AI×業種

中古車の掲載文をAIで下書き|支払総額と修復歴の表示を照らして載せる

この記事で変わる経営指標

この記事では、中古車販売店のAI活用|支払総額の表示を守り、問い合わせと見積を早くするの「掲載文は、車の情報から下書きし、表示の決まりで点検する」を、1台ごとに続けられる手順にして説明します。

一言でいうと、担当が、点検の結果と価格の内訳を在庫の表に書く。AIが、掲載文を書き、表示の決まりと照らして外れていそうな点に印を付ける。社長が、車の状態と支払総額を確かめる。担当が、サイトとプライスボードに同じ中身で載せる。車の状態の判断と価格は人が決めるという形です。

経営への効果は、問い合わせを増やし、表示で信頼を失わないこと

中古車は、1台ずつ状態が違います。お客さまは、掲載文と写真を見比べて、来店する店を選びます。車の特徴が伝わる掲載文を早く載せられれば、仕入れてから売れるまでの日数を縮めやすくなります。

一方で、表示を誤ると信頼を失います。支払総額や修復歴の書き方は、業界の決まりで細かく定められています。AIで書く手間を減らしつつ、決まりとの照らし合わせを毎回同じ手順で行えば、速さと正しさを両立できます。

2023年10月から、価格は「支払総額」の名称で示す

自動車公正取引協議会のパンフレット(2023年7月作成)によると、2023年10月1日から、中古車の販売価格の示し方が変わりました。要点は次のとおりです。

決まり 中身(パンフレットより)
販売価格の名称 「支払総額」の名称を使って表示する
内訳 「車両価格」と「諸費用」を表示する
車両価格に含めるもの 展示の時点で付いている装備品、定期点検整備と保証を付けて売る場合はその費用
諸費用 保険料、税金、登録(検査)手続と車庫証明手続の代行費用
定期点検整備 「定期点検整備付き」か「定期点検整備なし」かをはっきり表示する
保証 「保証付き」か「保証なし」かをはっきり表示し、保証付きなら保証内容と保証の期間・走行距離数も書く

「納車準備費用」のように、車を売り物に仕上げるための費用を諸費用として別に請求することはできないとされています。表示した支払総額で買えない表示は「不当な価格表示」とされ、走行距離や修復歴の不当表示と同じく、初回から厳重警告の対象になりました。

走行距離と修復歴も、表示する決まりがある

千葉県の消費生活の相談事例のページ(2024年10月1日更新)では、販売業者は自動車公正競争規約により、価格、走行距離数、修復歴の有無などの表示を義務付けられていると説明されています。販売の形も、「保証付き販売」と「保証なし販売」に分けられています。

修復歴については、スズキの中古車選びのページで、自動車公正取引協議会が定義する車の骨格の部分に損傷があるもの、または修復されているものを「修復歴車」と呼ぶと説明されています。走行メーターを交換した車には、交換の前と後の走行距離を書いたシールが貼られます。

細かな決まりは、自動車公正取引協議会の資料で確かめてください。2026年10月時点の情報です。

今は、掲載文を前の車の文の使い回しで書いている

小さな販売店では、掲載文を前に載せた似た車の文から書き換えていることがあります。書き換えを忘れると、ほかの車の装備や走行距離が残ります。

サイトに載せる文と、店頭のプライスボードを別々に作っていると、片方だけ直して食い違うこともあります。お客さまが店で見た表示とサイトの表示が違えば、それだけで不安になります。

書き出し、AIが下書きし、確かめて、載せる

中古車の掲載文と表示を整える流れ。担当が点検の結果と価格の内訳を表に書く。AIが掲載文を書き、表示の決まりと照らして印を付ける。社長が車の状態と支払総額を確かめる。担当がサイトとプライスボードに同じ中身で載せる。車の状態の判断と価格は人が決める
中古車の掲載文と表示を整える流れ。担当が点検の結果と価格の内訳を表に書く。AIが掲載文を書き、表示の決まりと照らして印を付ける。社長が車の状態と支払総額を確かめる。担当がサイトとプライスボードに同じ中身で載せる。車の状態の判断と価格は人が決める

1 書き出す(担当)。 在庫の表の1行に、車の情報と、点検で分かったこと、価格の内訳を書きます。

2 下書きする(AI)。 その1行から掲載文を書かせ、続けて表示の決まりの表と照らして、外れていそうな点に印を付けさせます。

3 確かめる(社長)。 車の状態の書き方が実際と合っているか、支払総額と内訳が正しいかを確かめます。

4 載せる(担当)。 サイトとプライスボードに、同じ中身で載せます。

在庫の表は、この8つの欄で作る

欄 中身の例(想定)
車名とグレード、年式 〇〇 1.5、2019年
走行距離 3.1万km(メーター交換の有無も)
修復歴 なし/あり(ありなら部位)
車検の期限 2027年〇月
定期点検整備 付き/なし(なしで整備の要る箇所があればその旨)
保証 付き(内容、期間、走行距離)/なし
支払総額と内訳 車両価格と諸費用
装備と気づいたこと 展示の時点で付いている装備、内外装の傷

