AI×業種

結婚相談所のAI活用|面談の記録と連絡で会員の活動を続けてもらう

この記事で変わる経営指標

この記事では、小さな結婚相談所を営む代表に向けて、AIが効く業務を4つ挙げ、どう使うかを説明します。一言でいうと、問い合わせの返事、契約書面の点検、面談の記録、活動の振り返りの連絡の4つで、料金表や書面の型、カウンセラーのメモをもとにAIが下書きや点検をする。紹介する相手の判断と、本人の確認は人が行うという話です。

AIの価値は、会員の相談に乗る代わりをすることではありません。面談の記録や連絡のように、毎日くり返す文章の仕事を下書きし、カウンセラーの時間を、会員と話すことと相手を考えることに使えるようにすることです。

経営への効果は、会員に活動を続けてもらい、成婚まで伴走すること

小さな結婚相談所でAIが効く4つの業務と経営効果。問い合わせの返事、面談の記録、活動の振り返りは売上、契約書面の点検は業務の無駄に効く。紹介する相手の判断と、本人の確認は人が行う
小さな結婚相談所でAIが効く4つの業務と経営効果。問い合わせの返事、面談の記録、活動の振り返りは売上、契約書面の点検は業務の無駄に効く。紹介する相手の判断と、本人の確認は人が行う

小さな相談所では、代表やカウンセラーが、問い合わせの返事、入会の説明と契約、面談、お見合いの調整、会員への連絡までを受け持つことがよくあります。AIが効くのは、この中の文章の仕事です。

業務 今まで AIを入れたあと 経営効果
問い合わせの返事 面談の合間に返す 料金表と案内から返事を下書き 売上
契約書面の点検 書いた人が見るだけ 記載事項と照らして漏れに印 業務の無駄
面談の記録 手書きのメモが残るだけ メモを会員の記録の形に整理 売上
活動の振り返り 気になった会員にだけ連絡 記録から一人ずつの連絡を下書き 売上

結婚相談所は、会員に数か月から1年以上活動を続けてもらう仕事です。面談で聞いた希望や気持ちが記録に残り、活動が止まりかけた会員に早く声をかけられれば、途中でやめる人を減らし、成婚まで伴走しやすくなります。

2か月を超え5万円を超える契約は、特定商取引法の対象

消費者庁の特定商取引法ガイドによると、結婚相手紹介サービスは「特定継続的役務提供」の1つで、契約の期間が2か月を超え、金額が5万円を超えるものが対象です。金額は、入会金や関連商品の代金などを含めた総額で見ます。

対象の契約では、契約の前に概要書面を、契約の後に遅滞なく契約書面を渡します。京都府消費生活安全センターの案内によると、会員は契約書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフができ、その後も理由を問わず中途解約ができます。

京都府と広島県の案内によると、中途解約のときに事業者が求められる額の上限は、次のとおりです。

いつ 上限
サービスの提供を受ける前 3万円
サービスの提供を受けた後 提供されたサービスの対価に、2万円か契約残額の2割の低い方を加えた額

京都府の案内は、結婚相手紹介サービスの関連商品として、指輪などの装身具を挙げています。細かな決まりは、消費者庁の特定商取引法ガイドと条文で確かめてください。2026年10月時点の情報です。

契約書面は、記載事項と照らして漏れに印を付ける

人がすること(最初に)。 代表が、自分の相談所の概要書面と契約書面の型を用意し、特定商取引法ガイドの記載事項を一覧にします。必要なら、行政書士や弁護士に型を見てもらいます。

AIに頼むこと。 その日に作った契約書面と記載事項の一覧を渡し、書いていない項目や、入会金・月会費・お見合い料などの合計が総額と合わない所に印を付けてもらいます。契約が法律に合っているかの判断は書かせません。

人がすること(そのあと)。 担当のカウンセラーが印の付いた所を直し、代表が確かめてから会員に渡します。金額の合計は電卓か表で確かめます。点検の表の作り方は、同じ枠組みのエステの例ですが、エステの契約書面の点検|記載の漏れをAIで見つけ、渡す前に直すで説明しています。

問い合わせの返事は、料金表と案内から下書きする

人がすること(最初に)。 代表が、料金表(入会金、月会費、お見合い料、成婚料など)と、よくある質問の答え(入会の条件、必要な書類、入会前の面談の流れ)を表にします。

AIに頼むこと。 メールやLINEで届いた問い合わせと、料金表、案内を渡し、返事を下書きしてもらいます。料金は料金表にあるものだけを書かせ、「必ず結婚できます」のような約束は書かせません。

人がすること(そのあと)。 カウンセラーが確かめて送ります。入会前の面談の日程は、予約の台帳と照らします。

面談の記録は、メモを会員の記録の形に整える

人がすること(最初に)。 代表が、会員の記録の型を決めます。希望の条件、大事にしていること、前回の面談からの変化、お見合いの感想、次回までにすること、カウンセラーの気づきです。

