2027年と2028年に変わる決まりを表で先回り。準備の下書きはAIで
この記事で変わる経営指標
この記事では、2027年から2028年にかけて変わる、中小企業の事務にかかわる決まりをまとめ、前もって準備する方法を説明します。一言でいうと、変わる決まりと、自社がかかわるかどうか、準備を始める日を、1つの表で持つ。準備を始める日が来たら、専門家が確かめた要点をもとに、社員への説明や取引先への相談の文をAIに下書きさせる。対象者や影響額は表で計算し、判断は人と専門家で行うという話です。
AIの価値は、法律を先読みすることではありません。決まりが変わる日の半年前に準備を始め、社員と取引先に早めに伝えられるようにすることです。
経営への効果は、決まりが変わる日に慌てないこと
2027年と2028年に変わる主な決まりは、次のとおりです。
| 時期 | 変わること | かかわる会社 | 準備を始める目安 |
|---|---|---|---|
| 2027年6月1日 | 障害者雇用の毎年の報告が、37.5人以上の会社で2.7%を基準に | 常用労働者37.5人以上 | 2026年中 |
| 2027年10月 | 社会保険の加入の人数の要件が51人以上から36人以上に | パートを雇う36人以上の会社 | 2027年4月ごろ |
| 2027年ごろ | INSネットの補完策の提供のめど | 電話回線で受発注や振込をしている会社 | 今すぐ |
| 2028年4月1日 | 50人未満の事業場もストレスチェックが義務に | 社員50人未満の事業場 | 2027年秋ごろ |
| 2028年10月1日 | 雇用保険の加入の線が週20時間から10時間に | 短い時間のパートを雇う会社 | 2028年4月ごろ |
| 2028年10月1日 | インボイスの経過措置が70%から50%に | 免税の取引先がある会社 | 2028年4月ごろ |
経営の効果は2つあります。
- 社員と取引先に早めに伝えられる。 給与や働き方、取引の条件にかかわる変化は、早く知らされるほど、相手も準備ができます。直前に伝えると、不安や不満が生まれます
- 費用の見通しを立てられる。 社会保険や雇用保険の会社の負担、インボイスの影響額は、表で前もって計算できます。予算に入れておけば、慌てずにすみます
2027年に変わること
障害者雇用の毎年の報告。 2026年7月1日から、民間企業の法定雇用率が2.7%に上がり、障害のある人を雇う義務がある会社の範囲が常用労働者37.5人以上に広がりました。37.5人以上の会社に2.7%で確かめる毎年6月1日時点の報告は、2027年6月1日分からです(ジンジャー、かいけつ!人事労務の解説による)。準備の進め方は障害のある人の雇用を、仕事の切り出しから始める。準備はAIでで説明しています。
社会保険の人数の要件。 パートやアルバイトが社会保険に入る要件のうち、会社の従業員の数の要件は、2027年10月から36人以上に下がり、2035年10月までに段階的になくなります(厚生労働省の資料、オフィスステーションの解説による)。準備の進め方はパートの社会保険の加入拡大に慌てない。対象者は表で出し、本人への説明はAIでで説明しています。
INSネットの補完策。 電話回線(INSネット)を使った受発注や振込のしくみは、2024年1月から補完策で動いており、補完策は2027年ごろまでをめどに提供されるとされています(INTERNET Watch、BUSINESS NETWORKの記事による)。切り替えの進め方は電話回線の受発注を2027年までに切り替える。一覧は表、案内はAIでで説明しています。
2028年に変わること
50人未満の事業場のストレスチェック。 2025年5月に公布された改正労働安全衛生法で、社員50人未満の事業場にもストレスチェックが義務になります。施行は2028年4月1日です(徳島労働局、労務ドットコムによる)。準備の進め方は50人未満もストレスチェックが義務に。準備の書類と職場の改善をAIでで説明しています。
雇用保険の週10時間への拡大。 雇用保険の加入の要件のうち、週の所定労働時間の線が20時間以上から10時間以上に下がります。施行は2028年10月1日です(社労士ナビ、労務ドットコムの解説による)。準備の進め方は雇用保険が週10時間から。対象者は表で出し、説明の準備はAIでで説明しています。
インボイスの経過措置の50%への引き下げ。 免税の取引先からの仕入れについて、消費税の控除ができる割合は、2028年10月1日から70%から50%に下がり、2030年10月1日からは30%になります(弥生、山田&パートナーズの解説による)。話し合いの進め方は免税の外注先との取引を見直す。影響額は表で、相談の文はAIでで説明しています。
細かい中身と時期は、それぞれ厚生労働省、国税庁、日本年金機構、通信会社の最新の資料で確かめてください。決まりの予定は変わることがあります。2026年10月時点の情報です。
小さな会社ほど、決まりが変わる直前に気づく
これから変わる決まりへの備えで、小さな会社が困るのは次の3つです。
- 先の予定を追いかける人がいない。 総務の専任がいないと、2年先の変化まで目が届きません
- 自社がかかわるかが分からない。 人数や働き方の要件で、かかわるかどうかが変わります。数えてみないと分かりません
- 準備に時間がかかるものがある。 雇用契約の見直し、受発注の切り替え、取引先との話し合いは、数か月かかります
変わる決まりと時期は、前もって表にできます。自社がかかわるかは、社員の人数や働き方の表から計算で出せます。
期限は1つの表で持ち、準備の書きものはAIに下書きさせる
