。施主が覚えていられるのは、話した内容の一部です。
工事が終わると次の現場が始まり、再資源化等の完了の報告書が後回しになることもあります。処分の伝票は手元にあっても、報告書の形にまとめる時間がとれないからです。工事中の報告と同じ流れで、完了の報告書も下書きしておけば、出し忘れを防げます。
撮り、AIが下書きし、照らして、渡す
1 撮る(担当)。 現場の写真に、「屋根材撤去」「分別した木くずの搬出」のような一言のメモを付けて送ります。
2 下書きする(AI)。 写真のメモを渡し、日付ごとに進んだことと次の予定をまとめてもらいます。
3 照らす(担当)。 写真とメモ、処分の伝票と照らし、書かれていないことが足されていないかを見ます。
4 渡す(社長)。 工事中は週ごとの報告を渡し、再資源化等が完了したら完了の報告書も渡します。
工事中の報告は、この5つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 期間 | 11月4日〜11月8日 |
| 進んだこと | 内装材の取り外し、屋根材の撤去 |
| 分別して運び出したもの | 木くず、石膏ボード(運び出した日) |
| 気づいたこと | 隣の家との境の塀に、工事前からのひび(写真) |
| 次の予定 | 外壁と上の構造の取り壊し |
「気づいたこと」の欄は、写真で残します。工事前からのひびや傷を報告しておくと、近隣とのもめごとを防げます。
AIへの頼み方と、返ってくる報告はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、解体工事の現場の写真に付けたメモの一覧です。施主に送る1週間分の報告を、「期間」「進んだこと」「分別して運び出したもの」「気づいたこと」「次の予定」の欄でまとめてください。メモにないことは書かないでください。石綿の有無、処分の費用、工事の遅れの見込みは書かないでください。施主の名前は「〇〇様」と空けてください。
返ってくる報告(見本の一部。内容は架空です):
進んだこと:建物の中の内装材を手作業で取り外し、屋根材を撤去しました。 分別して運び出したもの:木くず(11月6日)、石膏ボード(11月7日)。 次の予定:外壁と柱・梁の取り壊しに進みます。
完了の報告書は、処分の伝票から作る
再資源化等が完了したら、施行規則第5条の3つの事項を書いた報告書を作ります。
- 完了した年月日は、処分の伝票で確かめる。 最後の廃材の再資源化等が終わった日を書きます
- 施設の名称と所在地は、伝票のとおりに書く。 廃材の種類ごとに、運んだ施設を並べます
- 要した費用は、社長が帳簿と見積から入れる。 AIに計算させません
AIには、伝票から施設の一覧を表にする手伝いと、報告書の送り状の文の下書きを頼みます。報告書を渡したら、控えと実施状況の記録を保存します。
照らすときは、写真にないことと数字を見る
AIの下書きは、渡したメモをもとにしています。それでも、言葉を補う中で、メモにない中身が混ざることがあります。
- 写真とメモにない作業が足されていないかを見る
- 石綿の有無が書かれていないかを見る。 石綿の判断は、資格を持つ調査者の記録で伝えます
- 完了の報告書の日付、施設、費用を、伝票と帳簿と照らす
事前説明の書面の作り方は、解体工事の事前説明の書面|現地調査のメモからAIで下書きするで説明しています。
施主が離れて住むときは、報告の送り先と方法を決めておく
解体工事では、相続した家を壊す場合など、施主が遠くに住んでいることがあります。施主が何人かいる場合もあります。
- 送り先を契約のときに決める。 だれに、メールか郵送か、どの頻度で送るかを決めます
- 何人かいるときは、代表の方を決める。 報告はその方に送り、ほかの方への共有をお願いします
- 完了の報告書の送り先も、同じ方にする。 書面か電子かは、施主の承諾を得て決めます
送り先と方法は、工事の台帳に書いておきます。担当が替わっても、同じ方に同じ方法で届けられます。
型をスキルにし、石綿と費用はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「工事中の報告の5つの欄の型」「完了の報告書の3つの事項と送り状の型」「書いてはいけないこと(メモにない作業、石綿の有無、費用、遅れの見込み、施主の名前と住所)」をスキルにします。
石綿と費用は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、写真とメモと伝票を担当が照らすこと、費用を社長が帳簿から入れること、石綿の結果を調査者の記録で伝えることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1回3円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 週ごとの報告の下書き | 写真のメモと指示(入力3千トークンほど)から報告(出力1,500トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回3円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 担当の時間 | 照らし合わせに1回十数分(想定) |
必要な人は2役で、費用と石綿は社長が確かめる
- 担当:写真にメモを付け、AIに下書きさせ、写真とメモと伝票と照らす
- 社長:週ごとの報告と完了の報告書を確かめ、費用を入れて渡す
1か月で型ができ、次の現場から使える見込み
- 1週目:工事中の報告の5つの欄と、完了の報告書の型を決める
- 2週目:今の現場の写真のメモでAIに下書きさせ、担当が照らす
- 3週目:型と書いてはいけないことをスキルにまとめる
- 4週目以降:毎週の報告と、工事ごとの完了の報告書に使う
完了の報告を後回しにすると失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 完了の報告書を出し忘れる。 第18条の報告は、元請業者の務めです
- 報告にメモにない作業を書く。 施主が見た現場と食い違います
- 費用をAIに書かせる。 帳簿と違う金額が施主の手元に残ります
まとめ
- 建設リサイクル法第18条で、元請業者は再資源化等が完了したら発注者に書面で報告し、記録を作って保存する
- 報告する事項は、完了した年月日、施設の名称と所在地、要した費用の3つ
- 工事中は、写真に一言のメモを付け、AIが週ごとの報告にまとめる
- 担当が写真とメモと伝票と照らし、費用は社長が帳簿から入れる
- 石綿の有無と費用の判断は、人が行う