鍼灸院の施術後の過ごし方の紙|施術者の中身からAIで1枚に、薬の話は書かない
この記事で変わる経営指標
この記事では、鍼灸院のAI活用|施術のあとの説明と次回の案内で通い続けてもらうの「施術のあとの過ごし方は、施術者が決めた中身から下書きする」を、施術のたびに渡せる手順にして説明します。
一言でいうと、施術者が、気をつけることと連絡の目安を書く。AIが、読みやすい言葉に直してA4で1枚にする。施術者が、薬の話や効き目の約束がないかを見る。施術のあとに、施術者が一緒に読んで渡す。医師にかかるよう勧めるときの目安は、施術者が書くという形です。
経営への効果は、施術のあとの不安を減らし、通い続けてもらうこと
はりやきゅうの施術のあと、患者さんは家に帰ってから迷うことがあります。お風呂に入ってよいのか、だるさが出たらどうするのか、運動はしてよいのか。施術室で聞いた説明は、家に着くころには忘れています。
家で読み返せる紙があれば、患者さんは落ち着いて過ごせます。電話での問い合わせも減ります。施術のあとまで気にかけてくれる施術所だと感じてもらえれば、次の予約や、家族や知り合いへの紹介につながります。
あはき法で、施術者は薬の指示をしてはならない
e-Gov法令検索で「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(あはき法)を確かめると、施術の範囲にかかわる決まりがあります。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 第4条 | 施術者は、外科手術を行い、または薬品を投与し、もしくはその指示をする等の行為をしてはならない |
| 第5条 | あん摩マッサージ指圧師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼または骨折の患部に施術をしてはならない |
過ごし方の紙に「痛むときは〇〇(薬の名前)を飲んでください」のように書くと、薬の指示にあたるおそれがあります。AIは、気をきかせて薬や市販薬の話を足すことがあるので、指示で止め、施術者が確かめます。2026年10月時点の情報です。
院内で渡す紙は、広告とは扱いが違う
大田区のページで遵守が求められている「あはき・柔整広告ガイドライン」では、施術所の中で掲示したり配ったりするパンフレットは、利用者に限られる限り、広告には当たらないとされています。
院内で渡す過ごし方の紙には、施術のあとの注意を具体的に書けます。ただし、同じ紙をSNSに載せたり、院の外で配ったりすると、広告として扱われることがあります。紙は院内で渡すものとして作り、外に出すときは別に考えます。
今は、施術室で口で伝えている
小さな施術所では、施術のあとの過ごし方を、施術室で口で伝えていることが多いものです。施術が続く日は説明が短くなり、患者さんも聞き返しにくいことがあります。
紙を作ろうとしても、専門の言葉を言い換え、読みやすく並べるのに時間がかかります。施術者が中身を箇条で書き、AIで読みやすく整えれば、紙を作る手間が減ります。
決め、AIが下書きし、確かめて、渡す
1 決める(施術者)。 施術のあとに気をつけること、入浴や運動の目安、連絡してほしいときの目安を箇条で書きます。
2 下書きする(AI)。 箇条を渡し、読みやすい言葉に直して、A4で1枚にまとめてもらいます。
3 確かめる(施術者)。 薬の話、効き目の約束、箇条にない注意が入っていないかを見ます。
4 渡す(施術者)。 施術のあとに、患者さんと一緒に読んで渡します。
過ごし方の紙は、この5つの欄で作る
| 欄 | 中身の例(想定) |
|---|---|
| 今日の施術 | はり(部位)、きゅう(部位) |
| 今日の過ごし方 | 入浴は軽めに、激しい運動は控える |
| 出ることがあるからだの変化 | だるさ、眠気(施術者が書いた言葉で) |
| 連絡してほしいとき | 施術者が決めた目安 |
| 医師にかかってほしいとき | 施術者が決めた目安 |
「連絡してほしいとき」と「医師にかかってほしいとき」の欄は、施術者が書いた言葉をそのまま使います。AIに目安を足させません。
AIへの頼み方と、返ってくる紙はこうなる
AIに渡す指示(見本):
下は、鍼灸院の施術者が書いた、施術のあとの過ごし方の箇条です。患者さんに渡すA4で1枚の紙を、「今日の施術」「今日の過ごし方」「出ることがあるからだの変化」「連絡してほしいとき」「医師にかかってほしいとき」の欄でまとめてください。専門の言葉は言い換えてください。箇条にない注意は足さないでください。薬や市販薬の名前、飲み方は書かないでください。「〇回で治る」のような効き目の約束も書かないでください。