AIに頼むこと。 面談のあとにカウンセラーが書いた短いメモを渡し、会員の記録の型に整えてもらいます。前回の記録も渡し、前回の「次回までにすること」がどうなったかを並べてもらいます。

人がすること(そのあと)。 カウンセラーが確かめて保存します。会員の気持ちや迷いは、会員が話した言葉のまま残し、AIに決めつけた言い方に書き換えさせません。

記録の項目と、次の面談の前の一覧、担当の引き継ぎ方は、結婚相談所の面談記録の残し方|メモをAIで整え、次の面談につなぐで説明しています。

活動の振り返りの連絡は、記録から下書きする

AIに頼むこと。 毎週、最後の面談やお見合いから間が空いている会員の一覧と、その会員の記録を渡し、一人ずつの連絡の文を下書きしてもらいます。前回の「次回までにすること」に触れ、次の面談を提案する文にします。

人がすること(そのあと)。 担当のカウンセラーが、その会員の今の様子を思い浮かべて直してから送ります。活動を休みたいという会員には、無理に勧めません。

お見合いのあとの感想も、同じ記録に残す

お見合いのあとに会員から届く感想は、次の動きを決める大事な材料です。電話で聞いた感想も、メッセージで届いた感想も、同じ会員の記録に入れておきます。

  • 感想は会員の言葉のまま残す。 「話しやすかった」「価値観が少し違う気がした」など、会員が使った言葉をそのまま書きます
  • AIには、感想と前回までの記録を並べさせる。 希望の条件が変わってきていないか、同じ迷いが続いていないかを、カウンセラーが見やすい形にします
  • 次の一手はカウンセラーが決める。 仮の交際に進むか、別の相手を考えるかは、会員と話して決めます

紹介する相手の判断と、本人の確認は、AIに任せない

  • 紹介する相手は人が考える。 誰と誰を引き合わせるかは、会員と話してきたカウンセラーが考えます。AIに相性を判断させません
  • 本人の確認は人が行う。 入会のときに出してもらう本人確認などの書類は、人が見て確かめます
  • 契約の勧め方は人が決める。 どのプランを勧めるか、いつ契約の話をするかは、代表が決めます
  • 会員の情報を入れすぎない。 名前、連絡先、年収、家族のことなどは、会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランで扱うか、記号に置き換えます

記録の型をスキルにし、判断はAIの外に置く

ここまでの使い方は、そのつどAIのチャットに頼む場合です。毎日同じように使うなら、もう一段の工夫をしておくと安定します。作る側から見ると、ここが「AIを使う」と「使いこなす」の差です。

型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「契約書面の記載事項の一覧」「会員の記録の型」「問い合わせの返事と振り返りの連絡の型」「書いてはいけないこと(結婚の約束、料金表にない金額、会員の気持ちの決めつけ、相性の判断)」をスキルにします。

判断は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、書面の型を専門家に見てもらうこと、代表が確かめてから書面を渡すこと、紹介する相手をカウンセラーが考えること、連絡をカウンセラーが直してから送ることがそれに当たります。

費用は、法人向けプランの月数千円から始められる

最初は、会社で契約した、入力をAIの学習に使わない法人向けのプランで、チャットに貼って使うところから始めます。費用は1人あたり月数千円です。会員の台帳から振り返りの連絡の下書きが毎週届くといった形にする場合は、作る費用が加わります。費用の考え方は中小企業のAI導入費用はいくら?3つの内訳と元が取れるかの計算式にまとめています。

効果は、面談の間隔と、途中でやめる会員の数で測る

効果を確かめるには、次の3つを始める前と後で比べます。

  • 面談から次の面談までの日数:会員ごとの平均を、月ごとに比べます
  • 途中でやめた会員の数:半年ごとに数え、やめた理由も記録します
  • 問い合わせから入会前の面談までの日数:受けた日から数えます

既存のお客さまに連絡を届け続ける考え方は、リピート率を上げる方法|少ない人数で既存顧客全員に連絡を届け続けるで説明しています。

まとめ

  • 結婚相談所でAIが効くのは、問い合わせの返事、契約書面の点検、面談の記録、活動の振り返りの連絡の4つ
  • 期間が2か月を超え金額が5万円を超える契約は特定商取引法の対象で、書面の交付、8日間のクーリング・オフ、中途解約の上限の決まりがある
  • AIは料金表や書面の型、カウンセラーのメモから下書きや点検をし、人が確かめて渡す
  • 紹介する相手の判断と、本人の確認は人が行う
  • 面談の記録と振り返りの連絡で、会員に活動を続けてもらい、成婚まで伴走する

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