育成就労の日本語学習|講習と試験を表にし、仕事の言葉はAIで単語帳に
この記事で変わる経営指標
この記事では、育成就労制度は2027年4月から|転籍できる時代に選ばれる会社の準備の「日本語の学習は、仕事の言葉の単語帳から始める」を、受け入れの前から続けられる手順にして説明します。
一言でいうと、社長が、講習と試験の時期を一人ずつ表にする。AIが、手順書や朝礼の言葉から、仕事の言葉の単語帳を下書きする。担当が、現場で本当に使う言葉と合っているかを見る。担当が朝礼で使い、分からなかった言葉を足していく。講習の手配と、日本語の力の評価は人が行うという形です。
経営への効果は、早く一人で動けるようになり、長く働いてもらうこと
育成就労は、2027年4月1日に始まる予定の、外国人を受け入れて育てる制度です。技能実習と違い、一定の要件を満たせば本人の意向で別の会社に移る(転籍する)こともできます。
日本語が通じないと、仕事を覚えるのに時間がかかり、職場で孤立しがちです。講習と試験の予定をきちんと管理し、仕事で毎日使う言葉を早く覚えてもらえれば、一人で動ける日が早まります。言葉の面で手厚く支える会社は、働く人から選ばれやすくなります。
受入れ企業には、日本語の講習を受けさせる義務がある
厚生労働省のページによると、育成就労の日本語については、次のように決められています。
| 時期 | 中身 |
|---|---|
| 就労を始めるまで | 「日本語教育の参照枠」A1相当の試験に合格するか、A1相当の講習を受ける |
| 3年間の終わりまで | 目標のA2相当に届くための講習(A2目標講習)を受ける |
| 受入れ企業の義務 | 費用を負担することも含め、これらの講習を受けさせる措置をとる |
| 試験 | 就労を始めてから1年以内と、終わる日までに、分野ごとに決められた水準の試験を受けさせる |
分野によっては、これより高い水準が決められることがあります。使える試験は、2026年10月時点で、国際交流基金の日本語基礎テスト(JFT-Basic)と日本語能力試験(JLPT)とされています。jinjerの解説でも、就労を始めるまでにA1相当、特定技能1号に移るときにA2相当とされています。施行前の情報なので、受け入れる分野の運用方針と、監理支援機関の案内で確かめます。2026年10月時点の情報です。
講習と試験の時期は、一人ずつ表で管理する
講習を受けさせることと、試験を受けさせることは、受入れ企業の義務です。何人も受け入れると、誰がいつ何を受けるかが分からなくなります。
時期の管理はAIに任せず、表で行います。入国の日、就労を始めた日から、1年以内の試験の期限と、終わる日までの講習と試験の期限を、表の式で出します。AIには、表の欄の名前を渡して、期限を出す式を作ってもらうことはできます。
今は、日本語の勉強を本人と監理団体に任せている
技能実習で外国人を受け入れてきた小さな会社では、日本語の勉強を本人と監理団体に任せていることが少なくありません。現場の言葉は、先輩が口で教えています。
ところが、教科書の日本語と、現場で使う言葉はずいぶん違います。「養生」「段取り」「バラす」のような言葉は、教科書には出てきません。手順書や朝礼で使う言葉を集めて単語帳にすれば、講習で学ぶ日本語と現場の言葉がつながります。
予定を組み、AIが下書きし、確かめて、使う
1 予定を組む(社長)。 一人ずつ、講習と試験の時期を表にします。講習を頼む日本語教育機関も、監理支援機関と相談して決めます。
2 下書きする(AI)。 手順書や朝礼の文を渡し、仕事でよく使う言葉を抜き出して、やさしい説明と例文をつけた単語帳を下書きしてもらいます。
3 確かめる(担当)。 現場で本当に使う言葉か、説明が合っているかを見ます。
4 使う(担当)。 朝礼や作業の前に単語帳の言葉を使い、分からなかった言葉を単語帳に足していきます。
単語帳は、この5つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 現場の言葉 | 養生 |
| 読み方 | ようじょう |
| やさしい説明 | 汚れたり傷ついたりしないように、シートでおおうこと |
| 例文 | 床を養生してください |
| 母国語の訳(必要なとき) | 母国語が分かる人が確かめる |
単語帳は、仕事の種類ごとに分けます。最初は、安全にかかわる言葉(「危ない」「止めて」「離れて」など)から作ります。
AIへの頼み方と、返ってくる単語帳はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、当社の作業の手順書と、朝礼でよく使う文です。外国人の社員が仕事で使う言葉を抜き出し、「現場の言葉」「読み方」「やさしい説明」「例文」の欄で表にしてください。やさしい説明は、短い文で、むずかしい言葉を使わずに書いてください。安全にかかわる言葉を先に並べてください。手順書にない言葉は足さないでください。