修復歴と走行距離は、点検の記録から人が入れます。AIに推し量らせません。

AIへの頼み方と、返ってくる掲載文はこうなる

AIに渡す指示(見本):

下は、在庫の表の1台分です。中古車サイトに載せる掲載文を、300字ほどで書いてください。表にある装備と気づいたことだけを書き、表にない装備や状態は足さないでください。「支払総額」「車両価格」「諸費用」「定期点検整備」「保証」「修復歴」「走行距離」は表のとおりに書いてください。「極上」「新車同様」「事故なし」など、表にない言い切りは使わないでください。書いたあと、下の表示の決まりの表と照らし、外れていそうな点を箇条書きで挙げてください。

返ってくる掲載文(見本の一部。内容は架空です):

2019年式、走行3.1万km、修復歴なしの1台です。展示の時点でナビとバックカメラが付いています。後ろのバンパーに小さなすり傷があります。定期点検整備付き、保証付き(部分保証1年間・走行距離無制限)。支払総額〇〇万円(車両価格〇〇万円、諸費用〇〇万円)。 照らした結果:保証内容の詳しい中身が表にありません。保証書の内容を確かめてください。

確かめるときは、状態の書き方と価格の内訳を見る

AIの下書きは、渡した表をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、表にない中身が混ざることがあります。

  • 修復歴と走行距離は、点検の記録と照らす。 メーターを交換した車は、交換の前と後の距離も確かめます
  • 支払総額は、車両価格と諸費用を足した額か計算で確かめる。 AIに計算させず、表の計算で確かめます
  • 諸費用に、車を仕上げるための費用が入っていないかを見る
  • 表にない装備や、良く見せる言い切りが入っていないかを見る

サイトとプライスボードは、同じ表から作る

サイトの掲載文とプライスボードの中身を同じ在庫の表から作ると、食い違いが起きにくくなります。

  • 価格を変えたら、表を先に直す。 表を直してから、サイトとプライスボードを作り直します
  • プライスボードの欄も表に合わせる。 支払総額、内訳、定期点検整備、保証、修復歴、走行距離、車検の期限を同じ順で並べます
  • 載せた日を表に残す。 いつ、どの中身で載せたかが分かるようにします

見積書を出す前の点検は、中古車の見積書は出す前に点検|支払総額と費用の項目をAIで照らすで説明しています。

型をスキルにし、状態と価格はAIの外で決める

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「掲載文の型」「表示の決まりの表」「書いてはいけないこと(表にない装備や状態、良く見せる言い切り、表と違う価格)」をスキルにします。

状態と価格は、AIの外で決める。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、修復歴と走行距離を点検の記録から人が入れること、支払総額を表の計算で確かめること、社長が載せる前に確かめることがそれに当たります。

費用は、AIの利用料が1台3円ほど

費用 見込み
掲載文の下書きと照らし 表の1行と決まりの表と指示(入力3千トークンほど)から掲載文と照らした結果(出力1,500トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1台3円ほど
法人向けプラン チャットで使うなら1人あたり月数千円
社長の時間 確かめに1台数分(想定)

必要な人は2役で、状態と価格は社長が決める

  • 担当:在庫の表に書き、AIに下書きさせ、サイトとプライスボードに載せる
  • 社長:車の状態の書き方と価格を決め、載せる前に確かめる

1か月で表と型ができ、仕入れた車から使える見込み

  1. 1週目:在庫の表の8つの欄と、表示の決まりの表を作る
  2. 2週目:今の在庫の数台でAIに掲載文を書かせ、社長が確かめる
  3. 3週目:掲載文の型と書いてはいけないことをスキルにまとめる
  4. 4週目以降:仕入れた車から使い、印が多い欄の書き方を直す

前の車の文を使い回すと失敗する

よくある失敗は次の3つです。

  • 前の車の装備や距離が残る。 掲載文は、その車の表の1行から毎回作ります
  • サイトだけ直す。 プライスボードと食い違います。表を先に直します
  • 良く見せる言葉を足す。 表にない状態の言い切りは、トラブルのもとです

まとめ

  • 2023年10月から、中古車の価格は「支払総額」の名称で示し、内訳に車両価格と諸費用を書く
  • 定期点検整備と保証は「付き」か「なし」かをはっきり書き、保証付きなら内容と期間・走行距離数も書く
  • 走行距離と修復歴の有無も表示する決まりがあり、点検の記録から人が入れる
  • AIは在庫の表の1行から掲載文を書き、表示の決まりと照らして印を付ける
  • 車の状態の判断と価格は人が決め、サイトとプライスボードは同じ表から作る

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