返ってくる紙(見本の一部。内容は架空です):
今日の過ごし方:今日はお風呂を軽めにし、長湯は控えてください。激しい運動は明日までお休みください。 出ることがあるからだの変化:施術のあと、だるさや眠気が出ることがあります。
確かめるときは、薬と約束と足された注意を見る
AIの下書きは、渡した箇条をもとにしています。それでも、言葉を補う中で、箇条にない中身が混ざることがあります。
- 薬や市販薬の名前、飲み方が入っていないかを見る
- 「治る」「良くなる」のような効き目の約束がないかを見る
- 箇条にない注意が足されていないかを見る。 「様子を見てよい」と足されると、受診が遅れるおそれがあります
- 連絡と受診の目安が、施術者の言葉のままかを見る
施術ごとの型を作り、その日の中身は施術者が足す
毎回ゼロから書くより、よくある施術の型を作っておくと、施術者の箇条が短くて済みます。
- よくある施術の型を数種類作る。 はり、きゅう、マッサージなど、施術所で多い施術から選びます
- 型には、変わらない注意だけを書く
- その日の施術と、患者さんごとの注意は施術者が足す
施術の記録の残し方は、鍼灸院の施術録をAIで整える|施術者のメモを欄に分けて残すで、SNSやチラシの文の点検は、鍼灸院のSNSとチラシをAIで下書き|あはき・柔整広告ガイドラインで照らすで説明しています。
患者さんに聞かれたことは、型に足していく
紙を渡すと、患者さんから質問が出ます。その質問は、紙を良くする材料です。
- 聞かれたことを、施術録の欄に残す。 「お酒は飲んでよいか」「翌日の仕事は大丈夫か」のように、聞かれたまま書きます
- 同じ質問が続いたら、型に答えを足す。 答えは施術者が決めます
- 月に1回、型を見直す。 足した答えが、薬の話や効き目の約束になっていないかも確かめます
型をスキルにし、受診の勧めはAIの外に置く
型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「過ごし方の紙の5つの欄の型」「施術ごとの変わらない注意の見本」「書いてはいけないこと(薬や市販薬、効き目の約束、箇条にない注意、患者さんの名前)」をスキルにします。
受診の勧めは、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、連絡と受診の目安を施術者が書くこと、施術者が薬の話がないかを確かめること、院内で一緒に読んで渡すことがそれに当たります。
費用は、AIの利用料が1枚2円ほど
| 費用 | 見込み |
|---|---|
| 過ごし方の紙の下書き | 箇条と指示(入力2千トークンほど)から1枚の紙(出力1千トークンほど)を作ると、Claude Sonnet 5.5の料金(入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドル、1ドル150円で計算)で1枚2円ほど。型を作れば印刷して使い回せる |
| 法人向けプラン | チャットで使うなら1人あたり月数千円 |
| 施術者の時間 | 箇条と確かめに1枚数分(想定) |
必要な人は1役で、中身は施術者が決める
- 施術者:箇条を書き、AIに下書きさせ、薬の話や約束がないかを確かめ、患者さんと一緒に読んで渡す
受付がいる施術所では、印刷と型の保管を受付に任せられます。中身の判断は施術者が行います。
1か月で型ができ、毎日の施術で渡せる見込み
- 1週目:過ごし方の紙の5つの欄と、書いてはいけないことを決める
- 2週目:よくある施術の数種類でAIに下書きさせ、施術者が確かめる
- 3週目:型をスキルにまとめ、印刷して施術室に置く
- 4週目以降:毎日の施術で渡し、患者さんに聞かれたことを型に足す
薬の話を書くと失敗する
よくある失敗は次の3つです。
- 「痛むときは市販の痛み止めを」と書く。 薬の指示にあたるおそれがあります
- 「〇回で治ります」と書く。 効き目の約束は、患者さんの期待とずれます
- 同じ紙をSNSに載せる。 院内の紙と広告では扱いが違います
まとめ
- あはき法第4条で、施術者は薬品を投与したり、その指示をしたりしてはならない
- 院内で利用者に配る紙は、あはき・柔整広告ガイドラインでは広告に当たらないとされる
- 施術者が気をつけることと連絡・受診の目安を書き、AIが5つの欄の1枚に整える
- 施術者が、薬の話、効き目の約束、箇条にない注意がないかを確かめる
- 施術のあとに一緒に読んで渡し、SNSなど院の外には出さない