返ってくる単語帳(見本の一部。内容は架空です):
| 現場の言葉 | 読み方 | やさしい説明 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 段取り | だんどり | 仕事の前に、順番や道具を決めておくこと | 明日の段取りを話します |
| 片付け | かたづけ | 使った道具をもとの場所にもどすこと | 4時から片付けをします |
確かめるときは、現場の言い方と安全の言葉を見る
AIの下書きは、渡した手順書をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、現場と違う説明が混ざることがあります。
- 現場での意味と合っているかを見る。 同じ言葉でも、会社や業種で意味が違うことがあります
- 安全にかかわる言葉が抜けていないかを見る
- 説明がむずかしすぎないかを見る。 やさしい日本語の考え方は、外国人社員の教育はやさしい日本語で|早く一人で動ける手順書と連絡の作り方で説明しています
- 母国語の訳は、母国語が分かる人に確かめてもらう
自主学習には、国が紹介する無料の教材を使う
厚生労働省のページでは、法令で求める講習だけでなく、自主学習も大切だとして、無料の教材を紹介しています。生活の日本語の「いろどり」や「まるごと」、職種ごとの日本語の「げんばのにほんご」(外国人技能実習機構)、日本語の力を自分で確かめる「にほんご チェック!」などです。
- 講習と自主学習と単語帳を、同じ表で見る。 何をどこまでやったかを、面談で一緒に確かめます
- 勉強の時間を、仕事の中で取れるようにする。 どこまで仕事の時間にするかは、社長が決めます
面談の記録の残し方は、外国人社員の面談は月1回、記録で手を打つ|困りごとを追い続ける型で説明しています。
単語帳の型をスキルにし、講習と評価はAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「単語帳の5つの欄」「やさしい説明の書き方」「書いてはいけないこと(手順書にない言葉、むずかしい言い換え、本人の名前と在留の情報)」をスキルにします。
講習と評価は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、講習と試験の時期を表の式で管理すること、講習の手配を社長と監理支援機関が決めること、日本語の力を試験と講習の結果で人が見ることがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が単語帳1回で数円
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 単語帳の下書き | 手順書と指示(入力3千トークンほど)から単語帳(出力2千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1回4円ほど |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 講習の費用 | 受入れ企業が負担する。金額は日本語教育機関に確かめる |
必要な人は2役で、講習の手配は社長が決める
- 社長:講習と試験の時期を表にし、日本語教育機関と講習の手配を決め、勉強の時間をどこまで仕事に入れるかを決める
- 現場の担当:AIに単語帳を下書きさせ、現場の言葉と合っているかを確かめ、朝礼で使って言葉を足していく
受け入れの3か月前に表と単語帳ができる見込み
- 3か月前:分野の運用方針と講習の水準を、監理支援機関と確かめる
- 2か月前:講習と試験の時期の表を作り、日本語教育機関に講習を頼む
- 1か月前:手順書から安全の言葉の単語帳をAIで下書きし、現場の担当が確かめる
- 受け入れ後:朝礼で使い、月1回の面談で単語帳と自主学習の進み具合を見る
試験の期限を見落とすと失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 試験の期限を、本人任せにする。 1年以内と終わる日までに受けさせるのは、受入れ企業の義務です
- 単語帳を教科書の言葉だけで作る。 現場の言葉が分からないまま、仕事を覚えるのが遅れます
- AIの訳をそのまま使う。 母国語が分かる人に確かめずに渡すと、意味が違って伝わることがあります
まとめ
- 育成就労では、就労開始までにA1相当の試験合格か講習の受講、3年の終わりまでにA2相当を目指す講習の受講がある
- 受入れ企業は、費用を含めて講習を受けさせる措置と、1年以内と終わる日までに試験を受けさせる義務がある
- 講習と試験の時期は、一人ずつ表の式で管理する
- 手順書と朝礼の言葉から、AIで仕事の言葉の単語帳を下書きし、現場の担当が確かめる
- 2027年4月の施行の前に、分野の運用方針と講習の水準を監理支援機関と確かめる