人がすること(最初に)。 社長か総務の担当者が、上の決まりを1つの表にまとめます。表には、変わる日、変わること、自社がかかわるか、準備を始める日、担当、顧問の専門家を入れます。
計算で行うこと。 社員の人数、パートの週の時間、免税の取引先の支払額から、自社がかかわるか、何人が対象か、影響額がいくらかを表で計算します。準備を始める日が近づいたら、印が付くようにします。
AIに頼むこと。 準備を始める日が来た決まりについて、顧問の専門家が確かめた要点をもとに、次のものを下書きしてもらいます。
- 社長が読む1枚(何が変わるか、自社への影響、することと期限)
- 社員やパートに向けた説明
- 取引先への案内や相談の文
人がすること(そのあと)。 担当者が、下書きを要点と照らして確かめてから配ります。加入の判断や手続き、取引条件は、担当者と専門家が決めます。
AIへの頼み方と、返ってくる1枚はこんな形になる
AIに渡す指示(見本。内容は架空です):
下は、社会保険労務士に確かめてもらった、2028年10月の雇用保険の適用拡大の要点と、当社の表から出した数字(新しく対象になる見込みのパート8人)です。社長が読む1枚を下書きしてください。何が変わるか、当社への影響、することと期限を、要点と数字に書かれていることだけで書いてください。金額は書かず、「表で計算」と書いてください。
返ってくる1枚(見本の一部):
2028年10月 雇用保険の加入の線が週10時間に
- 変わること:週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の人も、雇用保険の対象になる
- 当社への影響:新しく対象になる見込みのパートは8人(表から)。保険料の会社の負担は表で計算
- すること:2028年4月までに雇用契約の週の時間を確かめる。説明資料を作り、本人に伝える
社長は、1枚を読んで、担当と期限を表に入れます。
要点の型をスキルにし、期限と計算はAIの外に置く
ここまでの使い方は、そのつどAIのチャットに頼む場合です。決まりが変わるたびに同じように使うなら、もう一段の工夫をしておくと安定します。作る側から見ると、ここが「AIを使う」と「使いこなす」の差です。
要点と1枚の型を Skills にまとめる。 Skills(スキル)は、AIに渡す手順書・見本・道具を1つにまとめたものです。頼まれた内容に合うときにAIが自動で読み込むので、毎回同じ説明をしなくても、AIの働きが安定します。ここでは、「決まりの要点の型(何が、いつから、誰に、会社がすること)」「社長が読む1枚の型」「社員への説明の型」「書いてはいけないこと(要点にないこと、法律の判断、表にない金額や人数、予定を確定のように書くこと)」をスキルにします。
期限と計算は、AIの外に置く。 AIそのもの以外の、指示・道具・点検の仕組みを設計することを、ハーネスエンジニアリングと呼ぶことがあります。ここでは、変わる決まりと準備を始める日を表で持つこと、対象者や影響額を表で計算すること、専門家が確かめた要点だけをAIに渡すことがそれに当たります。AIは日付を取り違えることがあるので、日付は表から写すだけにさせます。
明日からは、6つの決まりを1つの表にする
- 上の6つの決まりを、変わる日の順に1つの表に入れる
- 社員の人数、パートの週の時間、免税の取引先、電話回線のしくみを確かめ、自社がかかわるかに印を付ける
- かかわるものに、準備を始める日と担当を入れる
- 顧問の社会保険労務士や税理士に、表を見てもらう
- 準備を始める日が来たものから、会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランで社長が読む1枚を下書きさせる
本格的にやるなら、毎月1回、表を見直す
一度できたら、次の形に育てます。
- 毎月1回、表を見直す。 新しく決まった変更を足し、予定が変わったものを直します。2026年10月に変わった決まりは2026年10月に変わった4つの決まり。小さな会社の準備は表とAIでにまとめています
- 許可や資格の期限と同じ表にする。 制度の期限と、許可や資格の更新の期限を同じ表で持ちます。考え方は許可や資格の期限切れで仕事を止めない。更新の期限は表で持ち、準備はAIでで説明しています
法律の判断と、予定の確かめはAIに任せない
- 予定は変わることがある。 施行の時期や細かい要件は、変わることがあります。最新の公式の資料で確かめます
- かかわるかどうかは専門家と。 自社がかかわるか、何をすれば足りるかは、社会保険労務士や税理士に確かめます
- 人数と金額は表で計算する。 対象者や影響額を、AIに計算させません
- 社員と取引先の情報に気をつける。 賃金や取引の情報は、会社で契約した、入力をAIの学習に使わないプランで扱います。決め方は社員が安心してAIを使える会社にする、A4で1枚の社内ルールにまとめています
まとめ
- 2027年には、障害者雇用の報告の基準の変更(6月)、社会保険の人数の要件の36人以上への引き下げ(10月)、INSネットの補完策の提供のめどがある
- 2028年には、50人未満の事業場のストレスチェックの義務化(4月)、雇用保険の週10時間への拡大(10月)、インボイスの経過措置の50%への引き下げ(10月)がある
- 変わる決まりと、自社がかかわるか、準備を始める日を1つの表で持ち、対象者や影響額は表で計算する
- 準備を始める日が来たら、専門家が確かめた要点から、社長が読む1枚や社員への説明をAIに下書きさせる
- 予定は変わることがあるので、毎月1回表を見直し、判断は人と専門家で行う